お知らせ
NEWSオーラルセッション
ICAC KOBE 2015では、オーラルセッションの参加者を募集し、「食の安全/人獣共通感染症」「One Plan Approach ~野生動物と共存していくための包括的な取り組み」「教育/子ども達との関わり」「その他」の4つのセッションを実施します。国内外から多くの参加者があり、幅広いフィールドで、情報共有・情報発信を行います。
1)「食の安全/人獣共通感染症」 日時:7月19日(日)14:30〜17:30 |
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・Saharuetai Jeamsripong1/Patricia D. Millner2/Manan Sharma2/Edward R. Atwill1/Michele Jay-Russell1 |
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・Anyarat Thiptara1,2/Philip H. Kass1/Kenneth W. Tate3/Edward R. Atwill1 1 Department of Population Health and Reproduction, School of Veterinary Medicine, University of California, Davis, CA, USA./2 Epidemiology Section, Veterinary Research and Development Center (Southern Region), Thung Song, Nakhon Si Thammarat, Thailand./3 Department of Plant Sciences, College of Agricultural and Environmental Sciences, University of California, Davis, CA, USA.“Linkages between Pathogens and Cattle Fecal Loads and Microbial Water Quality in Aquatic Ecosystem in Sierra Nevada Meadows of California” |
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・Priyakamon Khan1,5,6/Naila Al Mahmuda2,5,6/Md. Golam Abbas3,5,6/Manirul Islam Khan5,6 1 Eastern Asia University, Thailand/2 School of Medicine, Kanazawa University, Kanazawa, Japan/3 Department of Molecular Neuroscience and Integrative Physiology, Kanazawa University, Kanazawa, Japan/4 Infectious Diseases Hospital, Dhaka, Bangladesh/5 SIAM Health Care, Thailand-Bangladesh,6SIAM Health Foundation, Thailand-Bangladesh“Risk of Rabies Exposure among the Foreign Backpackers and its impact on Tourism Industry in Thailand” |
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【オーラルセッション1】7月19日 14:30~17:30/ラウンジ 演者の都合により中止されました。 |
3)「教育/子ども達との関わり」
日時:7月20日(月・祝)10:00〜13:00 趣旨:子どもたちが動物について学ぶのには、多様な意義があります。子どもたちが自らの身を守るため、他の動物の命を奪って生きている現実を自覚するため、よりよいパートナーシップを結ぶため、動物福祉のため、生態系の保全のため、インクルーシブ社会を実現するため、などなど。しかし、子どもたちが動物について適切に学ぶことは、容易ではありません。このセッションでは、様々な教育プログラムを紹介し、それらの可能性について討論します。 《座長メッセージ》人間の活動が地球規模となった現代においては、異文化間の共生および自然との共生はいずれも急務です。武力紛争や自然破壊は、人類社会の持続可能性を危うくしています。共生にこそ、破壊に対する復元力があり、未来への持続可能性があります。 共生するためには、自分たちとは異なる者がどのように生きているかを知り、互いに責任をもって行動することを学ばなければなりません。そのような学習なしにただ触れ合うだけでは、差別や偏見や不寛容は増長されるかもしれません。学習者は他者についての正しい認識を得るように適切に教育されなければならないのです。 そして、教育は実際の行動に結びつかなければなりません。ペーパー・テストのための詰め込みであってはなりません。しかし、近代の学校は、子どもたちを教室の中に閉じ込め,行動することと学習することを切り離してしまいました。子どもたちは、適切な教育に導かれて、現実において活動しながら学ぶ必要があります。 |
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・Philip Tedeschi1/Miyako Kinoshita2 1 Denver University, Founder and Exective Director of Institute for Human-Animal Connection and Graduate School of Social Work/2 Education Program Manager, Green Chimneys Farm and wildlife Center Sam and Myra Ross Institute at Green Chimneys“Growing Together: Children, Animals and Sowing the Seeds of Resiliency” |
