奈良県が取り組む
動物のいのちを通した子どもへの「いのちの教育」
この日は、日本全国の動物に関わる13ヶ所の行政職員が15名参加し、奈良テレビの取材も受けることとなりました。朝の9時から奈良県下の小学校3校が遠足でパークを訪問し、「いのちの教育プログラム」の授業をはじめ、ウシの乳搾り体験やヤギの餌やりなどを体験してもらい、丸一日動物の「いのち」を実感することのできるプログラムになっています。
これまでに、学校訪問授業ですでに「プログラムⅠ」を受講済みの吐山小学校の1年生と2年生は、この日、「プログラムⅡ」の授業を受けました。2学年を合計しても11名の小さな学校ですが、子どもたちは元気一杯です。
「プログラムⅡ」では、人間や動物が「生きている」という証拠を探しながら、人間も動物もお互いに「生きている」ということや「気持ちがある」ということを学ぶプログラムになっています。「プログラムⅠ」で使用した張り子の動物だけでなく、心音計やホワイトボードなどを使って、子どもたちが自ら「生きている」ことの実感を持つことができる内容が特徴となっています。
次に、安倍小学校の2年生54名の「プログラムⅠ」と、佐保台小学校の1年生と2年生40名の「プログラムⅢ」を見学することになりましたが、別々の学習室での同時進行となりますので、研修会への参加者は希望する内容の部屋に分かれて見学です。本年度からは参加希望校の増加に伴いこのような2クラス同時進行という場面が多くありますので、指導する教職員が2名常駐しているというのは、とても効果的なことと言えます。
「プログラムⅠ」では、人間と動物は繋がっているのか…ということを学習します。「街」「牧場」「自然」の3つのエリアが描かれたパネルの上に、大型の張り子の動物を、2〜3人のチームで相談をしながら、それぞれの動物を移動させます。中には、ウサギを「街」エリアに置いたり「自然」エリアに置いたりする場合もありますが、このプログラムは正解を求めるものではありませんので、なぜ子供たちがその場所に置いたのかということを聞き出し、みんなで考えることに重点を置いています。なので、ウサギがペットとして「街」にいても、野生動物として「自然」にいても、両方とも正解なのです。
「プログラムⅢ」では、「Ⅰ」と「Ⅱ」で学習した内容を踏まえて、人間と同じように「たった一つしか無い大切ないのち」を生きている動物のために、私たちに何ができるのかを考えます。「ペット」「家畜」「野生動物」という、それぞれの動物に対してどのような約束をするのかを、ホワイトボードに書き込んでいきます。そうして考えた約束は、私たち人間が動物に対して負っている「責任」であるということを学ぶ内容となっています。
いずれのプログラムにおいても、そのひとつ前のプログラムの「ふりかえり」のために十分な時間を費やしています。子どもの教育に於いて、こうした「ふりかえり」のための時間は、とても大切で大きな効果を上げる手法として、このプログラムでも採用しています。