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2012.12.30

第3回 神戸アニマルケア国際会議 —ICAC KOBE 2014「人と動物の未来の為に」アドバイザー

アドバイザー・メッセージ

(50音順)
植村 興氏植村興先生
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(四条畷学園大学 教授)

 

 

 

 

僕が籍を置いているバングラデシュの大学には数匹の「キャンパス猫」が住み着いている。そこらをうろついたり木の上で寝そべったりしているが、誰もあまり気にしている様子はない。でも尋ねてみると、学生も職員も猫の存在は知っている。この数年で特に数が増えた様子もないから、何らかの制御機構が働いているに違いない。

ダッカでは、断食明けと年1回のイードのお祭りの期間になると、数人のガードマンを除いてキャンパスから人影が消える。僕はたまたま、2013年のイードの時に大学に滞在した。いつも衣食のお世話になっている職員も休暇で留守。困ったのは僕とキャンパス猫。僕は、余りキッチンに出入りはしていなかったが、生きるためにキッチンへ。と、例のキャンパス猫が足元にすり寄ってきて、ニャーン。今まで見向きもしなかったのに、なんだ、お前たち。あ、そうか、腹が空いているのか。

キッチンの床には、猫用の食器とおぼしき空き缶があった。僕は、自分の食べ物を少し入れておいた。僕は、キャンパスに話し相手が居ないので、猫が来ると嬉しかった。猫も僕に興味を示し始めたようだ。呼びかけると反応する。お互いに癒されているのかな。異国で変な共生関係が始まったものだ。

次回、キャンパスがにぎやかな時に来たとき、多分、彼らは僕には知らん顔をしているだろう。それでいい、それが自然だ。

彼等には長生きしてほしいな。

 

 

笹井 和美氏笹井和美先生
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(公立大学法人大阪府立大学 獣医学類 教授)

 

 

 

 

2009年に産声を上げた、神戸アニマルケア国際会議も第3回目の開催となり、ヒトと動物が共に豊かに暮らすために関係者が一堂に会する唯一無二の会議としてその重要性も増してきました。

近年、地球規模での食料危機、環境問題、良質で安全な畜産製品の供給、バイオリソースとしての生物資源の確保やその利用、伴侶動物の健康管理、新興・再興感染症、食品衛生等の諸問題に対して獣医師の役割は日々重要度が増しています。さらに、災害時等における動物救護は獣医師に向けられた大きな課題となっています。未曾有の大震災から3年を経過した現在でも被災したヒトや動物は元の穏やかな生活を取り戻すまでに至らない状況が続いています。

このようななか、ヒトと動物の共生の実現に対して重責を担う獣医師の養成には劇的な変化があり、文部科学省は平成25年3月に取りまとめた「教育改革の進捗状況と獣医師養成の在り方について」において、現状の獣医学教育を見直し、「One World, One Health」の実現に向け、新たな社会的ニーズ、国際的な通用性の確保、獣医師の活動分野の偏在などの課題に対応した獣医学教育の改善・充実を図るため、全獣医系大学に共通したモデル・コア・カリキュラムによる教育の実施、分野別第三者評価の導入などによる評価システムの構築、臨床教育の充実に向けた参加型臨床実習の導入、診療行為に参加する学生の事前評価について社会的信頼を得る仕組みとしての共用試験の導入、共同学部・共同学科の設置など大学間連携の促進による教員の確保などを推し進めています。

このような情勢を受けて、幅広い専門性を有する関係者や一般の参加者による日本の獣医学教育に対する「前向き」かつ「実りのある」議論が進み、ヒトと動物が自然に、豊かに暮らせる社会の実現の一助となるような会議として進めていきたと考えております。

 

 

柴内 裕子氏柴内裕子先生
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(公益社団法人日本動物病院福祉協会 顧問/赤坂動物病院 院長)

 

 

 

 

人類は地球上の全ての命の責任者

今、人類は70億人を越え、限りある地球を汚し続け、温暖化を急速に進め、予測もつかない気象の変化を起こし、被害は甚大となり、多くの生命を絶滅にさらしています。人類はこの変化に抗していけるのでしょうか。これらのことについては、誰もが気付き危機感を持ちながらも、今や既にその対策は、個人は勿論、一国家でも不可能な加速状態です。

省みると人類は、太古の昔から大自然の中で様々な動物たちと接し、多くの恩恵を受け、時には自然の猛威にさらされながら、人間としての資質を養ってきました。しかし、近代の世界は、先進諸国の工業大都市社会化により、自然からの隔離、コンクリート化、核家族化、少子高齢化が進み、特に日本は超高齢社会、就労人口の減少、人と人との絆は、益々希薄となり、育ちゆく子どもたちは、その成長の段階から自然環境や動物との社会化の機会を失っています。具体的には、小学校入学までの家庭の崩壊です。これは既に2世代目に及び、虐待や育児放棄の親、子どもたちは、いじめ、うつ病、自殺、無差別犯罪の暴発等々将来を担う子どもたちの成長の環境は多大な問題を抱えています。今できること、育ちゆく子ども達に命をみつめ地球の責任者としての判断力と真の勇気を持てる教育の一助として身近な伴侶動物の力を生かした動物介在教育(Animal Assisted Education)AAEの大切さを伝え実践しています。

