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オーラルセッション
ICAC KOBE 2015では、オーラルセッションの参加者を募集し、「食の安全/人獣共通感染症」「One Plan Approach ~野生動物と共存していくための包括的な取り組み」「教育/子ども達との関わり」「その他」の4つのセッションを実施します。国内外から多くの参加者があり、幅広いフィールドで、情報共有・情報発信を行います。 | ||||||
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1)「食の安全/人獣共通感染症」 |
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・Priyakamon Khan1,5,6/Naila Al Mahmuda2,5,6/Md. Golam Abbas3,5,6/Manirul Islam Khan5,6
【オーラルセッション1】7月19日 14:30~17:30/ラウンジ
演者の都合により中止されました。 |
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2)「One Plan Approach ~野生動物と共存していくための包括的な取り組み」 日時:7月19日(日)14:30〜17:30 会場:ラウンジ 運営協力:日本野生動物医学会 ![]() 趣旨:世界各地で積極的な保全が必要とされる動物種が増加していく中で、多様な生物を存続させつつ人間との共存を図っていくためには、乗り越えるべき課題が多々存在しています。今回のセッションでは、生息域内や生息域外での希少野生動物の保全活動について、さらには野生動物やその生息環境と人との関係について、具体的な事例に基づいたご講演をいただき、参加者の皆さんと意見交換を行うことで、現状や問題点を共有し、課題の克服に向けたヒントを探ります。 《座長メッセージ》生息域の減少や持続可能な範囲を超えた消費、外来生物の侵入や地球温暖化など、様々な原因により野生生物の減少が進んでいますが、その多くに人間の活動が影響しています。このような状況のもと、絶滅が危惧される生物種について、その生息域内・域外のすべての個体群を対象とした、関係者全体の連携による多面的かつ統合的な保全対策を策定すべきであるというOne Plan Approachという考え方が提唱されています。 わずか一種の絶滅危惧種を守ろうとするだけでも、解決すべき様々な問題が生じ、往々にしてそれらは複雑に絡み合っています。これまでにも様々な関係者が、生息地利用を自粛する、対象種を消費しない、あるいは人工的に増殖させるといった、それぞれの立場による判断で目標を掲げ、個別の取り組みを進めてきました。しかし、一面的な対策の集合では状況を打開できなかったため、One Plan Approachという考え方が生じました。 ある種の保全を進めるにあたっては、対象種や生息地の環境等に関する研究者、政府や自治体、NPO等の担当者、対象種や近縁種の飼育経験者、生息地の住民や経済活動従事者など、より多くの関係者がそれぞれの立場や対象種への関与状況、さらには利害関係などを明確に示し、課題や目標を共通認識としたうえで、情報共有を図りつつ、各自の取り組みを進めなければなりません。このような多面的かつ統合的な取り組みを進めていくことは容易ではなく、適切なリーダーシップのもと、多くの労力、時間、経費といった資源を投入することが求められます。 人間も生態系の構成要素の一部である以上、生物多様性の急激な減少は人間社会にも少なからず影響を及ぼすものと考えられます。無くなりつつあるものを取り戻すことは容易ではありませんが、私たちができること、なすべきことについて、様々な機会を捉えて考え、共有することが重要だと思われます。 |
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【オーラルセッション2】7月19日 14:30~17:30/ラウンジ 日本野生動物医学会の運営協力により、希少動物の保全活動を通して人と動物、そして生息環境との関係が議論されました。今回のセッションでは、コウノトリ、ツシマヤマネコ、ゼニガタアザラシの保全活動の内容と目指すべき方向を具体的に示して頂き、一面的な対策の集合ではなく、「One Plan Approach」という多面的かつ統合的な対策の重要性について報告が成されました。かつて日本全国に分布していたコウノトリは、兵庫県但馬地方の限られた場所でのみ棲息が確認できるまでに数が減少しました。兵庫県は、1999年に兵庫県立コウノトリの郷公園を開設して保護および繁殖を試み、2005年に野生復帰を開始しました。同公園の総括研究部長・江崎氏の発表では、コウノトリの野生復帰にはその個体がそれまでに生きてきた環境そのものの復元、ひいては我々人間の生活そのものを見つめ直すことが必要であるという考え方が示されました。我々日本人がこれまで農耕民族として培ってきた水田の生態系を見つめ直し、官民の連携で「人と自然の共生」の実現に向けた試みが紹介されました。