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2015.06.01

第4回 神戸 全ての生き物のケアを考える国際会議 2015 —ICAC KOBE 2015 ポスターセッション 09

ポスターセッション《発表要旨》

清水 遥介1/渡来 仁1/岩崎 忠1/田島 朋子1/弓場 英司2/河野 健司2
1 大阪府立大学 生命環境科学研究科/2 大阪府立大学 工学研究科

「リポソームを応用した犬用歯周病粘膜ワクチンの開発」

 

 

【要旨】

犬の歯周病は、初期には口臭や歯周炎などを発症し、悪化すると歯が抜け落ちることや敗血症にもなる疾患である。しかし、加齢とともに発症率が上昇し、歯周病の予備軍は 76.4% にものぼる。犬におけるオーラルケアは麻酔を用いなければならない場合も有り犬への負担が大きい。そこで、歯周病予防ワクチンの開発が求められている。そこで、本研究では pH 感受性リポソームを応用し犬用歯周病予防粘膜ワクチンの開発を目的として点眼ルートでの免疫により誘導される免疫応答について解析を行った。

リポソームに歯周病の原因菌である Porphyromonas gingivalis 不活化破砕抗原を封入しリポソームワクチンを作成した。リポソームワクチンをビーグル犬( 1 群4 頭)に対して点眼ルートで 3 回免疫を行い、全身(血漿)および粘膜局所(唾液)における抗体誘導能について ELISA 法を用いて調べた。 その結果、免疫後、血漿中に抗 P. gingivalis IgG 抗体の上昇が認められた。また、唾液においても、抗 P. gingivalis IgA 抗体の産生が確認され、歯周病予防に重要な口腔粘膜局所における免疫応答の誘導を認めた。これらの結果から、犬での点眼ルートによる免疫により、全身及び粘膜局所にP. gingivalisに対する免疫応答を誘導できることが示唆され、リポソームを応用した犬用歯周病粘膜ワクチン開発の可能性が示された。