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ピックアップ 2022.09.02

【報告】奈良県 うだ・アニマルパーク振興室「2022 サマースクール in うだ・アニマルパーク」チャレンジC『張り子の動物を作る』

奈良県では、2012年度から県内の主に小学生を対象に「いのちの教育」プログラムを実施しており、同年6月に当法人と連携協定を締結して、共に「いのちの教育」の普及展開を推進してきました(詳細はこちらのページを参照ください)。

このプログラムでは生体を使わず、20体ワンセットの張り子の動物を使用して授業を行っていますが、新聞紙を使って制作されている張り子の動物はボコボコした手触りと表情に独特の温かみがあって、学校の先生たちからも「これほど子どもたちの関心を集める教材は初めて」「子どもたちが感情移入しやすい」「アレルギーの子にも安心」という感想を多数いただいており、すでに県下に194校ある74%以上の小学校での実施が実現しています。

2022年8月18日(木)~19日(金)
「2022 サマースクール in うだ・アニマルパーク」チャレンジC『張り子の動物を作る』

「いのちの教育」の拠点になっている「うだ・アニマルパーク」は、適切な環境で飼育されている動物が多数飼育されている公園としての機能もあるため、週末や夏休みには多くのご家族が訪問する場所になっており、「いのち」に触れ合うことができる体験の場として「サマースクール in うだ・アニマルパーク」が開催されています。その中の人気のプログラムのひとつが、張り子作り教室です。

「いのちの教育」プログラムの張り子の制作者でもある当法人の理事兼企画教育部長の小椋が講師となり、参加申込をしてくれた子どもたちと一緒に張り子の動物を制作します。このプログラムでは、保護者の皆さんは最初と最後に立ち会っていただくだけで、張り子づくり教室や動物のお世話の間は初めて会う子どもたちだけで過ごします。最初は緊張していた子どもたちも、終了時にはすっかり仲良くなっています。
午前10時から始まるプログラムですが、新聞紙を使って形作りをした後に本体を乾燥させないといけませんので、成形後にヤギの餌やり体験をしてから昼食を取り、午後からはポニーのブラッシングをした後に着色作業を行います。

張り子の良いところは、ボコボコした手触りや左右対称ではないアンバランスなところが、「たったひとつのいのち」を象徴するものとして感じることができ、子どもたちが自分の手で生み出したものに感情移入をして共感を持つことができるところです。
また、思った以上に本格的なものが完成しますので保護者の皆さまもびっくりされますし、子どもたちならではの独特の感性で成形、着色された味わいのある作品が完成します。材料も、新聞紙、セロハンテープ、洗濯のり、絵の具だけですので、それほど材料費もかかりません。

完成後には、保護者の皆さまにも参加していただいて作品発表をすることになっていますので、制作中には講師が子どもたちに声がけをしながら、以下のことを想像しながら制作してもらっています。

  • 動物の種類
  • 名前
  • 性格
  • 鳴き声
  • どんなお世話をしてあげるのか
  • 工夫したところ など

張り子作り教室は、ただ単に工作をする時間ではなく、自分で創り出した動物の性格やお世話の方法などを想像し、それと同時に生きた動物のお世話体験をすることで、サマースクール全体として私たち人間が守るべき責任ということを考えてもらう内容になっています。

参加してくれた子どもたちの半数以上は、すでに「いのちの教育」プログラムを受けたことがありましたし、現在、6年生だけど、1年生のときにプログラムを受けたという子どもたちもいました。10年にわたって実施をしてきた「いのちの教育」プログラムの歴史を感じる瞬間でもありました。
また、「その授業のときに『人間と動物は繋がっている!』ってみんなで声に出して言ったことを覚えている?」と聞いてみると、「覚えている!」という答えが返ってきました。大学の教授をはじめ、教育の専門家らのメンバーによって定期的にプログラムの内容のブラッシュアップを行っている「いのちの教育」研究協議会でも重視していた、「重要なキーワードは、声に出して読み上げる」ということの効果を実感しました。

引き続き当法人では、奈良県と連携をして「いのちの教育」プログラムの普及展開に尽力をさせていただきたいと思っております。これらのプログラムに関心をお持ちの自治体や教育関係の皆さまは、気軽に当法人の事務局までお問い合わせください。