シカ肉の安全性について

2006年秋に処理場が誕生、頭数調整などの為に、捕獲された鹿のお肉を食用として販売を始めました。
シカ肉の安全性については研究も充分されており、また、「いつ、どこで、誰が捕獲したものか」といったトレーサビリティも確実に行われて安心して頂けます。

日本に生息するシカのE型肝炎ウイルス抗体保有調査

シカ肉は古くから日本人が活用してきた天然素材の食品です。しかし、最近ニホンジカの肉を生食したことによるE型肝炎を発症した事例が数例報告されました。シカ肉の有効活用を図るためには、安全性を確保するための対策が必要となります。そこで、ニホンジカがどの程度E型肝炎ウイルスの感染源となりえるのか、全国調査を実施しました(Matsuuraほか,2007)。この調査の概要とシカ肉利用に必要な安全対策について説明します。

多数のサンプルを集めました。

今回の調査では、シカの生息する主な16地域で捕獲された野生ニホンジカ、計976頭分のサンプルを採取し分析しました(図1)

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ウイルスは検出されませんでした

多数のサンプルを分析しましたが、E型肝炎ウイルスは検出されませんでした。また抗体(一度E型肝炎にかかると体の中に抗体が作られ免疫が作られます)保有率もほかの動物に比べて極めて低いことがわかりました。

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ニホンジカはE型肝炎に感染しにくい

ウイルスも検出されず、抗体保有率も極めて低いことから、現時点ではニホンジカがE型肝炎ウイルスの感染源となる可能性はきわめて低いと判断されます。

加熱処理を行って食べましょう

わずかですが、抗体を保有していた個体が報告されていますので、可能性は“ゼロ”とは言えません(すべての家畜、野生動物に共通のことです)。また、E型肝炎に限らず、野生動物は他の病原体を持っている可能性があります。したがって、野生動物の肉の生食は避けるべきです。また食肉処理の過程で一般的な大腸菌等が付着される場合もありますので、豚肉などのお肉と同じ考え方で、加熱処理を行ってからシカ肉を食べてください。

参考文献

Matsuura, Y., Suzuki, M., Yohimatus, K., Arikawa, J., Takashima, I., Yokoyama, M., Igota, H., Yamauchi, K., Ihida, S., Fukui, D., Bando, G., Kosuge, M., Tsunemitsu, H., Koshimoto, C., Sakae, K., Chikahira, M., Ogawa, S., Miyamura, T., Takeda, N., and Li T. C. (2007)  Prevalence of antibody to hepatitis E virus among wild sika deer, Cervus Nippon, in Japan. Archives of Virology.

榮賢司ら(2006)東海地区における動物からのE型肝炎ウイルス検出.厚生労働省科学研究費補助金、食品の安心・安全確保推進研究事業、ウイルス性食中毒の予防に関する研究、平成17年度総括・分担研究報告;27-29.

Li TC et al. (2006) Serological evidence for hepatitis E virus infection in mongoose.
Am. J. Trop. Med. Hyg. 74; 932-936.
Tanaka H et al. (2004) Molecular investigation of hepatitis E virus infection in domestic 
and miniature pigs used for medical experiments. Xenotransplantation 11; 
503-510.

(文責 兵庫県森林動物研究センター 横山真弓)