獣医療のイメージ調査
松木 福子氏、横山 章光氏
帝京科学大学 アニマルサイエンス学科
【背景】昨今、社会では、急激にペット飼育者が増え、それについで動物病院数も増加し、ペットにかけるお金も増えて来ている。それは、すなわち高い水準の獣医療が求められるようになってきたということである。それに伴い、動物看護師にも高度な技術が求められるようになった。そのため、現在の動物看護師カリキュラムには、動物側の知識が増えるあまり、飼い主側の勉強についての項目、人間についての勉強が、ほとんどない状態になっている。しかし、獣医療をサービス業と見なすなら、動物の知識だけをつめこんだ動物看護師を動物病院の利用者である飼い主は本当に求めているのだろうか。今回は、そのようなイメージと現実のズレを明確にするため調査を行った。
【方法】獣医師・動物看護師・獣医師学生・一般の方々に質問紙調査を行った。質問紙の主な内容は、獣医師・動物看護師に、飼い主側
【しつけ・トレーニングのアドバイス、接客マナー、ペットロス、安楽死・動物虐待などの心のケア】など、人間についての勉強とペット側
【解剖学、生理学、栄養学、リハビリ、薬理学、行動学】など、動物自体についての勉強、それぞれどれぐらいの割合で学んでおいてほしいか点数をつけてもらうものだ。
【結果】獣医師27 名、獣医師学生24 名、一般人50 名、動物看護師9 名が回答した。獣医師学生が勉強しておいてほしい割合配点結果は、獣医師において、飼い主側の勉強(44.8 点)、ペット側の勉強(55.2 点)。動物看護師において、飼い主側の勉強(41.9点)、ペット側の勉強(58.1 点)。獣医師学生において、飼い主側の勉強(38.1 点)、ペット側の勉強(61.9 点)。一般人において、飼い主側の勉強(37.6 点)、ペット側の勉強(62.4点)。動物看護師学生が勉強しておいてほしい割合配点結果は、獣医師において、飼い主側の勉強(56.7 点)、ペット側の勉強(43.3 点)。動物看護師において、飼い主側の勉強(52.5点)、ペット側の勉強(47.5 点)。獣医師学生において、飼い主側の勉強(60.4 点)、ペット側の勉強(39.6 点)。一般人において、飼い主側の勉強(52.7 点)、ペット側の勉強(47.3点)であった。