〔審査員のコメント〕
・ヒトと動物の関係学会監事 井本史夫氏
まず、お金を扱う会社がお金以外の価値のものがあるというのは、受けをねらっていたとしても評価します。犬や猫など単にそばにいるだけの存在と思われていた動物が、飼っている人にとっては大変な価値ある存在であり、よい暮らしをするためには、しつけが当然ということを考えさせてくれるのは◎。
・P-WELL通信編集長 斉藤則子氏
近年のペットブームのなかで、犬や猫が登場するCMが急増しています。微笑ましく思う一方で、視聴者の注目や好感を得るために、何の必然性もなく安易に動物を使っているケースも多く、「CMの作り手の怠慢ではないか」と感じていました。
その点、マスターカードは、ペットを飼うことで、飼い主が味わえるお金に換算できないかけがえのない価値と、飼い主がお金を使って果たすべき責任を、カードという自社の商品と絡めてうまく表現していると思いました。
・フォトジャーナリスト 児玉小枝氏
何よりも、推薦文の中の「お金で買えるものの中に、ちゃんとしつけ教室の費用も含まれていること」…という部分に感心しました。近年、犬を「ペット(愛玩動物)」ではなく「コンパニオン・アニマル(伴侶動物)」として家庭に迎え入れる風潮が高まっていますが、一方で、飼い主の都合によって捨てられ、行政の施設で殺処分される犬も後を絶ちません。子犬時代の「しつけ」を怠ったために成犬となってから「吠える」「噛む」「いうことをきかない」などの理由で保健所に持ち込まれる犬も多くいます。
そんな不幸な犬を減らすためには「飼い主への教育」が不可欠です。そういった時代背景の元、「しつけ」という、犬と暮らす上で必要な飼い主の責任について具体的な情報を発信されたこのCMの功績は大きいと考えます。
・NPO法人 日本聴導犬協会会長 有馬もと氏
◆マスターカード テレビCM 『Priceless 犬がいる生活編30秒』
犬との生活って、電卓上でなら、マイナスが多いけど、見えない部分でのプラス面って、ほんとに多い。上司とのおりが合わず、帰宅した時の、ノホホン顔は、値千金。時には、親だって夫だってかなわないってことを再確認しました。
◆HONDA 「FIT」
彼方此方行くのに、車なしでは、犬同伴は無理。やっぱり、余裕ある空間が、人にも犬にも快適。だから、FITみたいな車がほしい。
◆西宮市社会福祉協議会発行の福祉マップ
どんなに素敵なわんことの暮らしも、相手が病気になったら、悲しい結果になるのは、わかりきったこと。だからこそ、あちこちの獣医さんマップを参考に、名医も探せる。人の医者だって、サービスと、質の競争が問われる。もの言えぬワンちゃんたちのためにも、獣医さんをあちこち見て回るのも必要かも。役立つ福祉マップです。
〔総評〕
・NPO法人 Knots
グランプリのマスターカードはいうまでもなく今回は商品部門で、愛犬との食事についてプロフェッショナルが考察を深めて出来た「いぬ膳」と車の「FIT」の決選投票、活動部門でも西宮市社会福祉協議会とホンダのウェブサイトの決選投票となりました。この決選投票で分かる通り本当に様々なお立場で動物達の暮らしを大切にする方々が着々と増えていると感じました。また、今回二部門で残った本田技研工業株式会社につきましては、やはり大企業の影響力の大きさを感じずにはいられません。このように企業が欧米並みに動物との暮らしについてご理解を下さる日がそう遠くはないことを期待致します。2003年度のノミネートも始まりました。今年度はどのような創意工夫が登場するのかとても楽しみです。
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