お知らせ
NEWS主催:公益社団法人日本獣医学会
会場:北野
趣旨:農場動物飼育において食の安全の達成が求められて久しいが、今、動物福祉を考慮せねばならない状況が迫っている。本シンポジウムでは、食の安全と動物福祉はトレードオフなのか、相乗効果なのか、我が国の農場動物飼育はこれにどう対処するのかについて議論したい。
農場での養豚福祉 | |
纐纈 雄三氏
明治大学農学部 教授 |
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本講演では、EUと米国と日本の養豚生産、養豚福祉問題と農場での福祉実践について述べる。なお世界一の豚生産国は中国であり、EUは2位、米国は3位、日本は8位である。
養豚福祉の争点のひとつに、妊娠期における個別ストール飼養がある。ストールは、個々の豚に適切な栄養量を給与し、母豚間の攻撃行動を防ぐため、養豚の主要国で長年にわたって広く使用されてきている。養豚福祉を強く推し進めている力は、動物権利の活動家達と消費者団体である。 2013年、EU主要国で動物福祉法が施行された。EU生産者は4オプションがある。どのオプションも、様々なデメリットがある。母豚間の攻撃行動、力関係による栄養の過不足、生産コストと必要面積の増大が、EU生産者には問題である。 法規制主導のEUに反して、米国生産者は、母豚間の攻撃行動を防ぎ、必要栄養量を確実に給与するための、科学ベースでかつ農場での教育プログラムを模索してきた。生産者からの寄付で運営されている米国養豚協議会(NPB)はPork Quality Assurance Plus (PQA Plus)を始めた。このプログラムは、養豚福祉と農場での食の安全を連続的に改善するためのもので、「10のよい生産実践」からなっている。現在、約80%の豚が、このプログラムに参加している農場から出荷されている。さらに「よい農場文化の形成」のために、倫理的原則が大切とされている。 日本は、家族経営の農場が多く、母豚死亡率は低く、生産者の豚飼育技術レベルは高い。豚飼育の倫理的原則も常識としてよく実践されている。が、ほとんどが小規模農場のため、国際コスト競争にさらされ存亡の危機にある。福祉のために、農場での衛生レベル向上、健康保持を大切としている。結論として、文化や生産システムの多様性から、養豚福祉の実践は国によって違う。 以下研究室のホームページです。 |