お知らせ
NEWS2024.11.25
保護中: 【報告】人と動物の共生およびSDGs推進シンポジウム 2024 「ペットとの暮らしを活用する豊かな社会 -それを可能にする環境整備-(中西 理香子氏)」
《第2部》
人とペットが幸せに暮らせる環境整備をどのように行うか?
- 事例発表 ②「ペットツーリズムの推進」(一般財団法人 神戸観光局 専務理事 中西 理香子 氏)
「事例発表 ①」→「事例発表 ②③」へのつながり
前述の第2部「事例発表 ①」では、高齢者が「ペットと共に最後まで安心して生活できる住宅面の環境整備」について考えました。次に示す「事例発表 ②③」では、「街に出るための環境整備としての側面がある」と考えペットツーリズムに注目しました。
谷口先生の疫学調査では、「犬と散歩をして、社会的交流を持つ」ことが健康効果のポイントになっています。ペットツーリズムによる「高齢者が安心して犬とお出掛けしやすくなる仕組みづくり」は、その地域の方にも活用されるものであり、「健康で楽しく温かいハートマークの街づくり」としても機能します。
神戸市の取り組みとして、神戸観光局で令和4年度から開始された「ペットと旅する神戸」事業についてご発表いただきました。 自然と都市が共存する神戸は、海、街、山のアクセスが容易なエリアで、ペット飼い主の幅広いニーズに対応できることから、神戸市の公式観光サイト「Feel KOBE」内に特設ページの設置等を行い、神戸にあるペットと一緒に遊べる場所や、宿泊できるホテルなど、ペットフレンドリーなスポットを紹介してこられました。ペット受入れ状況のヒアリングを行い、受入れ可能の宿泊施設や観光施設をQRコードと共に掲載した「ペットと旅するKOBE」マップも作成・配布され、シンポジウム当日も来場者の皆様にお持ち帰りいただきました。
令和5年度には、犬のおでかけメディアである「おでかけわんこ部」と連携し、できるだけリアルな情報を提供する取り組みを開始し、情報発信をさらに強化されました。
11月11日(ワンワン・ワンワン)に「ペットと旅するKOBE」特設ウェブサイトを本格始動させ、専用Instagramアカウントを開設。以降、六甲山系のハイキングを楽しむ再度公園を起点としたモデルコースや、六甲・有馬温泉でゆっくり贅沢日帰りコース、小豆島観光協会との広域連携で2泊3日のモデルコースを紹介されています。令和6年度には、須磨海浜公園を含むおでかけ日帰りモデルコースを公開されています。
神戸のペットツーリズムの課題としては、「ペットに関する正確な情報提供」「ペットと共に旅行する際のマナー啓発」「地域の観光事業者との連携の強化」を挙げられます。店舗の受入れ条件を正確に情報発信し、受入れる店舗等、ペット連れの方、ペットと連れていない一般のお客様全員がハッピーに過ごしてもらうためには、マナー啓発も重要です。
ペット連れでお出かけできる環境作りは観光振興だけでなく、そこに暮らす市民がペットと共に街に出やすくなることにも繋がり、健康寿命の延伸と共に地域の人たちのコミュニティを再構築する地域振興にもつながっていきます。ペットとの絆を深めることで、心身が健康になり、街が元気になるという点でもペットツーリズムは重要であると結ばれました。
「抄録」と「開催報告書」のデータをダウンロードしていただくことができます。
※表紙の画像をクリックするとPDFのデータが表示されます。
◎中西 理香子(なかにし りかこ)氏
一般財団法人 神戸観光局 専務理事
神戸市役所採用後、観光行政を中心に、港湾や広報等の分野でキャリアを重ね、令和2年4月より灘区長として2年間従事。その後、令和4年4月より一般財団法人神戸観光局専務理事に着任。
一昨年より神戸観光局において「ペットと旅するKOBE」事業を立ち上げ、ペット連れでの来神者に対する情報発信とマナー啓発を実施し、神戸のペットツーリズムを推進している。