お知らせ

NEWS

日時:10月22日(土)10:00~18:00・23日(日)10:00~15:30
会場:兵庫県神戸市のHAT神戸を中心とするエリア
主催:防災推進国民大会2022実行委員会(内閣府・防災推進協議会・防災推進国民会議)
協力:兵庫県/神戸市/阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター
協賛:兵庫県国際交流協会

神戸市のHAT神戸を中心とするエリア(人と防災未来センター・JICA関西・IHDセンタービル・なぎさ公園)で開催された『ぼうさいこくたい2022』を見学させていただきました。会場となった人と防災未来センター、JICA関西、IHDセンタービルでの展示等のほか、なぎさ公園や公園前道路では屋外ブースによる企画展示等があり、多くの方が来場されていました。

環境省自然環境局総務課動物愛護管理室様が「人もペットも災害対応(ペットと一緒の避難 準備は大丈夫?)」というテーマで出展され、Knotsも資料等提供で協力させていただきましたので、NPO法人ペット防災サポート協会様、認定特定非営利活動法人人と動物の共生センター様と共同出展されているブースを訪問させていただきました。

 

同行避難やマイクロチップの普及啓発パネル、グッズ等を展示されている環境省自然環境局総務課動物愛護管理室様のブースでは、準備したリーフレット類は2日間で全て配布されたほど、訪れた皆様の関心も高かったそうです。一緒に避難することを想定して、避難袋の中身や、避難所で犬猫が落ち着いて過ごせるための居場所となるクレートの使い方についても紹介されていました。クレートは、Knotsが神戸市より管理運営業務を受託している「こうべ動物共生センター」にあるものを展示でお使いいただきましたが、実際に犬のぬいぐるみが入っている様子を見て、「こんなふうに使うんだ」とイメージされた方もおられたようです。

阪神・淡路大震災が起こった27年前はまだ「同行避難」という言葉は、一般的ではありませんでしたが、多くの飼い主さんが避難所にペットを連れて来られた記録が残っています。

阪神・淡路大震災では、被災した動物の救援活動が初めて組織的に行われ、その経緯やその後の調査が記録集にまとめられています。Knots所有の記録集を一緒に展示していただきました。現在は、神戸大学附属図書館「震災文庫」でご覧いただけます。

「大地震の被災動物を救うために : 兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録」

https://da.lib.kobe-u.ac.jp/da/eqb/0100055426/?lang=0&mode=0&opkey=R166390325277750&idx=1&chk_schema=10000&codeno=&fc_val=&chk_st=0&check=000

この動物救援活動の1年後に、新しい家庭に譲渡された保護動物の調査が行われ、Knots設立のメンバーも調査に参加させていただきました。この調査により成犬・成猫でも譲渡後新しいご家庭で問題なく飼養されることが明らかになりました。調査の詳細についてもこちらの記録集にまとめられています。
その後、子犬・子猫だけでなく成犬・成猫も譲渡の対象となり、全国での動物愛護センターの設置、動物管理法から動物愛護法への改正など、この被災動物救援事業が新たな「人と動物の共生」の礎となり、これまでの長い取り組みの成果が、「こうべ動物共生センター」へと受け継がれています。

認定特定非営利活動法人人と動物の共生センター様のブースで無料で配布されていたペット防災カレンダーは、迷子札をつけることや備蓄、家具の固定や避難所の情報を知っておくこと等の内容も学べるように工夫されていました。

筆者の居住地である兵庫県西宮市の防災マップは、災害時の各避難所がペットと一緒に避難できるかどうか一目でわかるよう記載されていますが、このような情報が整備されている自治体は多くないのだそうです。

NPO法人ペット防災サポート協会様は、避難するときの持ち出し品リストや、ペットの情報などを1冊にまとめた「たすかるノート with PET」のほか、ペット防災の啓発用ツール、災害時に必要なグッズ、過去の災害の写真展示をされており、被災地で支援活動をしておられる方のお話も聞かせていただくことができました。

ペットと一緒に避難することは「同行避難」と言われますが、避難所内で飼い主とペットの住み分けが求められ、人だけのスペースとペット飼育スペースに分かれて生活しなければならないこともあります。原則としてペットは屋外というルールのところもあり、「ペット可」とされていても避難所によって対応は様々であるため、避難所以外への避難、例えば、「動物病院」「ペットホテル」「友人宅」「親戚宅」などにペットを預けてペットの安全を確保するといったような「分散避難」も選択肢として想定されます。災害時の状況に応じて人もペットも助かるためにどのように備えておけばよいのか、日頃から考えておく必要があると改めて感じました。

「被災地で活動する災害救助犬//ペットの災害対策」として出展されていた、認定特定非営利活動法人日本レスキュー協会様は、阪神・淡路大震災の起こった1995年に設立されたそうですが、ブースでは資料の展示のほか、災害救助犬をテーマにした紙芝居も披露されていました。

 

「専門の知恵を集めて、被災のみらいを支える」をテーマに出展されていた近畿災害対策まちづくり支援機構様は、Knotsもお世話になっている兵庫県弁護士会様をはじめ専門家団体で構成されており、被災された人がどのような支援を受けることができるのか情報発信を行ったり、法律相談、税金に関する相談、年金に関する相談など、阪神・淡路大震災の経験を活かして様々な相談業務等を行っておられます。

屋外展示のエリアでは、モバイルトイレの展示もありました。モバイルトイレは、車椅子を利用される方向けに開発された移動式バリアフリートイレで(トヨタ自動車・LIXIL共同開発)、多機能トイレを搭載した車両を、けん引によって自由に移動させ設置することができるものです。車椅子を利用される方の外出支援に役立ち、東京パラリンピックにおいて開会式、閉会式、マラソン競技で使用されたそうです。実際に中に入って広さや使いやすさを確かめられる方もおられました。

このように、多くの様々な立場の方々が防災について情報発信・啓発を行われる場で、いつ起こるかわからない災害への備えの必要性を改めて感じることができました。

※Knotsの事業である「ずっと一緒にいようよプロジェクト」は、東日本大震災での飼い主さん支援が発端となって始まりました。『ずっと一緒にいようよ』募金活動で集まった募金をもとに熊本地震の被災者の方々がペット可物件入居される際の支援や飼い主さん向けの支援情報の発信をさせていただいたほか、平時においても人と動物がずっと一緒に幸せに暮らせるような社会システムを構築するため、その方策を議論研究して提案し、これらの情報を発信、その実現化を支援する活動も行ってまいりました。2015年に開催した「神戸全ての生き物のケアを考える国際会議2015(ICAC KOBE 2015)」の分科シンポジウムの中の1つとして「地域を幸せにする伴侶動物飼育支援システム―伴侶(家庭)動物の暮らしを地域活性へ」というテーマで数名の方の発表がありました。このシンポジウムの成果を論文にまとめ、2016年には学会誌に掲載されました。是非ご一読ください。

論文「伴侶動物との暮らし」を活用した 「高齢者が幸せに暮らせる社会システム」の提案」