名 称 ● Interpets(インターペット)~人とペットの豊かな暮らしフェア ~
テーマ ● ペットが運ぶ心と体の健康
会 期 ● 2017年 3月30日(木)– 4月 2日(日) 10:00 – 17:00
会 場 ● 東京ビッグサイト 東1・2・3ホール
2017年3月30日(木)に東京ビックサイトで開催された「Interpets(インターペット)~人とペットの豊かな暮らしフェア ~」に参加して参りました。
昨年にホールの広さを2倍にした当イベントですが、今年はさらに広いホールを用意した上で390社の出展者を揃え、昨年以上の盛り上がりを見せていました。
昨年度からペット関係のIOTデバイスが出展され始めておりましたが、今年は香港で発売されているウェアラブルデバイスを披露している企業も出展していたり、スマートペットフィーダーと連動した保水量や食事量をスマホで管理できるデバイスを開発している企業など、海外からの出展も目立ちました。
また、昨年よりも目立ったのが自動車メーカーのブースでした。昨年は車の展示と写真ブースがメインでしたが、今年はHONDAがペットとの旅行に特化した自動車を開発し展示するなど、昨年以上に力を入れているように見受けられました。
▼HONDA参考ページ▼
http://www.honda.co.jp/dog/event/interpet2017/
年々進化する出展ブースですが、体験型ブースが増えてきているということと、昨年以上にペット業界に参入していなかった企業があらたにペット商品を揃えて展示してる様子も多く伺えました。
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私が参加した日はビジネス招待状を持っている関係者のみの参加だったため、舞台では業界の話題についてのパネルディスカッションなどが行われました。
その中の「動物愛護と動物福祉/日本と西洋の法律の違いを考える」に参加してまいりました。
ゲストとして、則久 雅司さん(環境省 自然環境局 総務課 動物愛護管理室 室長)、渋谷 寛 さん(弁護士・司法書士)、ポール・リトルフェアーさん(BA HonFCOT FRSB・英国国立動物虐待防止協会 国際部長)のお三方をお迎えして日本国内においての動物愛護がどのように形成されてきたのか。また、海外において動物福祉の考え方とはどういったものなのかについて公演と議論をされました。
まず、則久さんより日本とイギリスにおいての動物虐待の考え方の違いについて公演が行われました。
大きい違いは「日本人は元々動物に優しくする文化なので、特段動物に関する規則を作る必要がなかった」「海外は動物をレクリエーションの道具として利用してきたので虐待への法律が必要だった」という点を挙げていました。
日本国内において動物保護管理法が生まれた背景は「動物を大切にしてる」という社会風俗を守りましょう。ということからでてきており、規則として縛るというよりは「今の考えを守りましょう」という目的が強かったため海外の法律に比べて比較的ゆるく設計されていた。という背景があるようです。
先生の公演の中で特に面白かった数字の違いが、「動物の安楽死を肯定しますか?」という質問に対してはいと答えた獣医師は イギリスが86% 日本は52%と差があるだけでなく、「助かる見込みがほとんどない重症の動物が苦しんでいる場合、飼主の承諾なしでも安楽死させますか?」という質問に対して、はいと答えた獣医師は イギリスが88% 日本は3% という結果となりました。
これは、イギリスと日本における動物虐待の考え方の違いという事が大きな要因と考えられて、この精通した文化の違いを理解せずに「海外のやりかたが理想である」ということだけで海外のやりかたをそのままマネてしまうのは問題である。というご指摘もされていました。
日本人が元々持つ命すべてを大切にする精神を考慮したうえで、日本人なりの動物福祉(愛護)の考え方を持つべきなのかもしれません。
英国国立動物虐待防止協会 国際部長のポール・リトルフェアーさんからはRSPCAの活動内容についてお話いただきました。
その中でも特に印象的だったのが「英国の人にRSPCAは何?」と聞くとユニフォームを着た査察官と言われるぐらい定着しており、立入検査などは特に行っていないが、このユニフォームを見ると動物福祉の人たちであることを認知しているということでした。
また、福祉の基準や報告書を提出するにあたって、RSPCAには「科学学術スタッフ」が40人おり、専門家の検査や調査をおこなったり、純血種における繁殖の問題を科学スタッフ達が元に、科学的に健康が害されている犬種の繁殖などの報告も行っているそうです。
RSPCAの活動のこと以外にも、英国での虐待の定義についてもお話頂きました。
英国で法律ができた当初から、虐待には2つの考えがあり「傷つける行為」と「行うべき行為を怠った事」の両方を虐待として定義されているそうです。
実際に虐待査察の現場では8割は行うべき行為を起こった者(やるべきことをやっていない)となっているそうです。
また、英国において動物と暮らす上で重要なのことは「動物の
ニーズに答えないといけない」ということと話されていまして。ニーズに答えない = 違法行為に値する。 と定義されているそうです。
たとえ、今の動物の状態がよくても、「飼育する上で行うべき◯◯をやっていない」ということで違法行為として認定されることもあるそうです。
また、今ヨーロッパで重要キーワードは「感覚性」であり、虐待を防止するのは重要な仕事ではあるが、最近の仕事は「動物を管理している飼い主の責任義務とは何か」ということにフォーカスして仕事を進めるようにしているそうです。
2020年のオリンピックを控え、今日本国内では「動物愛護」「動物福祉」という言葉を以前より多く耳にするようになってきた気がしています。
我々日本人が今まで培ってきた精神(文化)を尊重した上で、私達日本人だからこそできる生き物との共存の形を作り上げていきたいと改めて感じさせて頂ける時間となりました。
Knots 正会員 小早川 斉