■主 催: | 兵庫県動物愛護センター/NPO法人Knots |
■特別協賛: | ネスレピュリナペットケア株式会社 |
■実施日時」 | 2005年7月9日(土)13:00~15:30 |
■実施場所: | 兵庫県動物愛護センター 多目的ホール |
7月10日に開催されたりぶ・らぶ・あにまるず国際シンポジウム2005『犬と拓く子ども達のコミュニケーション』 (NPO法人Knots主催)でR.E.A.Dプログラムについて事例報告をして下さったインターマウンテン・セラピーアニマルズ(非営利団体)常務取締役のキャシー・クロッツ氏を講師としてお招きし、お話をしていただきました。
まず、お話に入る前に、兵庫県県民生活部健康福祉局生活衛生課の杉原氏よりクロッツ氏のご紹介とご挨拶を頂きました。 次にクロッツ氏より、インターマウンテン・セラピーアニマルズで行なわれているR.E.A.D.プログラムを紹介してくださいました。
インターマウンテン・セラピーアニマルズは人と動物の関係(ヒューマン・アニマル・ボンド)を通じて人の生活の質を向上させるのが目的で設立され、病院等の施設へのセラピー活動や、図書館や学校等へR.E.A.D.ドッグ(読書教育支援犬)を連れて訪れR.E.A.Dプログラムを実施されたりしています。
R.E.A.Dプログラムの目的は、犬への読み聞かせを通じて子ども達に本を読む楽しさを感じてもらい、同時に識字能力も高め、コミュニケーションのスキルを学ばせるところにあります。
訪問活動にはAAA【Animal Assisted Activity】といって対象者の質の向上やレクレーション等を目的として行われる動物介在活動とAAT【Animal Assisted Therapy】といった対象者の身体的・社会的機能の回復及び向上を目的とし専門家や医療者が十分に話し合いを持ちながら計画書を作成して、それに対する評価をきちんと行う動物介在療法というものがあります。
今回クロッツ氏にお話を頂いたR.E.A.D.ドッグプログラムは、前者の訪問活動ではなく、AAT(動物介在療法)として行われているものです。
そのため個々のレベルに合わせた計画プログラムを作成しその後の結果も評価しながら、R.E.A.D.ドッグとオーナー、そして教育のプロをはじめ様々な分野の専門家の方々と一緒に行われています。
R.E.A.D.ドッグになるためにはデルタ協会のペットパートナーズテストの21項目(下記参照)の合格に加え、R.E.A.D.ドッグに必要な要素、例えば温厚で静かな環境でも緊張せずにいられるかなどを評価して初めてチームに参加することができます。
またそのワンちゃんのオーナーも一緒に参加するわけですから、子どもが好きで、子ども達と適切な関係を結べるかなど人側にも必要なレベルが求められます。
例えば、ソルトレイクシティーのベニオン小学校で実施されたR.E.A.Dプログラムにおいては、目標レベルを定めてから週に一回1対1で20分間、その子どものレベルに合った読書教材を使用しR.E.A.D.ドッグと落ち着いて本が読める環境の中で実施されました。
するとその16ヵ月(1年+夏休み)後の結果、子ども達の読む能力は目覚しい進歩を遂げ、自尊心がつき、他のお友達のお世話をするなど積極性がでできたそうです。
そして何よりも図書館から積極的に本を借りるようになり、平均的に2学年分読む力がアップしました。
また、そこに訪問してくるワンちゃん(リードドッグ)が学校へ来る前にきちんと歯磨きやシャンプーをしてくるんだよとお話をしたところ、子ども達もワンちゃんが綺麗にしてくるなら僕達もきちんと歯を磨いてシャワーを浴びて来なきゃねと驚くことに子ども達の衛生状態の改善も図れたのです。
この様な結果が出ているのも綿密な計画プログラムとその評価がきちんと行われているからこそと思います。
ある程度のレベルに達したらR.E.A.D.ドックに前足で合格印を押してもらえたり、骨型のしおり・R.E.A.D.ドッグの写真シールや名刺配布など、そのプログラムを楽しくする為の工夫も沢山組み込まれています。
この様に子ども達が無理なく楽しみながら参加できる事もポイントです。
そして何よりも全てをそのまま受け止めてくれる犬達から力をもらっているのだと感じました。
現在アメリカでは44州とカナダで600のR.E.A.D.チームがあり、子ども達が一生涯にわたって読書を楽しんでもらえる様に活動されているそうです。 今回のスペシャルレクチャーには、各都道府県より69名の方がご参加くださり、最後まで熱心に耳を傾けられていました。
質疑応答では特にR.E.A.D.ドッグになる為のテスト内容や、人と動物の関係の中で課題となりやすいアレルギーの面の事等様々な分野の方より質問があり、一つ一つ丁寧にお答えを頂くことができました。
限られた時間ではございましたが、とても充実した良いセミナーとなりました。
【参考】デルタ協会が定めるペットパートナーズテストの項目
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●ペットパートナーズ技術テスト項目(PPST:Pet Partners Skills Test) 1. 見知らぬ人を受け入れる |
●ペットパートナーズ適正テスト項目(PPAT:Pet Partners Aptitude Test) A. 全身の検査 |
・詳しくは、デルタ協会のWEBサイトをご覧下さい。 http://www.deltasociety.org ・日本語に翻訳された資料のご紹介 ※申し込み及び問合せ先 |
阪神・淡路大震災10周年記念事業 りぶ・らぶ・あにまるず国際シンポジウム2005 『犬と拓く子ども達のコミュニケーション』 |