お知らせ
NEWS第2回インターペット大阪~人とペットの豊かな暮らしフェア~
◆日時:2024年9月20(金)~22日(日)10:00~17:00
◆会場:インテックス大阪4・5号館
◆主催:一般社団法人ペットフード協会/一般社団法人日本ペット用品工業会/メッセフランクフルト ジャパン株式会社
2024年9月20日(金)に、インテックス大阪で開催された「第2回インターペット大阪~人とペットの豊かな暮らしフェア~」に参加してきました。Knotsは、本年4月に東京で開催された第13回インターペットに引き続き、今回も協賛させていただいております。
この日はビジネス商談限定日でしたが、出展者の方々をはじめとして、たくさんの方が犬と一緒に参加されていました。
各出展ブースも、原材料にこだわったフードやおやつ、トリミングや口腔ケア等日頃のお手入れやケアに必要なグッズ、リードやハーネス、ペットシーツ・消臭剤等の日用品、ペットの体に優しい素材のインテリア用品等々、多くの企業・団体が出展されていました。
特設ステージでは、一日を通して様々なプログラムが開催されました。
<ビジネスフォーラム①ペット産業における成功事例とこれから注目される分野とは>
越村義雄先生(一般社団法人ペットフード協会名誉会長/一般社団法人人とペットの幸せ創造協会会長)が進行役を務められたフォーラムでは、パネリストの4名の先生方のお話を聞かせていただきました。
細井戸大成先生(公益社団法人日本動物病院協会相談役/株式会社VR ENGINE会長)は、長年にわたる臨床経験や獣医師会・日本動物病院協会等の役員を務められたご経験から、「成功の秘訣は役割を明確にすること」と語られました。
1989年に獣医師仲間の先生方と日本で初めて夜間救急動物病院を開院された後、2005年には動物病院の紹介のみを受け入れる二次診療施設への発展に尽力され、一次診療と二次診療に分けることで社会のニーズに応えてこられました。役割を明確にした上で、「自分たちが最初に取り組む」ことが成功の秘訣なのだそうです。
今後は、各家庭のペットのストーリーに寄り添いながら、それぞれに合った訪問診療を行っていく等して、高齢者も含めたペットオーナーが心地よく世話ができ、充分に世話ができないときは周りがサポートする仕組みを整えることが大切とのことでした。
犬養丈裕先生(株式会社スマック取締役社長)は、犬猫の飼育頭数が減少してきている現状において、「添加物」「原材料」「カロリー」「大きさ」「硬さ」「食べやすさ」等についてペットオーナーの声に応えた「こだわり犬おやつ」の開発・販売で成果をあげられているお話を聞かせてくださいました。
共に暮らす家族の一員であるペットに合った良いものを、自分たち人間が食べているものと同じものを、という要望だけでなく、最近は「与える楽しさ」も求められているそうです。ペットオーナーの気持ちに寄り添い、ペットに与える楽しさも保障しつつ、ヒューマングレードの原材料にこだわりながら、健康に配慮した嗜好性の高いおやつを提供できるよう企業努力を続けておられます。
五味宏樹先生(ジェックス株式会社代表取締役社長)は、いきものとの暮らしで愛情あふれる体験をすることが長期飼育につながるというお話の中で、観賞魚用フィルターの製造で培った水をきれいにする技術を活かして犬猫用の自動給水器を開発したことや、水槽製造でのガラスを加工する技術を活用して、ワイヤー製のケージに代わるガラス製ハムスターケージを開発し「かわいい姿を見たい」というペットオーナーのニーズに応えた成功実例を聞かせてくださいました。
製造・販売だけでなく、幼稚園・高齢者施設・商業施設等での啓発活動や小中高生の生物クラブの支援等にも取り組まれており、一人でも多くの人にいきものを飼育してもらい、いきものとの暮らしで人も地球も豊かにすることを目指しておられるとのことです。
生天目裕一先生(協同組合ペットサービスグループ〔略称PSG〕事務局長)からは、ペット業界において実践的な技術・専門的な知識の教育を行うことで人と動物の理想的な共生社会を構築していくことを目指しておられるお話を聞かせていただきました。動物取扱責任者の資格要件を満たす「小動物飼養管理販売士」のライセンスを発行されている中で、人材育成を通じて、同じ職場で働く職員だけでなく、お客様や地域コミュニティーへ学んだことを伝えていくことが重要な役割であると話されました。
様々なお立場の先生方のお話を聞かせていただき、皆様が「人と動物が幸せに暮らせる共生社会」を具現化するために尽力しておられることがダイレクトに伝わってきました。
<ペットに関する法令について>
菅原美咲先生(農林水産省 消費・安全局 畜水産安全管理課 愛玩動物用飼料対策班 専門官)は「ペットフード安全法の概要(ペットフードの安全確保のために)」というテーマのお話を聞かせてくださいました。
2007年に米国でペットフードに有害物質メラミンが混入し、犬・猫が相次いで死亡したことを受け、日本では2008年にペットフード安全法が公布され、翌2009年に施行されました。近年人気の高いジビエについては、銃弾の混入による鉛の残留があることから基準値も設定されていることや、銃弾の経路付近の肉の使用を避けること、充分加熱すること等を詳しく説明していただきました。
Knotsは、「障害者自立支援事業」および「野生動物有効活用推進事業」としてワンちゃん用の手作りクッキー・兵庫県産の鹿肉を使用したジャーキー類を販売しており、製造はNPO法人おーけすとら・ぴっと就労継続支援(B型)事業所「Patch」さんに担当していただいています。これからも無添加で安心・安全なおやつをお届けしたいと思っています。
立田理一郎先生(環境省 自然環境局 総務課 動物愛護管理室 室長)からは、「動物愛護管理法の概要(人と動物の共生する社会の構築のために)」についてお聞きしました。
