動物愛護施設「人と動物の未来センター“アミティエ”」見学 報告

動物愛護施設「人と動物の未来センター“アミティエ”」見学 報告

 

訪問日:2014年6月24日

 

 神戸市の獣医師2名、公益社団法人 Knots理事長・冨永と制作室・小椋の4名で、獣医師たちによって運営されている全国でも珍しい動物愛護施設「人と動物の未来センター“アミティエ”(鳥取県倉吉市)」を見学させて頂きました。

 

 見学に先立ち、アミティエ創始者のお一人でもあり、公益社団法人 日本獣医師会・前会長の山根義久先生と奥様、倉吉動物医療センター・山根動物病院院長の高島先生からアミティエと山根動物病院についてのお話を聞かせて頂きました。お話を聞かせて頂いた動物臨床医学研究所の建物は、昨年3月に新たに新築移設された山根動物病院に隣接していますが、建物の裏には、かつての山根動物病院の看板が残っていました。これを見ただけでも、山根先生が長年に亘ってこの地で地域に密着した獣医師としての役割を果たし、そして最先端の高度動物医療への道を歩んでこられた歴史を伺い知ることができます。

 

IMAG0141

改装された山根動物病院の外観

 

 アミティエは、2013年9月に公益財団法人 動物臨床医学研究所附属の野生生物センターを拡大して開所されたもので、犬・猫の保護スペースや処置室、会議室、事務室に加えて、きれいに手入れが行き届いた芝生のドッグランが併設されています。

 収容棟の中はとてもきれいに管理されていて、一頭一頭にきちんと目が行き届くちょうど良い大きさの施設です。「ワン個室」と名付けられたスペースは、大型犬でも十分に対応できる広さがあります。この収容棟には、鳥取県動物愛護センターとの連携で新しい飼い主を待っている動物や、東日本大震災の被災動物も保護されており、行政と獣医師が連携をして、殺処分数を少しでも減らす取り組みが行われています。

 ここで動物たちの世話をしている責任者は、都市圏での会社勤めを辞め、「是非、ここで働かせて欲しい!」という熱意を持ってこの場に越して来られたそうです。こうしたスタッフの日々の努力によって、この施設の運営が支えられています。

P1130914

「人と動物の未来センター」の看板

P1130961

施設の外観

P1130920

収容棟の犬舎

P1130932

犬舎の外側

P1130938

「ワン個室」で新しい飼い主があらわれるのを待っている犬たち

P1130950

きれいに管理されたドッグラン

P1130944

丁寧に説明をしながら案内をしてくださいまいた

P1130958

寄附をすることができる自動販売機

 

 

 この日は山根先生が丸一日お時間を開けて下さっており、アミティエの見学の他にも、「山根村塾」の宿泊施設や、畑、果樹園も案内をして下さいました。「山根村塾」は、獣医師を始め、獣医療に関わる道を目指す若い学生たちなどを受け入れ、獣医学の勉強だけではなく、野菜や果物を育てたり、家畜の世話、養蜂などの体験を通して、「いのち」に関わる道を目指した若者たちの人間形成を目的として運営されています。

P1130964

山根村塾の宿泊施設

P1130965

養蜂箱もあります

 

 蒜山ハーブガーデン・ハービルにも案内をして下さり、その道中や食事中などに、たくさんのお話を聞かせて頂きました。団体の運営や後進の指導などで多忙な日々を過ごされているはずなのですが、獣医師として、また人間としてのとても貴重なお話を聞かせて頂くことができました。

P1130981

ドッグランがある「蒜山ハーブガーデン・ハービル」

 

 「ロマン・パッション・アドベンチャー」

 先生が何度も言っておられた言葉ですが、夢を描き《ロマン》、情熱を持って《パッション》行動する《アドベンチャー》という意味です。獣医師、特に同行した行政獣医師の仕事は、ときに謂れのない非難を受けることもあって、心が折れそうになることもあるようですが、山根先生の「私は獣医師なので、人と動物との関わりで社会に貢献するのは当たり前のことなのです」という言葉に、同行した獣医師が思わず涙を浮かべる場面もありました。おそらく、山根先生が第一線でこれまでに経験して来られた多くのご苦労と困難な道を想像し、それでも「獣医師」が社会の中で果たすべき役割の重要性を改めて思い起こさせられたからなのでしょう。
 獣医師と言うと、ペットの治療をする動物病院の先生というイメージがありますが、人と動物との関係はそれだけではありません。我々の食の安全、感染症の問題、子どもや高齢者との動物の関わり、動物虐待の問題など、獣医師が専門家として関わらなければならない課題はあまりにも多く、学問や知識だけでは解決できない課題が数多くあります。「山根村塾」や「人と動物の未来センター“アミティエ”」は、そうした我々の未来への大きなチャレンジのひとつなのではないでしょうか。私たちも、人と動物の未来について関わる公益事業者として、大きな勇気を頂いて帰路につきました。

 

公益財団法人 動物臨床医学研究所
http://www.dourinken.com/

人と動物の未来センター“アミティエ”
http://www.haac.or.jp/index.php/amitie