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2014.05.02

ICAC KOBE 2014 ポスターセッション 05

ICAC キャラクターロゴ 2014 名前無し

パイユ(Chanodichthys erythropterus)に認められた褐色細胞腫と
核内グリコーゲン蓄積を伴った肝細胞癌

田中 夏樹氏井澤 武史氏桑村 充氏山手 丈至氏(大阪府立大学 生命環境科学研究科 獣医学専攻 獣医病理学教室)

東口 信行氏毛塚 千穂氏(神戸市立須磨海浜水族園)

 

 

褐色細胞腫は副腎髄質のクロム親和性細胞に由来する内分泌腫瘍である。今回我々は、魚類では未だ報告のない褐色細胞腫の症例を報告する。症例はコイ科の淡水魚のパイユ(Chanodichthys erythropterus)、雌の 27 歳で、異常遊泳、食欲不振、呼吸速迫を呈していた。剖検時、頭腎に薄茶色の腫瘤が認められ,組織学的には多角形,顆粒状,弱好酸性の細胞質を有する腫瘍細胞の増殖が認められた。透過型電子顕微鏡による観察で、腫瘍細胞は限界膜に囲まれた神経分泌顆粒を有することが明らかになった。以上の所見から、本腫瘍は褐色細胞腫と診断された。また本症例には肝臓にも腫瘤があり、それは肝細胞癌と診断された。さらに、ほとんどの肝細胞の核内に
顕著な空胞が見られ、核は腫大し、いびつに配置したクロマチンによって印環様を呈していた。電子顕微鏡によって核内にグリコーゲン顆粒が認められ、肝細胞の核の空胞化は機能性の褐色細胞腫に起因する糖尿病によって引き起こされた可能性が示唆された。