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・Pei F. Su(Founder & Executive Director of ACTAsia)“Managing Conflict through the process of Humane Education in Schools” | |
・Md. Golam Abbas1,3/Naila Al Mahmuda2/Pranab Kumar Roy4/Priyakamon Khan5/Be-Nazir Ahmed6 1 Department of Molecular Neuroscience and Integrative Physiology, Kanazawa University, Kanazawa, Japan/2 School of Medicine, Kanazawa University, Kanazawa, Japan/3 Infectious Diseases Hospital, Dhaka, Bangladesh/4 Upazilla Health Complex, Alfadanga, Faridpur, Bangladersh/5 Eastern Asia University, Thailand/6 Communicable Disease Control (CDC), DGHS, MoHFW, Bangladesh“Significance of rabies education program among the elementary school children of Bangladesh” |
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・大森 亜起子1/松村 かの1/巽 憲文1/阪口 耕平1/熊川 佳奈1/谷野 浩之2/金井 洋子3/藤井 敬子4/田沼 亜祐実5 1奈良県うだ・アニマルパーク振興室/2生駒市立生駒小学校/3奈良県吉野保健所/4奈良県郡山保健所/5公益社団法人 Knots教育部「奈良県うだ・アニマルパークの「いのちの教育」-小学生プログラムの評価-」 |
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・中塚 圭子氏(人とペットの共生環境研究所) | |
【オーラルセッション3】7月20日 10:00〜13:00/会場:セミナー室 これからの未来を担う子どもたちに対して、「いのちの大切さ」「いのちへの共感」をどのように教育していくかは、世界的にも大きな課題となっています。このセッションでは、主に日本、中国、アメリカ、バングラデシュで行われている教育プログラムについての報告が行われました。 また、子どもたちへの教育だけではなく、国民に対する啓発に関する教育や、その国に独自に根付いた共生に対する価値観など、私たちが国際会議の場で学ぶべき課題は多くあります。それぞれの文化的背景によってその目的や手法は異なりますが、昨年の第3回大会に引き続き教育に関するセッションには多くの人が集まり、この分野に対する興味とその効果について、大きな関心が寄せられているのを実感しました。アメリカからは、動物介在教育の専門家として数年間に渡りグリーンチムニーズと共同研究を行っているデンバー大学のテデッシー氏と、実際に動物を取り入れ、家庭環境やメンタル面でサポートが必要な子どもたちに対するプログラムを実施しておられる、グリーンチムニーズ教育プログラム部長の木下氏から共同発表が行なわれました。動物の存在は、精神的な「Resilience(回復力、逆境に負けない力)」を与えることは従来から知られていますが、災害などの悲劇的な体験でトラウマを抱えた子どもたちが、動物と共に生きることでその逆境を克服することにも注目が集まっています。この発表では、こうした子どもたちの心のリスクと保護、回復についての科学的な報告が行われました。次に、中国の学校教育の現場で動物愛護の教育を行なうことによって、さまざまな諍いの種を管理するプログラムについて、ACTAsiaのスー氏から報告がありました。虐待のサイクルは、動物虐待、家庭内暴力、そして人間への暴力と一連の関係性があることはすでに知られていますが、こうした関連を人間と動物、自然環境が全て相互に関係していることを認識し、それを知ることによって自己を見つめ直す切っ掛けとなり、暴力的な行動を抑制する効果があることが示されました。また、奈良県が、地域振興という位置付けで、人と動物との関わりを考えることによって豊かな心を育てるヒューメイン・エデュケーションを実施する「奈良県いのちの教育プログラム」とその評価に関する報告がありました。いのちの教育プログラムの普及支援事業の一環として希望する自治体に教育ツールの提供が行なわれたこともあり、東京の八王子市で実施をしている動物愛護推進員の方からも関東での実施効果について言及があり、同プログラムの普及も着実に進んで来ているようです。バングラデシュからは、狂犬病の予防に対する認識が十分でないことによる発病のリスクが国内全体でまだ高く、街中にも野良犬と呼ばれる飼い主のいない犬が多数ウロウロしています。こうした被害に遭うのは、多くの場合は子どもたちですが、それらの被害は今後の教育と動物の福祉向上の取り組みによって改善できるリスクだという報告が行われました。最後に、日本国内に多数存在する犬にまつわる伝説を読み解き、古来より日本に存在した犬との共生の在り方を紹介する発表が行なわれました。弘法大師を高野山へと導いた白犬と黒犬の物語を例にあげ、犬の習性を尊重した日本ならではの犬との付き合い方が紹介されました。地域毎に抱えている問題や取り組んでいる内容も違っていますが、どの地域においても動物や自然とより良いかたちで共生するためには子どもたちを正しく教育し、地域の人々に啓発を行なっていくことが必要不可欠であると強く感じました。 |