 

 

玉井 公宏氏玉井公宏先生
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(公益社団法人和歌山県獣医師会 会長)

 

 

 

 

2009年にNPO法人(当時)Knotsが主催して初めて開催された神戸アニマルケア国際会議2009は、私達の考え方に明るい方向性を示し、その行動に力強い信念を与えてくれました。
未曾有の大災害に見舞われた後の第2回神戸アニマルケア国際会議2012では、社団法人(当時)日本獣医師会と公益社団法人Knotsが主催者となり、より多様で科学的な議論が交わされました。この会議開催を経て、幅広い分野で活躍する多くの人々が、多角的な情報と成否取り混ぜた研究や活動の結果と意義を共有し、更なる考察を深めることができました。私達の責任の重さが実感され、「次に何ができるか」への取り組みに対する緊急性が強く求められるようになったのです。
科学を基に、社会と行政の心の通った相互作用が見られるようになりました。緊急災害時の対応について、和歌山県では動物愛護の観点だけでなく、「被災者支援の一環」として、適正飼養されている動物を県主導で救護する準備をしています。
そして、今回の第3回神戸アニマルケア国際会議2014では、公益社団法人日本医師会が共催者として参画くださり、「人と動物の未来の為に」の本質的実効的な会議が開かれます。このことは画期的なことで、私達にとって大変重要な意義があります。分野と組織を超越した連携により、まさに「OneWorld, OneHealth」(動物と人の健康は一つ。そして、それは地球の願い。)を具現化する会議となります。
私達にゴールはなく、毎回毎回が新たなスタートです。人だけでも、動物だけでも解決が難しかった問題に対して、様々な立場の皆様が動物を介在した同じスタートラインに立ち、テーブルを囲み、質と幅とスピード感において、更なる相乗効果が現れるきっかけとなることができればと楽しみにしています。

 

 

山口 千津子氏山口千津子先生
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(公益社団法人 日本動物福祉協会 獣医師調査員)

 

 

 

 

この神戸アニマルケア国際会議も第3回目を迎えることとなりました。前回から主催は(公社)日本獣医師会と(公社)Knotsとなりましたが、今回は、ワンワールド・ワンヘルスの下に、共催として、(公社)日本医師会がご参加くださることになり、テーマ「人と動物の未来の為に」にふさわしいものとなりました。この会議は幅広い分野をカバーしておりますが、相手への思いやりどころか命の大切ささえ薄れ始めている今の日本で、「動物」という心も感情もある生き物を切り口にした「いのちの教育」が重要視されてきていることを受け、文科省や教育委員会をはじめとする教育関係者もこのシンポジウムに注目しておられます。さらに、動物関係の学科を持つ多くの大学からも学生たちの今後に重要と積極的なご協力をいただいております。
人類誕生以来、人はいろいろな形で動物を利用して来ました。食べたり、衣服にしたり、人の為に作業をさせたり、医学研究や教育に使用したり、エンターテイメントや賭け事に使用したり等々、もちろん、コンパニオンとして共に暮らしても来ました。その数も人口増加とともに、増えております。しかし、人類の発展のためには動物は利用するだけすれば良いという考えは、動物の未来だけでなく、人類の未来をも奪ってしまいます。この地球上、人類だけで生き続けることはできません。今こそ、人類の英知を集め、動物の福祉を確保・推進し、人も動物も健康で幸福に暮らせる未来の為に動かねばならない時が来ていると思います。動物の心身の健康は、人の心身の健康に影響を及ぼします。ぜひ、いろいろな分野から多くの方にご参加いただき、今回の国際会議がその出発点となりますよう願っております。

 

 

山﨑 恵子氏山﨑恵子先生
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(ペット研究会「互」 主宰)

 

 

 

 

神戸で開催されるICACも回を重ねるごとに内容がさらに充実してまいりました。今回も多種多様な角度から人と動物の関係とその意義を探るための分科会が用意されています。参加者の皆様には前回以上にご満足いただけるものと確信いたしております。2013年9月から改正動物愛護法が施行され我が国の動物事情もさらに進化を続ける中このような会議が開催されることは誠に意義深いことでもあります。過去を振り返ってみると動物を取り囲む社会情勢や市民の認識も随分と向上してきたように思えるのですが同時に問題はいまだ多数存在します。人間と動物が共に幸せな生活を送ることができる環境はまだ十分に整備されているとは言い難く今後とも関係者一同努力を重ねていかなければなりません。そのためにも同国際会議のような場に置いて有益な情報交換をすることは極めて大切なことでしょう。ワン・ワールド、ワン・ヘルスという言葉にもあらわされているように人と動物の福祉や健康は切っても切れぬ関係にあります。今会議の場をその再認識の場としていただけることを祈り皆さまのご参加に心より御礼を申し上げます。