「いのちの教育プログラム」実施見学会および和歌山県動物愛護センター見学 報告

HCJ 奈良県いのちの教育普及支援事業

「いのちの教育プログラム」実施見学会および和歌山県動物愛護センター見学

 

日時:2013年12月20日(金)、21日(土)
場所:和歌山県海南市立巽小学校/和歌山県動物愛護センター

 

 奈良県うだ・アニマルパーク振興室で実施をしている「いのちの教育プログラム」の普及支援事業として、昨年7月に地方自治体を対象にツールの配布と使用説明会を開催し、全国から8つの自治体が参加しました。ツール配布後、すでにそれぞれの自治体の担当者が、主に小学生を対象に実施をしておられるとの報告が届いています。今回は、その中の和歌山県での取り組みを見学させて頂きましたのでご報告いたします。

 和歌山県には、動物愛護管理行政の拠点として和歌山県動物愛護センターがあり、行政の職員とボランティアによって、「わうくらす(Wakayama Animal Welfare CLASS)」という独自の愛護教育が行なわれています。今回は、「わうくらす」の授業を取り入れている海南市立巽小学校において、「いのちの教育プログラム」が実施されるので見学をさせて頂くことになりました。奈良県うだ・アニマルパーク振興室長の伏見誠氏、同じく振興室動物愛護・ふれあい係で「いのちの教育プログラム」の企画開発と実施を担当している藤井敬子氏、そして奈良県と共に普及支援事業の連携を行なっている公益社団法人日本動物福祉協会の山口千津子先生、公益社団法人Knots理事長の冨永佳与子、ツールの制作担当をしているDesign Office COZYの小椋聡氏と共に、小学3年生の授業を見学させて頂きました。
 この「いのちの教育プログラム」はこれ迄に何度も検討を重ね、精選された内容で3つのプログラムが組み立てられているため、このプログラムの内容が正確に多くの子ども達に伝えられるよう、普及を支援・推進しています。
 今回のように、各地での実施状況を見学させて頂くことにより、子ども達の反応や学校側のご意見を肌で感じることができ、また、実施者からのご要望等を直接お伺いすることができます。また、地域による実施条件に違いが無いか、内容が間違って伝わっていないか…などを確認させて頂く素晴らしい機会となります。

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 この日の授業は、すでに「プログラムⅠ」の学習を終えた小学3年生2クラスの「プログラムⅡ」の授業を見学させて頂きました。講師は、和歌山県動物愛護センター主査・小寺澄枝氏と地域のボランティアです。
 「プログラムⅡ」は、人間と動物が「生きている証拠」を子ども達が考え、心臓の音を聞き比べてひとりひとりが違う「いのち」を持っていることを感じとる内容です。その上で、生きるために必要なことを考え、さらにさまざまな場面で動物たちが感じる気持ちを想像するところまでが網羅されていて、3つの中で最も時間配分が難しいプログラムです。小寺氏も時間配分に苦慮されている様子でしたが、奈良県の職員からアドバイスを受けて実施されました。

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 奈良県の授業では、藤井氏と共に2名の現役教職員が指導にあたっており、元気一杯の雰囲気に包まれた学習風景ですが、小寺氏の授業は一言一言を大切に伝えていてとても穏やかな雰囲気です。すでに「わうくらす」を7時間実施しているため、このクラスの子ども達との信頼関係が出来上がっていて、お互いに安心して授業を行っているという雰囲気が伝わってきました。
 自治体が動物愛護教育を実施する場合、動物愛護センターの職員によって行なわれることが多く、地域のボランティアや学校の教師がサポート役を担われています。動物愛護センターの職員は、日々「いのち」と向き合う仕事をしており、現場職員の言葉には説得力と切実な願いがあります。そして、子ども達もそれを敏感に感じ取ります。このプログラムでは、こうした関係性の中で、よりその地域に根差したプログラムが展開され、受講した子ども達の心の中に残る内容に変化していく必要があるのです。
 和歌山県の場合は、差し迫った南海トラフ地震への対策として、動物との同伴避難などのテーマは他府県よりも切迫した状況にありますので、動物愛護センターと連携した啓発により、「動物との生活に必要なこと」に避難グッズの必要性などが子ども達から発言されることも期待されます。
 こうした現場での情報を他府県の現場とシェアし、連携をしながら進めていくことが今後の普及支援事業の大きな課題となります。

 見学後、巽小学校の楠友美子校長先生とご歓談をさせて頂きましたが、校長先生自らが「どのクラスの誰それちゃん」というように、一人一人の生徒の顔を思い浮かべながら指導をしておられるのがとても印象的でした。また、以前から子ども達が動物との関わりを通して学ぶことの意義に注目しておられて、これまでにも多くの時間を費やしてこられました。
 今後、教育現場である学校と地方自治体の愛護センターが連携をして、より多くの学校で、子ども達の目線で「いのち」を実感することができるプログラムが実施されることを願っています。

 その日は和歌山市に一泊し、翌日、和歌山県動物愛護センターの施設を見学させて頂きました。この愛護センターは紀美野町のかみふれあい公園に隣接しており、広大な敷地の中に愛護棟、管理棟、ふれあい動物舎やふれあいドームなどがあります。愛護棟には子ども達が自由に学習することができる図書情報コーナーや、犬猫の気持ちになってトンネルの中をくぐったり、柱を登ったりできる仕掛けも充実しています。
 センターでは、玉置三朗所長と前日の講師役・小寺氏が丁寧に施設を案内して下さりました。職員手作りの採血体験グッズなどもあり、奈良県の職員も興味津々でお話を聞いていました。また、動物愛護センターが実施する愛護教育の意義についてもじっくりと意見交換することができ、改めて地方自治体との連携強化の必要性を感じることができた2日間となりました。
 視察の全体を通して、今後の動物愛護センターのあり方や教育についての話題が途切れることはなく、このプロジェクトに関わる皆様の情熱を改めて感じることとなりましたが、同時に、まだまだ課題が山積みにされていることも浮き彫りにされてきました。

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 見学をさせて頂きました海南市立巽小学校の皆様、和歌山県動物愛護センター関係者の皆様、どうもありがとうございました!