ヒューメインセンタージャパン(HCJ)事業 講演とワークショップ
ヒューメインエデュケーション・寄り添う心を創る
■主 催 | 公益社団法人日本動物福祉協会/公益社団法人Knots | |
■後 援 | 環境省/文部科学省/ 東京都教育委員会/大阪府教育委員会/泉佐野市教育委員会/ 社団法人日本獣医師会/公益社団法人日本動物病院福祉協会 |
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■特別協力 | 公立大学法人大阪府立大学生命環境科学研究科獣医学専攻 | |
■協 賛 | ||
■開催日時 | 2011年11月12日(大阪)/13日(東京) | |
■開催場所 | 大阪 | 大阪府立大学りんくうキャンパス |
東京 | ヤマザキ動物専門学校 | |
■講 師 | ディーパシェリー・バララム氏(Dr. Deepashree Balaram:略歴) | |
ジョイ・レネイ氏(Joy Leney:略歴) | ||
■記録集 | ヒューメインエデュケーション・寄り添う心を創る (PDF) |
翌12日・大阪、13日・東京で開催されるHCJのセミナー「ヒューメインエデュケーション・寄り添う心を創る」の開催に先立ち、公益社団法人 Knotsスタッフおよび公益社団法人 日本動物福祉協会の山口千津子先生と共に、今回来日して下さったディーパシェリー・バララム氏とジョイ・レネイ氏が関西において先進的な愛護教育を行っている奈良県桜井保健所・動物愛護センターを訪問しました。この訪問は、日本においてどのような愛護教育やヒューメイン・エデュケーションが行われているのか、また、行政による譲渡活動と殺処分の現状などを現場の職員と共に考えたいというお二人の強いご希望により実現しました。
まずはこの愛護センターで独自に開発をして使用している教材やイベントなどの内容を、会議室でセンターの職員から紹介して頂きました。行政のパンフレットや教材は、何となく取っ付きにくいイメージがありますが、このセンターで使用しているものには独特の雰囲気を持ったイラストが添えられており、子供たち自らが書き込んだり遊んだり、参加しながら要点を伝えられるように工夫がしてあります。 また、エントランスや廊下には子供たちが授業の中でペイントしたオリジナルの張り子の犬が展示されていて、バララム氏とレネイ氏は、このセンターでのエデュケーションプログラムの質の高さを高く評価されていました。また、イベントやサマースクールが行われている愛護館では、室内で一緒に犬や猫たちと生活することを想定して作られたリビングに興味を持っておられました。ここでは、週末ごとに犬と暮らすために必要なことを勉強する講習が行われたり、ふれあい教室が開催されています。
次に施設の中を見学しましたが、まずは収容された動物の中から譲渡に回すことができる犬と猫を収容しているエリア。この日は、ちょうど子犬たちが社会化をさせるために職員が一緒に遊ぶ時間でしたのでその様子と、6頭の成犬が収容されている犬舎を見て回りました。その後、厳重な消毒をして負傷した動物の治療を行う医療棟に向かいましたが、これだけ少ない頭数に対して充分な設備と多くの職員が手をかけていることは、非常に恵まれた環境であるということに関心をしておられました。
日本のように行政が行っているセンターとでは、その業務内容の幅も全く違うので、一概に日本の愛護センターでは人手が十分であるということは言い切れないのも現状です。
そして、愛護センターのもうひとつの業務である、動物の収容とその適正な保管と処分の現状を見学されました。この施設では非常に丁寧な保管がなされており、動物のにおいを感ずることなく犬舎を見て回りました。また処分に関してはここでも炭酸ガスの処分機は存在しますが、極力1頭ずつの麻酔死を心がけておられるとのことでした。そして、遺体を焼却する大きな焼却炉に関心を寄せられていましたが、日本では人間も死亡すると火葬するのが一般的ですので、こういったところにも、各国の文化の違いによって何を人道的とするのかの違いが表れてくる部分でしょう。
さて、ここから明日の会場となる大阪府立大学りんくうキャンパスに移動となります。大阪府立大は、動物科学教育研究センターと獣医臨床センターとで構成された大学です。この大学は、中庭にある「Animal」と「Human」の両方を象ったモニュメントが示す通り、人と動物との共生をモットーとした教育を行っており、ここから今回のような国際的な情報の発信ができることは、とても意義のあることだと感じています。明日のセミナーの会場は、この大学の5階にある多目的ホールで開催されます。
キャンパス内には、大型から小動物に至るまでの全ての動物の医療に関わる設備が整っており、こうした学内の設備を笹井教授の案内で見学させて頂きました。非常に先進的な設備と清潔に管理された学内に、バララム氏とレネイ氏も高い評価をされていました。