那須どうぶつ王国 園長の佐藤氏からは、長崎県対馬にわずか70〜100頭しか残っておらず、絶滅の危機に瀕しているツシマヤマネコについての調査報告が行なわれました。この報告では、県外の施設などで繁殖を行って対馬に戻すという生息地域外での保全に関する取り組みが紹介されましたが、2013年までは思わしい成果を得ることができませんでした。しかし近年、民間団体と環境省が連携し、域外で繁殖した個体を野生馴化して野生復帰させる国内初の試みとして推進されているとのことです。 ゼニガタアザラシは、環境省のレッドデータに於いて絶滅危惧Ⅱ類に分類されていますが、その一方で、漁業にとっては害獣であるという一面もあり、また観光資源としての活用が進むなど、アザラシを巡っての人と動物との関係が複雑に絡み合っています。こうした現状について議論できる場として組織されたプロジェクトとっかり・代表の藤井氏から、人と動物、そして環境とのかかわりについて大きな課題を投げかける報告がなされました。
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3)「教育/子ども達との関わり」 日時:7月20日(月・祝)10:00〜13:00 会場:セミナー室 運営:実行委員会 ![]() 趣旨:子どもたちが動物について学ぶのには、多様な意義があります。子どもたちが自らの身を守るため、他の動物の命を奪って生きている現実を自覚するため、よりよいパートナーシップを結ぶため、動物福祉のため、生態系の保全のため、インクルーシブ社会を実現するため、などなど。しかし、子どもたちが動物について適切に学ぶことは、容易ではありません。このセッションでは、様々な教育プログラムを紹介し、それらの可能性について討論します。 《座長メッセージ》人間の活動が地球規模となった現代においては、異文化間の共生および自然との共生はいずれも急務です。武力紛争や自然破壊は、人類社会の持続可能性を危うくしています。共生にこそ、破壊に対する復元力があり、未来への持続可能性があります。 共生するためには、自分たちとは異なる者がどのように生きているかを知り、互いに責任をもって行動することを学ばなければなりません。そのような学習なしにただ触れ合うだけでは、差別や偏見や不寛容は増長されるかもしれません。学習者は他者についての正しい認識を得るように適切に教育されなければならないのです。 そして、教育は実際の行動に結びつかなければなりません。ペーパー・テストのための詰め込みであってはなりません。しかし、近代の学校は、子どもたちを教室の中に閉じ込め,行動することと学習することを切り離してしまいました。子どもたちは、適切な教育に導かれて、現実において活動しながら学ぶ必要があります。 |
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![]() 1 Denver University, Founder and Exective Director of Institute for Human-Animal Connection and Graduate School of Social Work/2 Education Program Manager, Green Chimneys Farm and wildlife Center Sam and Myra Ross Institute at Green Chimneys“Growing Together: Children, Animals and Sowing the Seeds of Resiliency”
“Managing Conflict through the process of Humane Education in Schools”
“Significance of rabies education program among the elementary school children of Bangladesh”
“Impact of stray dogs on Bangladesh economy”
「奈良県うだ・アニマルパークの「いのちの教育」-小学生プログラムの評価-」
「日本人の琴線に触れる犬伝説 −弘法大師を高野山へ導いた白と黒」
【オーラルセッション3】7月20日 10:00〜13:00/会場:セミナー室 これからの未来を担う子どもたちに対して、「いのちの大切さ」「いのちへの共感」をどのように教育していくかは、世界的にも大きな課題となっています。このセッションでは、主に日本、中国、アメリカ、バングラデシュで行われている教育プログラムについての報告が行われました。 また、子どもたちへの教育だけではなく、国民に対する啓発に関する教育や、その国に独自に根付いた共生に対する価値観など、私たちが国際会議の場で学ぶべき課題は多くあります。それぞれの文化的背景によってその目的や手法は異なりますが、昨年の第3回大会に引き続き教育に関するセッションには多くの人が集まり、この分野に対する興味とその効果について、大きな関心が寄せられているのを実感しました。