お知らせ
NEWS2026.07.20
保護中: 【報告】「動物と人の予防医学研究会 第3回学術集会」発表
2026年7月4日、帝京平成大学池袋キャンパスで「動物と人の予防医学研究会(SPMAH)第3回学術集会~動物と人のインタラクションと共生~」が開かれ、公益社団法人Knots代表理事・理事長の冨永佳与子が、シンポジウム「動物と人の共生に基づいた予防医学」に登壇しました。
同研究会は、動物の健康増進・健康寿命延伸・QOL向上を人のそれらと一つながりのものとして捉え、動物と人のインタラクションを科学的に検証していこうとする学術集会です。今回はスペイン・ムルシア大学のJosé Cerón教授による特別講演に続き、シンポジウムでは4名の演者が「動物と人の共生」をテーマに、それぞれの専門分野から発表しました。
シンポジウムでは、まず東京農工大学の甲田菜穂子先生が「動物たちの衣食住」と題し、伴侶動物の暮らしと人との関わりについてお話しされました。続いて北里大学の松浦晶央先生が「ウマを活用した動物介在介入―ヒト・動物双方の観点から―」と題し、ウマの視点も含めた双方向の理解の大切さを発表されました。
3番目に登壇したのは、国立環境研究所の谷口優先生です。「伴侶動物との暮らしによる健康効果」と題し、犬と暮らす高齢者はフレイル発生リスクが約20%低く、要介護リスクは約45%低いこと、また伴侶動物と暮らす人の月額介護費が非飼育者の約半額であることなど、海外での先生のご研究の成果と共に、大規模な疫学調査から見えてきたエビデンスを紹介されました。谷口先生は、こうべ動物共生センターのセラピー研究フィールドのアドバイザーも務めてくださっており、センターが進める「エビデンスに基づくプログラムづくり」を科学的な面から支えてくださっています。
最後に登壇したのは、冨永代表理事です。「動物と人の予防医学を実現する社会システム―動物行政施設の現場から 現況と考察―」と題して発表しました。谷口先生の研究成果を受けて、「伴侶動物との暮らしが人を守ってくれるのなら、その暮らしを守るのは誰なのだろうか」と問いかけました。伴侶動物と幸せに暮らし続けられる社会をつくるには、こうべ動物共生センター事業運営が目指しているように、動物共生プラットフォームを設けて「具体的な仕組みを整えること」と同時に、「社会全体に共生の文化を育んでいくこと」、この「両輪」が必要だとお伝えしました。
そのうえで、いま動物行政施設にとって特に差し迫った課題である、高齢者と伴侶動物をめぐる問題を中心にお話ししました。飼い主の入院や死亡、多頭飼育崩壊などをめぐっては、動物行政と福祉がそれぞれ同じ課題を異なる入口から見てきたのではないかと指摘し、こうべ動物共生センターが社会福祉協議会と連携して開いているワークショップの実践や、埼玉県朝霞市の「あさか台どうぶつ医療センター」が取り組む高齢の飼い主への譲渡・見守り支援の事例を紹介しました。また、川崎市・京都市・鳥取市・相模原市・名古屋市など、全国各地で始まっている動物行政と福祉の連携事例にも触れながら、動物行政施設が地域の社会システムのハブとして機能していくことの大切さを伝えました。
発表の締めくくりには、「動物と人の予防医学」を社会に根づかせていくには、エビデンスに基づく政策や説明を積み重ねていくことが欠かせないと述べ、研究者の皆さんとのさらなる連携を呼びかけました。シンポジウム後半では、研究会を主宰されている中江大先生の司会のもと、演者4名によるパネルディスカッションも行われ、会場の参加者も交えて活発な意見交換が行われました。
動物と人の予防医学研究会ウェブサイト
https://animal-human-preventive-medicine.com

