平成24年度 「いのちの教育」研修会
「いのちの教育」について考える
奈良県が取り組む
動物のいのちを通した子どもへの「いのちの教育」
主催: | 奈良県うだ・アニマルパーク振興室/公益社団法人 日本動物福祉協会/公益社団法人 Knots(ノッツ)
*三者は「いのちの教育展開事業」に関する連携協定を締結しています。 |
|
後援: | 環境省/文部科学省/奈良県教育委員会/宇陀市教育委員会/ 公益社団法人 日本獣医師会/公益社団法人 日本動物病院福祉協会/ 社団法人 奈良県獣医師会 |
|
HCJ事業 支援企業: |
マース ジャパン リミテッド*HCJ(ヒューメインセンタージャパン)事業は、公益社団法人 日本動物福祉協会、公益社団法人 Knots(ノッツ)の共同事業です。 | |
開催日時: | 平成24年12月1日(土)10時30分~16時15分 | |
開催場所: | うだ・アニマルパーク動物学習館 | |
平成24年4月に、奈良県うだ・アニマルパーク振興室の組織編成が改正され、地域振興を目的とした中に『動物愛護係』という部署が設置されました。この部署はその名が示す通り、動物愛護教育からさらに「いのちへの共感」というヒューメイン・エデュケーションへと大きく枠組みを広げた「いのちの教育」を専門に行う部署であり、日本でもおそらく奈良県だけが行っている画期的な取り組みのひとつです。そして、これらの取り組みをより多くの専門家や他府県の教育・行政関係者との連携を図り、広く社会に拡めていくため、奈良県と公益社団法人日本動物福祉協会、公益社団法人Knotsが三者協定を締結して活動を展開しています。
いのちの教育報告会」で、モデル校として参加して下さっている小学校の授業風景を見学し、意見交換をすることによって、日本各地から集まって下さった教育・行政関係者の皆さまに発信することができました。
これらの取り組みの骨子となる「いのちの教育プログラム」は、すでに多くの小学校などで実施されており、平成24年12月現在ですでにのべ3000名以上の子どもたちがこの授業を受けています。これらの実施状況は、10月11・12・17日と11月15日の4日間に渡って開催された「今回の研修会では小学校での授業の見学とは違い、一般家庭の親子にモニター家族となって頂き、プログラムを受講した感想やその効果などに期待することなどのアンケートにご協力頂くことを目的に開催されました。この日は、小学校1年生から6年生までの12人の子どもたちとその保護者、そして教育・行政関係者に加えて、大学のゼミの学生たちも多数見学に来て下さいました。また、奈良テレビが取材に来て下さり、「県政フラッシュ」でその様子が放送されました。
奈良県の「いのちの教育プログラム」は、プログラムⅠ〜Ⅲの3つのステップに別れていますが、この研修会では途中でパーク内の見学やバター作り体験などを挟みつつ、子どもたちは丸一日かけて三つのプログラムを全て学習しました。違う学年同士のグループであり、また長時間の授業にも関わらず、最後まで集中してプログラムに参加していました。
最初に、参加して下さった父兄の皆さまと見学者の皆さまに、この研修会開催の意義と奈良県のうだ・アニマルパーク振興室の取り組みについてご説明をさせて頂きました。主催者である奈良県うだ・アニマルパーク振興室の松村室長補佐からは、奈良県に於ける「いのちの教育」の取り組みを地域の皆さまと共に作り上げ、教育の現場へと発信し続けることの意義をお伝え頂きました。また、公益社団法人日本動物福祉協会の山口千津子氏からは、人間と動物、大人と子どもなど、自分とは違う他者との関わりの中で、その違いを尊重できる社会の在り方についてお話を頂き、HCJ事業にご支援を頂いているマース ジャパン リミテッドへの感謝の言葉がありました。
そして、最初のプログラムⅠ「私たちと動物との関わり」では、「ペット」「家畜」「野生動物」が棲むエリアに、子どもたちに張り子の動物を運んでもらうところからプログラムが始まります。奈良県では、これまで一般的に行われてきた生体を使用する教育の方針を改め、こうした張り子の動物や独自に開発したツールを使って、子どもたちの想像力をより重視する方向へとシフトしています。
このプログラムは、正解を教えることを目的としている訳ではありません。張り子の動物を運ぶときにも、お互いに相手の意見を尊重して相談しながらエリア分けが出来るように、あえて複数で1体の動物を運ぶようにしています。その後、全員でその動物が、なぜそのエリアに棲んでいると思ったのか理由を発表し合います。奈良県が目指すいのちの教育では、「気づき」「共感」「責任」の三つを柱にしており、そうしたディスカッションを通して、それぞれのエリアに棲んでいる動物たちが私たち人間とどのように関わっているのかを学習していきます。