動物愛護管理法の直近の改正で、犬猫へのマイクロチップの装着が義務付けられましたが、迷子になった犬猫の返還の促進や適正飼養の確保、遺棄などの減少だけでなく、災害時に無事に飼い主の元に返ることの意義についても説明してくださいました。法律の改正前から既に飼育されている犬猫で現在未装着の場合は、マイクロチップの装着については「努力義務」となっていますが、非装着の理由で多いのが「室内飼育だから」というものだったそうです。日頃の飼育場所が室内であったとしても、災害時に逸走するケースを想定し、装着することの重要性について強調してお話しくださいました。
<ビジネスフォーラム②少子高齢化にペット産業は何をすべきか>
ビジネスフォーラム①に引き続き、越村義雄先生が進行役を務められ、4名の講師の先生方のお話を伺いました。
北尾貴史先生(動物メディカルセンター院長)は、子ども達の中にあるペット業界への関心を高め、ペット飼育が当たり前の日常にするために動物病院ができることとして、職業体験実習等を通して動物とふれあう機会を作り、いきものの命の大切さを学ぶ場を提供することや、飼い主向けセミナーや犬種別パーティー、子犬・子猫の幼稚園等を通してペットに関しての情報発信を行っていくこと等について語ってくださいました。
動物病院は、ペットを飼育していない人にとっては足を踏み入れる機会が少ない場所ですが、飼育前にペットのことを学べる場であることも重要な役割であり、「最後は動物病院で死ぬ」という悲しいだけの場ではなく「ペットとの共生を再認識」する場でもあり、「ペットとの共生の最後のグリーフケア」ができる場所であることも大切であるとのことでした。そして、ペットとの共生がもたらす高齢者の心と体の健康のため、ペットと共に生きることの意味を発信し続けたいと締めくくられました。
平尾泰久先生(ペット共生型有料老人ホーム ペピイ・ハッピープレイスTAMATSUKURI 施設長)が施設長を務めておられる施設では、「これからもペットとずっと一緒に暮らしたい」という方をペットと共に施設で受け入れておられ、介護職員だけでなく動物看護職員も配置して、人とペット両方の健康と生活をサポートしておられます。
少子高齢化が進む社会の中で、ペットと暮らすことで心の豊かさを得られる取り組みとして、ペピイグループが大阪市獣医師会とのコラボレーションで行っている子猫リレー事業や、飼い主としてではなく「猫を預かれなくなるまで預かりを行う」という方針で猫と暮らす機会を創出されている保護団体についても紹介してくださいました。
70代になってくるとペットとの共生を断念する方も多く、ずっと一緒に暮らしたいけれど現実的には難しいという壁に直面します。そのような現状の中で、地域包括システムの中に動物医療が加わり、動物看護師が高齢者の生活支援に参画できれば、高齢者の自立を支え、自分らしく暮らせる支援ができるのではないかとお話しくださいました。
児玉博充先生(一般社団法人ペットフード協会会長)は、ペットの健康を支え、ペットの命を護る活動等を行うペットフード協会が毎年実施している「全国犬猫飼育実態調査」に触れ、推計であるものの犬猫の飼育頭数が減っており、ペット飼育の阻害原因に「飼ったことがない」「ふれあい方がわからない」という理由が挙げられ、逆にペット飼育のきっかけに「過去に飼っていたことがある」という理由が挙げられることから、ペットとふれあう機会を創造する必要性について語ってくださいました。
また、犬の飼育が介護費の削減につながるという論文を発表された谷口優先生(国立研究開発法人 国立環境研究所 主任研究員/地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター 協力研究員)の研究についてもご紹介くださり、介護費の削減が社会保障費の減少につながるため、犬が苦手な人にも影響があり、社会的価値が高いことを述べられました。
なお、谷口優先生には、10月27日(日)に当法人が主催する『人と動物の共生およびSDGs推進シンポジウム2024「ペットとの暮らしを活用する豊かな社会-それを可能にする環境整備-』にご登壇いただき、「動物が人にもたらす健康効果」と題して講演していただきます。
https://knots.or.jp/2024/01/symposiun2024_241027/
当法人がインターペット大阪に協賛させていただいていることから、会場ではシンポジウムのチラシを設置していただきました。
山本洋介先生(一般社団法人日本ペット用品工業会会長)は、日本で犬猫ともに飼育頭数が減少している要因として、動物愛護管理法の改正によりブリーダーが登録制になり、書類作成等に対応できない方々が廃業されたことで生体供給数が減り、流通価格が高騰したことを挙げられました。
しかしながら、高齢化社会においてアプローチできることとして、ペットを犬や猫だけに限定せず、どんなペットが適しているかアドバイスを行う「個人に合ったペット選定のカウンセリング」や、犬猫に限らない「ペットシッター」等の訪問サービス、ペットホテル、ペットと宿泊できるホテル、高齢者でも参加できるペットコミュニティの構築等のサービスを充実させることができれば、終生飼養可能なペットを見つけて残りの人生を楽しく暮らせるのではないかという可能性についてもお話しいただきました。
今回、様々な立場の先生方のお話を聞かせていただき、将来、ずっとペットと一緒に幸せに暮らせる社会を実現するための仕組みを作っていくことがいかに重要な課題であるかを実感しました。そして、多くの関係機関の方々と「結び目」を作り、大好きなペットと一緒に明るい老後を過ごせる仕組みの構築を、改めて実現させていきたいと強く感じました。