開催日 :2025年11月19日(水)
開催場所:奈良県うだ・アニマルパーク振興室動物学習館
主催:奈良県うだ・アニマルパーク振興室/公益社団法人Knots
後援:奈良県教育委員会/公益社団法人日本動物病院協会/公益社団法人奈良県獣医師会
参加人数:26名
・主催者挨拶(うだ・アニマルパーク振興室 佐々岡正 室長/公益社団法人Knots冨永佳与子 代表理事)
・模擬授業(小学生プログラムⅠ 気づき)(45分授業)
・授業見学(小学生プログラムⅡ 共感)~A小学校~(45分授業)
・授業見学(小学生プログラムⅢ 責任)~B小学校~(45分授業)
・「いのちの教育」の経緯及び取組について
小学生プログラムの現状と評価(アンケート結果)報告
・意見交換
・愛護センター施設見学(希望者のみ)・「いのちの教育」中高生プログラム概要紹介(希望者のみ)
公益社団法人Knotsは、2012年から奈良県と包括連携協定を締結し、奈良県「いのちの教育」プログラムの普及展開事業を行っています。奈良県と当法人が共催で全国の自治体職員や教育関係者を対象に、毎年11月に「いのちの教育」研修会を開催しており、今回も募集開始後すぐに定員に達しました。近畿圏内だけでなく、四国、九州、東海など遠方からもご参加いただけ、全国の動物行政などの皆様が関心を寄せられることがうかがえます。
研修会では、小学生が実際に授業を受けている様子の見学及び、参加者自らの模擬授業受講を通して「いのちの教育」プログラムのⅠ〜Ⅲの全ての内容を体験していただきました。その他、スライドを使ってうだ・アニマルパーク振興室での取り組み内容や経緯、子どもたちのアンケート結果からのプログラムの分析の報告、そしてそれらの効果などを説明しています。
意見交換では、それぞれの自治体の現場における教育の取り組みや課題について報告や、自治体の枠を超えて情報共有する場が持たれました。啓発・教育や事業運営をどのように進めていくか、悩んでいること等を相談できる貴重な場となります。
主催者挨拶では、うだ・アニマルパーク振興室・佐々岡正室長が、「いのちの教育」の必要性を奈良県のみならず、全国の自治体の方に周知することを目的としておりますと挨拶されました。

次に、当法人の冨永代表理事から、「皆さんこの研修を終えて帰られると結構孤独だったり、お悩みになったり、相談もできないなどあるかと思いますが、この機会にお互いに相談できるような関係を結んでいただけたらと思います。Knotsとは「結び目」という意味で皆さまをお繋ぎするのが役目です」とお伝えさせていただきました。

「いのちの教育」プログラムは、「気付き」「共感」「責任」の3つのプログラムから構成されています。奈良県の「いのちの教育」プログラムは県教育委員会との連携の下に進められており、実際の授業は現役の小学校教員が行っています。また、実施校の拡大に伴い、自校式と呼ばれる、それぞれの学校の先生が独自に授業を行う方法も導入されています。
「いのちの教育」プログラムの内容については下記をご参照ください
https://www.pref.nara.jp/28335.htm
「小学生プログラムⅠ・気づき」の模擬授業では「小学2年生になってください!」の言葉が掛かると参加者全員2年生になりきって授業ができ、積極的で熱意が伝わってきました。

「小学生プログラムⅡ・共感」の実際の授業見学では、子どもたちは研修会参加者の大人が多数で見学しているにも関わらず、集中して授業を受けていました。先生は、集中できるように笑いの要素を取り入れたり、話すテンポを速めたり、様々な工夫をされていました。子どもたちの興味・関心を引き出すように語りかける授業の進め方など、「いのちの教育」プログラムをよりしっかりと伝えていく手法を学べました。

「プログラムⅢ・責任」の授業見学では、ⅠとⅡの振り返りでもスムーズに子ども達も答えており、子ども達の気の引き方など細かい部分も学ぶことができました。

意見交換会では、今回は獣医師の方の参加が多く、「小学校の教員の先生だから子供の興味を引きながら授業ができると思うが、私たちにできるかは不安」という声が多く挙がりました。
「いのちの教育」プログラムに当初から関わっている冨永代表理事からは、「教員の先生方の素晴らしい授業を拝見すると獣医師には無理と思われるかも知れませんが、獣医さんが主体で行われることが多いのであれば、子ども達は獣医さんが教えてくれるとなると目をキラキラさせて話しを聞いてくれます。自信をもって取り組んでいただければ」とこれまでの経験からお伝えすると、大きく頷く方もいました。
「ここまで作り上げるのは大変なことだと思う」などの質問には「例えば奈良県では教育委員会の方々も入られて研究協議会が設置されている。その自治体に合った環境整備が一番重要です」とお伝えました。

奈良県「いのちの教育」プログラムは、「他者へ共感する感性と自他の生命を尊重する態度の育成」「思いやりや協調性、道徳的心情などの豊かな人間性の基盤の構築」「社会的規範意識の醸成及び向上」という効果が期待される教育プログラムです。
この「いのちの教育」プログラムの「動物からの学び」は、様々な分野に高い汎用性のある教育プログラムとして活用できる可能性があります。今後、更に多くの自治体・教育現場で展開されることを願っています。