第13回IAHAIO2013 人と動物の関係に関する国際会議 シカゴ大会
3年に一度開催され、その内容がいつも注目される、IAHAIO。2013年のシカゴ大会に参加された、帝京科学大学の学生さんから、その様子をご報告して頂きます。
<帝京科学大学横山研究室ゼミ>
報告者:乙黒 由華、羽柴 利紅、日高 愛、松木福子、栁澤 香奈子
尚、ヒトと動物の関係学会様ご主催で、10月5日(土)IAHAIO報告会が開催されます。
詳しくはこちら → IAHAIO2013 カンファレンス報告会
2013年7月21,22日にアメリカのイリノイ州シカゴで、人と動物の関係に関する国際組織(IAHAIO: International Association of Human-Animal Interaction Organizations)の3年に一度開かれる国際会議で、様々な国の研究者の方々が集まり、たくさんの研究発表やポスターセッションが行われました。今回の開催は、獣医師団体AVMAとの合同ともあって、会場はとても大きく、複数の発表の場が設けられていました。
私たち学生は、初めての海外旅行、初めての外国の学会参加で、苦手な英語の、それも専門用語が飛び交う中、電子辞書を片手に、いくつかの発表を聞かせていただきました。研究発表テーマには、「馬とのかかわりが若者のソーシャルスキル(社会的技能)を向上させる」や、「犬との交流が認知症患者に役立つ」、「動物介在介入:動物福祉と獣医師の役割」といったものがありました。
欧米諸国やヨーロッパの方の発表は、もちろんのこと、日本、韓国、インド等、いろいろな宗教圏の地域の研究発表もあり、興味深い内容でした。聞き取れる英語を拾いながら発表を聞く中、インドの研究”Holy Cows to Healing Dogs” – A change in perspective in the Human Animal Bond in India. に特に興味をひかれました。インドの方々の動物観の変化、そして、セラピードッグを用いた、インドで初の、人間と動物の相互作用研究の発表でした。
私たちがインドに対して持っていたイメージといえば、牛を神聖化されていることや、犬などは、コンパニオンアニマルを傍に置くというより家畜のような扱い、人口が多い、というものぐらいでした。ですが、実際に子どもやお年寄りの方に動物介在活動が行われている映像を見て、驚きました。 私たち学生は、今回この会議に参加させていただいて、たくさんの知識、刺激を得ることができましたが、正直、半分以上理解ができなかった部分があると思います。 しかし、私たち学生は、学会発表を聞いたり、外国の方と交流する中で、いつの間にか、「英語が十分できなくても、勇気と伝えたい気持ちがあれば、みんな意見を受け入れてくれる!」「もっと、世界の人たちに日本のことを知ってほしい。」という気持ちが芽生えました。この気持ちが得られたことだけで、本気でアメリカに来て良かった!とはっきり言えるのです。 私たちを連れて来てくださった先生、今回ツアーを共にしていただいた方々に感謝したいと思います。
また、会議開催期間中、催し物会場では、獣医療機器のメーカーやフード会社などの動物関連の団体や企業のブースが多く出展されており、宣伝活動が行われていました。そこでは、色んな獣医療器具、ペットフード、保護団体ブースがある中に、軍用犬のブースや、狩猟のブースが置かれていることに、違和感をおぼえました。アメリカの動物観の縮図なのでしょうか。日本では、まずありえないことだなぁと思います。アメリカ社会における、人の動物に対する考え方を肌で感じることができました。
そして、国際会議は、レベッカ会長のお話からはじまり、二日目の最後には、シカゴ宣言と次回の開催地がパリ、と発表され、会場は大きく盛り上がり、幕を閉じました。 シカゴ宣言では、One Health(=動物、人、環境の健康および健全な状態は密接にしているという概念)にコンパニオンアニマルが重要な役割を果たすための4つの事柄をテーマに推進することが、宣言されました。
-IAHAIO国際会議前夜Welcome Reception パーティー-
会長あいさつから始まり、いろんな方のあいさつがありました。立食パーティーでした。おいしい食事、ピアノの生演奏があり、参加者どうしの交流の場となりました。私たち学生は、今まで教科書や論文で名前しか見たことが無かった、超有名な研究者の方々が次々に登場し、ただただ感動と驚きの連続でした。これまで、英語ができないことが、こんなに悔やまれた日はありません。
Conference Banquet 懇親会 複数のテーブルに分かれて、食事をしました。地元の方と同じテーブルになり、興味深いお話ができました。アメリカ先住民の子孫の方のダンス、みんなで手を取り合って輪になってステップを踏んだりしました。また、たくさんの人とハグをすることが出来て、とても幸せな気持ちになれました。ハグは、癖になりそうです。