お知らせ
NEWS日時:2023年1月31日(火) 18:30〜19:30
場所:アークヒルズクラブ
東京青山ロータリークラブは、1990年3月に発足され、数十年に渡り、アニマルセラピー(動物介在活動)として、公益社団法人日本動物病院協会のCAPP活動を支援されています。ロータリークラブでは、奉仕活動をされますが、こちらのクラブでは、奉仕活動としてもCAPP活動への協力と実践を行われています。また、港区社会福祉協議会と連携され、子どもの貧困対策やひとり親家庭支援、子どもたち一人ひとりが素敵な未来を実感できる体験学習(SDGs)など地域のさまざまな問題や課題にも積極的に取り組んでおられます。現在、社会奉仕委員長を務めておられる赤坂動物病院総院長 柴内晶子先生のご紹介により、当法人代表理事の冨永が、第1363回例会にゲストとして参加させて頂きました。
※CAPP活動:Companion animal partnership program
ロータリーは、地域社会のボランティアを中心に活動する国際的なネットワークで、「職業人と地域社会のリーダーのネットワークを通じて、人々に奉仕し、高潔さを奨励し、世界理解、親善、平和を推進すること」を使命とされています。1905年にシカゴで創設され、その経験と知識を生かして社会奉仕活動や人道的活動に取り組まれてきました。ロータリー活動の原点にあるのが「例会」で、特別講師を招いての卓話、会員の専門性を紹介し合ったり、体験したりされています。
第1363回例会も、温かな雰囲気の中、川崎雅代会長のご挨拶で開会。
ロータリークラブには、留学生を支援するロータリー米山記念奨学金があり、ロータリアン(ロータリークラブ会員)の寄附金を財源として奨学金を支給されています。例会には、マレーシアからの留学生が参加され、流暢な日本語で皆さんにご挨拶をされていました。
続いて、川崎会長のご指導による、青山ワンダフルヨガ。座ったままでしたが、しっかりと体を伸ばします。
さまざまな報告の後、冨永にも、お話の時間を賜りました。Knotsは、阪神・淡路大震災をきっかけに設立され、人と動物の共生とSDGs推進を通じて、人も動物も幸せに暮らせる社会を実現するために、啓発・教育・研究の事業を行なっていることを、最初にお伝えしました。本日の卓話の講師は、前Knotsアドバイザリーボードメンバーの柴内裕子先生とご一緒に、2003年より日本で初めて小児科病棟でのCAPP活動(アニマルセラピー)の実践を行われた聖路加国際病院の前副院長 松藤凡(ひろし)先生ということで、Knotsは設立時より、柴内裕子先生のご指導を賜っており、現在受託している「こうべ動物共生センター」事業である「セラピー研究フィールド」でも柴内裕子先生にアドバイザーをお願いしていることをお伝えし、昨年、神戸市の研究として承認された「わんちゃん読者会(R.E.A.D.プログラム)」をご紹介しました。この事業も、村田香織先生ご主宰の神戸のCAPPチームの皆様のご協力無しには実現できませんでした。
続いて、柴内晶子先生による「青山ワンダフルアカデミー 2023 人と動物の絆:Human Animal Bond 人と動物が共にあることで双方が幸せになれる事」として、松藤先生の講演を前に、柴内晶子先生も参加されていた松藤凡先生との小児科病棟でのCAPP活動についてお話しされました。資料には、小児科病棟でのCAPP活動アニマルセラピーのきっかけとなったお嬢さんと柴内先生のお宅のご愛犬シロマちゃんの写真がありました。
また、Knotsが、奈良県と連携協定を締結し、長年取り組んでいる奈良県「いのちの教育」プログラムについてもご紹介して下さいました。
皆さんの期待の中、松藤先生のお話が始まりました。先程の写真のお嬢さんは、先生の患者さんだったそうです。お嬢さんも先生も頑張って治療に励んだけれど、もう助けられないとなった時に、何か、お嬢さんの好きなことをできないかということで、ワンちゃんと過ごす時間を作ってあげたいと柴内裕子先生に相談されたのが始まりだったそうです。実現困難は予想され、先生は、実現できるように、スタッフの皆さんに、「どうしたらできるかを一緒に考えて下さい」とお願いされたそうです。柴内先生より示された課題は3つ。感染症、咬傷事故防止、そしてアレルギー。アレルギーのお子さんは、どうしてもというので、最初ゴーグルや手袋をしておられたそうですが、活動を重ねるうちに、順番に外して、最後は触れるようになったのだそうです。
聖路加国際病院といえば、亡くなられた名誉院長日野原重明先生が思い浮かびますが、この時も、日野原先生が「やりなさい」と言って下さったのだそうです。訪問活動は、毎月2回、午後に45分ほどです。色々良いことがあるのだけれど、特に先生がご自身で感じられたのは、犬を介してコミュニケーションすることで、子どもたちが治療に協力してくれやすくなったことだそうです。療育犬と発達障害児の療育を行なっておられた先生も「犬は、子ども達の心の扉を開けてくれる」と仰っていたことを思い出しました。聖路加国際病院では、毎年年末に、その年に亡くなられたお子さんの追悼集会があり、ご家族もご一緒で、その時は楽しかった思い出をお話するようにしておられるそうですが、そこでは、やはりこのワンちゃんとのことがよく話に出てくるとのことでした。
今では、聖路加国際病院小児病棟、千葉県こども病院血液腫瘍病棟、千葉大学医学部附属病院小児血液腫瘍病棟、横浜市立大学附属病院小児血液腫瘍病棟、埼玉県立小児医療センター血液腫瘍病棟、東京慈恵会医科大学附属病院小児病棟と、関東の主だった病院で子ども達は、犬達との時間を持つことができるようになっているそうです。
最初に切り拓く方は、本当に大変なお仕事だったと思います。一方で、スタッフの方々や、ご家族、CAPPボランティアの皆様と力を合わせて、初めて犬たちと過ごす子どもたちの幸せを目にした時、そのチャレンジをした方しか見ることのできない世界を経験されたのだと思います。生き物である以上、いつかは、尽きる命。その持っている時間はそれぞれ違いますが、ひとりひとりがその時間を幸せに過ごすことが、よく生きるということなのだと改めて教えて頂いたように思います。Knotsも、こうべ動物共生センターのプロポーザルで「私たちがチームを組んでひとりひとりに寄り添えば、ひとつひとつ幸せが増えていく」と提案しており、「ひとつひとつの命の幸せに、温かく向き合える社会を実現する」Knotsの使命にも改めて想いを致す時間となりました。
松藤凡先生、東京青山ロータリークラブの皆様、大変貴重な機会を賜り、本当に有難うございました。