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ピックアップ 2024.05.20

【報告】石川県「いしかわ動物愛護センター」訪問レポート

公益社団法人Knotsで内閣府の公益認定を受けた事業「ずっと一緒に居ようよプロジェクト」では、激甚災害に指定された被災地での「被災者のペット可物件入居支援」を行っており、平成28年の熊本地震のときにもご支援をさせていただきました。

この度の令和6年能登半島地震の発生を受け、より地域のご事情に即した内容での支援について関係者の皆様にご意見を賜るため、令和6年4月17日(水)に現地を訪問させていただきました。

ずっと一緒に居ようよプロジェクト

関係者の方からのご紹介で、石川県河北郡津幡町の石川県森林公園内に設置され、4月14日(日)に開所したばかりの「いしかわ動物愛護センター」を訪問させていただきました。

「いしかわ動物愛護センター」は、石川県が令和3年に制定した「石川県動物の愛護及び管理に関する条例」で掲げる理念である「人と動物の共生する社会の実現」を目指して石川県が運営する施設で、「動物の命を守る」「動物の命をつなぐ」「動物の命について学ぶ」という3つの機能と役割を備えた施設です。

ドッグランや広く一般県民に向けた事業のスタートはもう少し先になるとのことですが、保護した犬猫の譲渡はすでに開始しておられるとのことです。

この日は、震災後のご多忙の中、所長の大矢様がご案内してくださいました。
建物全体は石川県産の木材がふんだんに使用されており、エントランスホールは明るくて落ち着いた雰囲気で、我々が訪問させていただいたときにも複数の譲渡希望者がPCを用いた譲渡前講習の動画を見ておられました。PCを使用するというアイデアは、センターの若い職員のアイデアが採用されたとのことです。

エントランスホールに隣接した研修室は天井が高く、こちらの内装にも木材が効果的に使われており、温かい雰囲気で使い勝手が良さそうな大きさの部屋になっています。

大矢所長が「この施設の目玉」と言っておられた猫のマッチングルームは、譲渡された先の家庭の室内を想定した作りになっていて、猫が喜ぶキャットタワーや爪とぎなどが設置されており、訪問者が天井のウォーク部分には透明のアクリルボウルでくつろぐ猫の姿を見ることができる工夫もされています。

こちらは、犬のマッチングルームとグルーミング室です。犬猫共に、エントランスホールから中の様子を見ることができるように配置が工夫されていて、閉塞感が無く、犬も人間も共に安心感がある作りになっています。

石川県では「殺処分0」の維持を目標としていますが、現在、センターで一番困っていることは、人に懐いていない猫をどのように譲渡するのかという方法だそうです。
この問題は、いずれの施設でも共通の困りごとだと思います。
今後の課題として、行動学の専門家に協力をいただくなどして、解決の方法を模索していきたいと考えております。

こちらは犬が収容されている譲渡犬室ですが、中庭に面したパドックと自由に行き来ができるようになっています。
現在収容されている犬は、主に被災地で保護された犬とのことです。人に慣れている犬もいればそうでない犬もいるそうですので、譲渡に向けたトレーニングが必要とのことです。

犬猫の譲渡室の奥は、検疫室や手術室になっています。
縦長の施設ですが、奥に向かって左側が猫、右側が犬の収容スペースになっており、建物中央の資材置き場などに使用されている部屋に両方からアクセスできるドアが付いているので、効率的に作業が行えるようです。

 

センターオープンの時期が震災発生と時を同じくすることになってしまいましたが、今後の石川県における「人と動物の共生する社会の実現」を目指す中心的な施設になり、県民の皆様が犬猫の保護や譲渡をとおして「いのち」に向き合い、震災を乗り越えて人と動物が共に幸せになる社会を考えることができる場になるのではないかと感じました。

今回の訪問で、能登半島の被災地の多くが持ち家で、ペットと共に入居できる賃貸物件が極端に少ないという実情をお聞きすることができました。また、県庁がある金沢市までもかなりの距離があるため、職場を離れて避難生活をすることが困難であることも把握することができましたので、引き続き、被災地の現状を把握しつつ、適切な内容での支援方法を検討したいと考えております。

今回のご訪問でご対応いただきました皆様、ありがとうございました。Knots職員一同、被災地の一日も早い復興を願っております。

「いしかわ動物愛護センター」ウェブサイト
https://aigo-ishikawa.jp/