お知らせ

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2004年10月6日~9日まで英国のグラスゴーで第10回IAHAIOの会議が
開催されました。

 

【IAHAIOについて】
IAHAIOとは、International Association of Human-Animal Interaction Organizations を意味し、人と動物の相互作用に関する研究と理解を促進させる為に、米国の「デルタ協会(Delta Society)」、英国の「スキャス(SCAS/The Society for Companion Animals Studies)」、フランスの「アフィラック(AFIRAC/Association Francaise d‘Information et de Recherche sur l ’Animal de Compagnie)などが中心になって1980年に設立されました。 1980年の第1回ロンドン大会以来3年ごとに、各国の「人と動物との絆(HAB/ヒューマン・アニマル・ボンド)」に関する研究発表の場、国際的ディスカッションの場として開催されています。

【IAHAIOでの発表に至った経緯】
 私共の中心事業である、「りぶ・らぶ・あにまるず国際シンポジウム及びフェスティバル」は2001年は神戸21世紀・復興記念事業/環境省動物愛護週間地方行事として、2002年、2003年は神戸市との共催事業として、また、本年まで神戸21世紀・復興記念事業継続事業として実施して参りました。
この事業に毎年、海外からお招きするスピーカーの方々には動物関係者が多く、日本の現状を知って頂く上でも兵庫県動物愛護センターをご見学頂く機会が多いのですが、皆さんからは決まって感嘆の声が聞かれます。何故なら、行政がこれほど動物愛護事業に熱心に取り組んでいるところは他国ではあまりみられることがないからです。2003年に来日されましたSCAS(Society for Companion Animal Studies /英国)代表のオームロッド氏、前代表のワイアム氏も大変興味深く見学され、この日本の素晴らしい行政の取り組みを是非、2004年10月にイギリスのグラスゴーで開催されます第10回IAHAIOの会議で発表して頂けないかというご依頼がありました。日本の動物愛護行政は決して他国に比べ劣るものではなく、むしろ先進的且つ画期的な取り組みがなされていることをお知らせする良い機会であると考えましたので、次の方々のご協力の下、調査を行い発表することとなりました。
山﨑恵子氏(ペット研究会「互」主宰)
山口千津子氏((社)日本動物福祉協会)
協力:東京都、長野県、広島県、兵庫県、神戸市

【第10回IAHAIOについて】
 4日間に渡って人と動物に関わる様々なテーマの下、各国より集まった研究者や専門家による発表やワークショップが行われました。今回の会議のテーマは’People and Animals: A Timeless Relationship (人と動物:時空を超えた関係) です。
会議のスケジュールについては、こちらをご覧下さい。
IAHAIO WEBサイト URL:http://www.iahaio.org/

また、ホールでは各団体の紹介ブースや、ポスターセッション、子ども達の絵画コンクールなどが開催され、ホール内ステージでは、身体障害者補助犬によるデモンストレーション、しつけ教室のデモンストレーション、アジリティデモンストレーション等が開催されていました。
IAHAIOの主要メンバーであり、今回の会議の事務局を務めたSCASの25周年記念講演があり、日本でも大変人気のある作家故ジェームズ・ヘリオット氏の息子さんであるジム・ワイト氏による心温まるとても楽しいお話が伺えました。

 

 

 

 

 
 身体障害者補助犬による
デモンストレーション
 しつけ教室の
デモンストレーション
ポスターセッション

また、興味を引いた発表は’Pets in Cities Seminar’でした。ヨーロッパの各国のドッグランやドッグトイレの設置状況等の説明がありました。人と動物の共生する社会のモデルの一つとしてベルギーのSchaerbeek という町が紹介されました。この町では、ドッグトイレを設置した際にオープニングパーティを開催しました。このトイレを使用するのに飼い主は75ユーロの税金を払い、そして、愛犬にはネームの入ったメダルが渡されます。また、猫の餌やりは許可制で、許可証が発行されます。鳩については2005年には公園などに鳩小屋を設置し、そこで産んだ卵を偽者の卵と取り替えることで、羽数調整を図るそうです。沢山のユニークな取り組みは大変勉強になりました。フランスでは90%の市にドッグトイレがあり、60%の市にドッグラン(Play ground )があるとのことでした。日本では考えられない普及率です。

Knotsは、9日にDocahrt Roomで開催されたWSPAのワークショップ’Attitudes and Activities Relating to Animal Welfare in Asian cultures.’にて、「日本における行政による動物愛護事業の取組みと現状」というテーマで発表を致しました。
このワークショップには、日本の他に中国の大学生の動物福祉に対する意識調査の報告や、インドネシアにおける子ども達への動物愛護の啓発普及や狂犬病予防注射、避妊去勢手術の支援活動について、そして、犬を食べることについての韓国の方々の意識調査について、次々と報告されました。そして、最後に山﨑恵子氏、山口千津子氏((社)日本動物福祉協会)、Knotsによる上記発表を代表して冨永が行いました。日本では、阪神・淡路大震災の際に人の救援と共に動物達の救援も行われました。この救援が日本の動物愛護の気運を大きく前進させることになり、その後、兵庫県動物愛護センターも誕生し、各地に少しずつ愛護センターの建設が始まりました。動物愛護法が改正された2000年には、今回ご紹介した長野県動物愛護センター(ハローアニマル)も誕生しました。日本では、動物愛護精神の啓発事業、適正飼養の普及指導、動物の保護と管理等の様々な事業が市民やNPO等団体の協力の下行政によって行われています。特に震災以降は大きく進展しました。このように行政が主体となって動物愛護事業が行われていることは欧米ではなかなか見られないことであり、その点では日本は先進事例国と言っても過言ではないでしょう。このことは、今まで日本からあまり情報発信はなされていなかったこともあり、発表をお聞きになった多くの方々は、大変驚いておられました。勿論、現状としては解決すべき問題も多々ありますし、民間団体のパワーの格差は歴然としています。しかし、問題の多くは世界的に共通する部分が多く、情報交換等を通して各国の努力により、今後何らかの解決策が見出される可能性は高いと考えられます。また、今回のワークショップを通して、アジア独特の動物愛護の文化を理解、尊重しながら、動物福祉の向上を図っていくといった動きについても日本にはある種の役割があるのではないかと感じました。それは、グローバルな中での日本が置かれている状況と動物の世界も同様であるように思いました。

このワークショップには、Knotsが今まで開催した国際シンポジウムにスピーカーとしてご来日された次の方々が参加して下さいました。久しぶりにお目にかかることが出来、大変楽しいひとときとなりました。
アメリア・タルジ氏(2001年招聘)、フランク・アシオーン先生(2002年招聘)、エリザベス・オームロッド氏、メアリー・ワイアム氏(2003年招聘)、ジョアン・ドルトン氏(2004年招聘)

次回のIAHAIOは2007年に東京で行われることが決定しております。
詳しくは、こちら→ http://www2.convention.co.jp/iahaio.tokyo/
この年には新しく神奈川県にも動物愛護センターが誕生するとのことです。この際には、是非動物愛護センターを見学したいとおっしゃる方もおられました。世界の関心が今、日本の行政に向けられています。今後関係者の更なる努力が望まれるのではないでしょうか。
詳しい発表内容をご希望の方は、Knotsまでお問い合わせ下さい。