ヒューメインセンタージャパン(HCJ)事業セミナー
シェルターメディシン~より良い譲渡に向けて
―シェルターにおける獣医学的管理と行動学―
■主 催 | 社団法人 日本動物福祉協会/NPO法人 Knots | |
■協 賛 | マース ジャパンリ ミテッド | |
■後 援 | 環境省/社団法人日本獣医師会/公益社団法人日本動物病院福祉協会 | |
■開催日時 | 東京会場 | 平成22年6月19日(土) 10:00~17:00 |
6月20日(日) 9:00~16:00 | ||
大阪会場 | 6月26日(土) 10:00~17:00 | |
6月27日(日) 9:00~16:00 | ||
■開催場所 | 東京会場 | 日本獣医生命科学大学 |
大阪会場 | 大阪府立大学りんくうキャンパス | |
■講師 | 田中亜紀氏(カリフォルニア州立大デイビス校) 入交眞巳氏(北里大学専任講師)東京会場のみ 水越美奈氏(日本獣医生命科学大講師) 柴内裕子氏((公社)日本動物病院福祉協会 顧問/赤坂動物病院 院長) 大阪会場のみ |
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■参加人数 | 東京会場 | 約240名(延べ2日間) |
大阪会場 | 約140名(延べ2日間) | |
■講演要旨 | 田中亜紀氏 (PDF) | |
入交眞巳氏 (PDF) |
HCJ事業として、第1回目となるセミナー「シェルターメディシン・より良い譲渡に向けて」が去る2010年6月に東京と大阪2箇所の会場でそれぞれ2日間に渡り開催されました。
まずは、主催者である(社)日本動物福祉協会及びNPO法人Knotsより、ご来場者、ご支援、ご協力を賜りました皆様へご挨拶と感謝の言葉を述べさせて頂きました。
その後、ご支援者でありますマースジャパンリミテッド 佐野様よりご挨拶を頂きました後、講師の先生方のご紹介を経て、セミナーが始まりました。
今回のテーマであります、「シェルターメディシン」とは、「伴侶動物の群管理」という意味で、日本ではまだあまりなじみがない分野です。米国でも2001年に本セミナーのメインスピーカーである田中氏が研究拠点とされているカリフォルニア州立大学のデイビス校で始まったばかりということで、最近少しずつ他の大学でも授業として行われるようになったそうです。
田中氏は現在、シェルターでの臨床を行いながら、シェルターメディシンの研究に従事しておられ、本セミナーでシェルターメディシンに関する最新の情報をお話して下さいました。
群管理での最大の目的は、「群れの健康を維持し、心身ともに健康な動物を1頭でも多く譲渡すること」です。そこには、日々の健康管理から始まり、感染性疾患、問題行動への対応、飼育環境のエンリッチメントや安楽死等動物福祉の考え方も必要で、総合的なスキルや知識を必要とされます。
田中氏は、2日間に渡り、シェルターメディシンについて、その歴史から、具体的な群管理の手法について丁寧にお話をして下さいました。群管理の中では、動物行動学の知識が大変重要です。この部分につきましては、その分野の権威でもあられます、北里大学で教鞭をとっておられる入交氏が東京会場で、大阪会場では日本獣医生命科学大学の水越氏がお話をして下さいました。
動物行動学の分野も日々研究が進んでります。数年前まで正しいと思われていた理論が、今では更に新しい理論へと進化しています。お二人からは、ビデオ等で実際の行動の事例を見せて頂きながら、最新の情報を詳しくお話し頂きました。
また、大阪会場では、(公社)日本動物病院福祉協会顧問の柴内氏が講師として、シェルターに持ち込まれる動物達を減らす為に、獣医師、動物病院の役割が如何に重要かをお話下さいました。柴内氏は開業獣医師としても46年の実績をお持ちです。そのご経験と実績に基づいたお話を会場の皆さんは熱心に聴講されていました。
本セミナーでは、質疑応答の時間をたっぷりと設け、実際に現場で活躍しておられる方の抱えてられる問題などを皆で共有し、考えて行くことを一つの目的としていました。実際に、東京、大阪両会場において、様々な質問や意見が参加者の皆さんから投げかけられ、会場が一体となって活発な意見交換がなされました。
シェルターメディシンは今後益々注目される分野でもあり、東京、大阪何れの会場も多くの聴講者で会場はいっぱいとなりました。ご参加者の方々からは「自分に出来ることは何か、もっと考えて行動していきたい。」といった前向きなご感想を多数頂きました。
本セミナーが今後の譲渡事業に少しでも役立ち、多くの動物達が新たに幸せな人生を送れますよう願っております。