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2015.06.01

第4回 神戸 全ての生き物のケアを考える国際会議 2015 —ICAC KOBE 2015 ポスターセッション 10

ポスターセッション《発表要旨》

岡崎誠治岡崎 誠治1/岩崎 忠1/弓場 英司2河野 健司2/渡来 仁1
1大阪府立大学 生命環境科学研究科/2 大阪府立大学 工学研究科

「pH感受性リポソームを応用した腫瘍ワクチンの開発」

 

 

【要旨】

腫瘍免疫療法は従来の腫瘍治療法と比べ副作用が少ないものの効果を上げた例は少ない。その要因として、腫瘍排除に効率的に働く免疫応答、特に、細胞傷害性T細胞(CTL)を活性化できないことが考えられる。本研究は、ワクチン抗原を樹状細胞へ効率よく運ぶことができ、免疫応答を効率よく誘導できるpH感受性リポソームを腫瘍ワクチンに応用し、その開発を目的として行った。

サクシニル化ポリグリシドール(SucPG)を用いてpH感受性リポソームを作製した。抗原としてovalbumin(OVA)を封入し、リポソームワクチンとした。リポソームワクチン接種後の抗体産生について調べた結果、有意に高いIgG抗体の産生が認められた。また、脾臓細胞からのサイトカインの産生について調べた結果、α-Galをアジュバントとした群において特に高いIFN-γとIL-4の産生が認められた。さらにリポソームワクチン免疫後に誘導されるOVA特異的CTL応答を検討した結果、免疫マウス由来脾臓細胞から調整されたエフェクター細胞は、ターゲット細胞であるE.G.7-OVA細胞に対して細胞傷害能を示した。リポソームワクチン免疫後、E.G.7-OVA細胞を皮下接種し、その腫瘍体積を指標に抗腫瘍効果を検討した結果、リポソームワクチン投与群において腫瘍の生着および増殖抑制が認められた。以上の結果から、pH感受性リポソームを応用した腫瘍ワクチンは効率よく抗腫瘍免疫応答を誘導できることが示唆された。