・藤井 啓氏(プロジェクトとっかり)
「知っていますか? ゼニガタアザラシと漁業をめぐる問題」
北海道太平洋岸に生息するゼニガタアザラシは環境省のレッドデータにおいて絶滅危惧Ⅱ類に分類されるとともに,地域では貴重な観光資源になっている。一方で、魚類を捕食するアザラシは漁業にとっては害獣である。近年のゼニガタアザラシの個体数回復により、また漁獲や魚価の低迷ともあいまって、漁業、特に襟裳岬周辺の秋サケ漁とゼニガタアザラシの軋轢が顕著になっている。
そのような背景を受け、漁業被害低減に向けた技術的・科学的な検討が大学等の研究機関や環境省等によって実施されている。しかし、効果的な被害対策は未だ打ち出されていない。
対策を促進する上で、本件への社会的関心を高め、現場で努力・苦労している人々が世論の後押しを得られるようにすることは有効と考えられる。そこで、この問題について多くの人々に知ってもらい、さらにこの問題の解決に向けて様々な人々が一緒になって議論できる場をつくりだすことを目的に、アザラシ研究に携わってきた研究者やアザラシの撮影を続けてきた写真家、地元博物館の学芸員などによって「プロジェクトとっかり」が組織された。
発表では、ゼニガタアザラシの現状とプロジェクトとっかりの取り組みについて報告する。
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