アメリカからは、動物介在教育の専門家として数年間に渡りグリーンチムニーズと共同研究を行っているデンバー大学のテデッシー氏と、実際に動物を取り入れ、家庭環境やメンタル面でサポートが必要な子どもたちに対するプログラムを実施しておられる、グリーンチムニーズ教育プログラム部長の木下氏から共同発表が行なわれました。動物の存在は、精神的な「Resilience(回復力、逆境に負けない力)」を与えることは従来から知られていますが、災害などの悲劇的な体験でトラウマを抱えた子どもたちが、動物と共に生きることでその逆境を克服することにも注目が集まっています。この発表では、こうした子どもたちの心のリスクと保護、回復についての科学的な報告が行われました。次に、中国の学校教育の現場で動物愛護の教育を行なうことによって、さまざまな諍いの種を管理するプログラムについて、ACTAsiaのスー氏から報告がありました。虐待のサイクルは、動物虐待、家庭内暴力、そして人間への暴力と一連の関係性があることはすでに知られていますが、こうした関連を人間と動物、自然環境が全て相互に関係していることを認識し、それを知ることによって自己を見つめ直す切っ掛けとなり、暴力的な行動を抑制する効果があることが示されました。 また、奈良県が、地域振興という位置付けで、人と動物との関わりを考えることによって豊かな心を育てるヒューメイン・エデュケーションを実施する「奈良県いのちの教育プログラム」とその評価に関する報告がありました。いのちの教育プログラムの普及支援事業の一環として希望する自治体に教育ツールの提供が行なわれたこともあり、東京の八王子市で実施をしている動物愛護推進員の方からも関東での実施効果について言及があり、同プログラムの普及も着実に進んで来ているようです。 バングラデシュからは、狂犬病の予防に対する認識が十分でないことによる発病のリスクが国内全体でまだ高く、街中にも野良犬と呼ばれる飼い主のいない犬が多数ウロウロしています。こうした被害に遭うのは、多くの場合は子どもたちですが、それらの被害は今後の教育と動物の福祉向上の取り組みによって改善できるリスクだという報告が行われました。 最後に、日本国内に多数存在する犬にまつわる伝説を読み解き、古来より日本に存在した犬との共生の在り方を紹介する発表が行なわれました。弘法大師を高野山へと導いた白犬と黒犬の物語を例にあげ、犬の習性を尊重した日本ならではの犬との付き合い方が紹介されました。 地域毎に抱えている問題や取り組んでいる内容も違っていますが、どの地域においても動物や自然とより良いかたちで共生するためには子どもたちを正しく教育し、地域の人々に啓発を行なっていくことが必要不可欠であると強く感じました。 |
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4)「その他」 日時:7月20日(月・祝)14:00〜17:00 会場:セミナー室 運営:実行委員会 ![]() |
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![]() 世界小動物獣医師会の活動:「グローバル疼痛ガイドライン」「ワンヘルス」
「ふるさとを守り未来につなぐ」警戒区域に残された牛の活用を通して畜産の復興につなげる研究提案
【オーラルセッション4】7月20日 14:00〜17:00/会場:セミナー室 このセッションでは、セッション1〜3のいずれにも分類されない内容の発表が行なわれました。人と動物の関係は、これらの特定の分野に分類されるものではなく、あらゆる分野で繋がりがあると言っても過言ではありません。まずはじめに、93の獣医師団体、15万8千人の獣医師で構成される世界小動物獣医師会(WSAVA)の活動内容について、アジア地区の代表大使である小関氏から報告が行なわれました。WSAVAは、毎年異なる地域で開催される世界大会で最新の医療知識を学び、さまざまなアニマルヘルスのトピックについて討論が行なわれている世界規模の獣医師の共同体です。ここでは、さまざまなPain(痛み)を緩和するための「グローバル疼痛ガイドライン」と、人、動物、環境に関する専門家が協力して取り組みを行なう「ワンヘルス」について、狂犬病を例にあげながら報告が行われました。次に、環境人間学博士の中塚氏のグループから、獣医学や動物行動学に根差した欧米的なしつけとは別に、日本の暮らしや日本人の動物感に合った日本流の犬との付き合い方を、環境人間学の観点から提唱され ました。「犬は人間が矯正することができない場面もあると認識する」「犬の個性を尊重し、あるがままの姿が活かされる」という考え方は、逆に飼い主の安心感に繋がるという報告です。 そして最後に、帝京科学大学の佐藤氏より東日本大震災および福島第一原発事故による警戒区域に残された牛についての報告が行われました。これらの地域では複合経営の農家が多く、家畜は少数飼育であるため飼育者との心理的な結びつきが強い地域でもあるため、そうした視点で農家に保護されている牛の活用を通して、未来につなぐ復興について意見を述べられました。 |