主催: | 兵庫県森林動物共生室 |
共催: | 兵庫県立人と自然の博物館 |
後援: | 兵庫県動物愛護協会 |
日時: | 2004年2月28日(土)13:00~16:30 |
場所: | 兵庫県立人と自然の博物館 ホロンピアホール |
冒頭に主催者である兵庫県森林動物共生室の浅田氏のご挨拶の後、基調講演に入りました。
「ツキノワグマの保護ということ」というテーマでNPO法人 日本ツキノワグマ研究所長の米田氏よりお話を伺いました。米田氏は長い時間をかけてクマの観察・研究を続けておられ、クマの子育てや捕食の様子など数多くの写真をご紹介下さいました。また、深刻な農業被害等の対策として、奥山放獣にも取り組んでおられます。米田氏は被害農民を助けることは、クマを助けることにつながるとおっしゃいました。日本各地で起こっている保護運動や農業被害ですが、米田氏は共存は可能だと話されます。更に米田氏は中国や韓国にも出向かれて保護の指導をされています。中国では、クマの胆汁が漢方薬の材料として高額で取引される為、乱獲が耐えないとのことですし、韓国でも乱獲が進み、絶滅寸前とのことです。また、砂漠化の問題も深刻で生息地が侵されているのも現状です。米田氏のお話を伺っていると氏のクマへの深い愛情を切々と感じることが出来ました。
続いて日本熊森協会会長森山氏より「生息地の保全・復元が大切」というテーマで事例報告があり、貴重な活動についてご報告がありました。次にパネラーによる話題提供へ移りました。 前日に丹波市で発生した鳥インフルエンザ対策で、話題提供をされる予定の県立コウノトリの郷公園研究部長の池田先生が、ご出席がかなわなくなった為、まずKnots理事長の冨永より「飼育動物の適正管理が野生動物を救う」というテーマでお話をさせて頂きました。現在は、ペットとしてエキゾチックアニマルと呼ばれる動物達が多数輸入され、販売されています。習性や生態をきちんと理解しないまま飼われる場合が多い為、飼い切れなくなり果ては捨てられている現状があります。それらの動物達は環境さえ整えば自然下で繁殖し、在来種を脅かしたりしています。また、昨今話題になっているSARSや鳥インフルエンザのように動物由来の感染症の問題もあります。飼い主はペットとして飼われている動物達について、動物愛護法や家庭動物の飼養及び保管に関する基準等で定められているように、習性等を理解した上で終生飼育をし、感染症の知識を持ち、生物多様保全の問題についての責任と自覚を要求されています。
今や飼育動物と野生動物はお互いに深くかかわりあっており、これら法律の周知徹底がひいては野生動物を保護することにつながるということを認識して頂ける良い機会となったのではないかと思いました。 最後に、県立人と自然の博物館主任研究員の坂田氏より「野生動物の保護と管理をどう進めるのか」というテーマで、お話を伺いました。坂田氏は、生物の数は増減を繰り返しており、また、食うものと食われるものの関係の中にあり、その生死がバランスをとりながら、地域生態系を作っているのだと話され、その中で人と動物達が良い形で共存出来るよう様々な手段を検証しつつ、効果を確認しながら対策を講じていく順応的管理が重要であるとのことです。
様々な活動を通して感じるのは、何かを進めていこうとする時は、沢山の人々の理解と協力そして、その問題にかかわる様々な専門家の方々の連携が不可欠であるということです。野生動物の問題も同様であることを今回も強く感じました。