お知らせ
NEWS日時:2014年7月19日(土)13:30~16:30
会場:和楽
主催:人と動物の共通感染症研究会
趣旨:現在、私たちの周囲では、犬、猫以外にも、小鳥やカメ、ヘビ、トカゲなどのハ虫類、カエル、イモリなどの両生類、熱帯魚等さまざまな動物がペットとして飼育されています。今回のシンポジウム「身近に存在する人と動物の感染症」では、1.人と動物の共通感染症の最近の動向、2.狂犬病、3.サルモネラ症、4.皮膚糸状菌症、5.エキノコックス症、6.感染症対策について、それぞれご専門の先生にご講演いただきます。身近な人と動物の共通感染症について正しい認識を持っていただき、ペットと楽しく、快適に生活するための一助になれば幸いです。
ウイルス:狂犬病(犬) | |
井上 智氏
国立感染症研究所獣医科学部 第二室(感染制御研究室)室長 |
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狂犬病はいまも世界中で発生が報告されている。毎年、7万人以上の人が狂犬病に罹患した犬等動物に咬まれて数か月後に発症(=死亡)しています。幸いに、日本では1958 年以降、国内での感染による狂犬病の発生は人にも動物にも認められていませんが、海外で狂犬病の犬に咬まれた際に適切な暴露後のワクチン接種を行えず帰国後に狂犬病を発症して死亡した3名の輸入狂犬病が報告されています(http://idsc.nih.go.jp/iasr/28/325/tpc325-j.html)。現在、狂犬病予防法(1950年、厚生労働省)、感染症法(1998年、厚生労働省)、家畜伝染病予防法(1951年、農林水産省)に基づいた国・地方自治体、医師・獣医師等による人と犬等動物に対する狂犬病の予防対策が粛々と行われています。長らく狂犬病が発生していないため国民の狂犬病に対する危機意識の低下が懸念されていましたが、2006年に京都と横浜で発生した人の輸入狂犬病によって狂犬病の脅威が知られるところになりました。また、対岸に対する危機感の高まりを受けて関係者による狂犬病の発生を想定した対策強化と正確な情報提供等による国民の啓発が促進されました。公衆衛生対応として、時代に応じた国の危機管理プラン(狂犬病対応ガイドライン2001および2013)の更新と、各自治体における発生を想定した対応マニュアルの準備や訓練が行われています。しかしながら、公衆衛生における動物由来感染症対策は人に並行して人の感染源となりうる犬等動物の対策が鍵となります。この意味で、適正なペット動物等の飼育や飼育犬の登録等は国民の協力なしには成し得ません。本シンポジウムでは、世界(特に近隣アジア地域)における狂犬病の最新の話題をご紹介することによって、日本が狂犬病の無い国であり続けるために必要な取り組みを市民の方々と共有したいと思います。 |
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