お知らせ

NEWS

2013.11.04

【報告】人と動物のふれあい活動(CAPP)報告会 参加

人と動物のふれあい活動(CAPP)報告会 参加報告 

■日時:2013年10月27日(日) 10:00~16:30
■会場:東京大学弥生講堂 一条ホール
■主催:公益社団法人日本動物病院福祉協会(JAHA)様    
■内容:人と動物のふれあい活動(CAPP)報告会
① 基調講演:
『虐待を受けた子どもたちの治療~児童精神病棟で期待されるCAPP活動の役割~』
    新井康祥 先生(あいち小児保健医療総合センター 心療科 医師)
② 活動発表:
1.     『アニマルセラピー導入報告~導入から実施までの道のり~』
                棚瀬佳見 様(あいち小児保健医療総合センター 保育士)
2.     『血液腫瘍科病棟におけるワンちゃんと患児のふれあい活動  ―コーディネーターとしての役割―』
       井上富美子 様(NPO法人ミルフィーユ小児がん  フロンティアーズ コーディネーター) 
3.     『大学病院小児科病棟における人と動物のふれあい活動』
       醍醐智絵 様(公立大学法人横浜市立大学附属病院小児科 保育士)
4.     『精神科クリニックにおける動物介在活動を取り入れたプログラム』
       柴内裕子 様(赤坂動物病院 院長)
5.     『信愛病院緩和ケア病棟における触れ合い活動の報告』
       坂本里咲子 様(社会福祉法人信愛報恩会 信愛病院)
6.     『諏訪中央病院 ふれあい活動の歴史』
       長島香織 様(諏訪中央病院 看護師)
7.     『施設生活を送る認知症患者に対する動物介在療法の効果 ―1症例を通して―』
            名越美由紀 様(社会福祉法人信愛報恩会 信愛病院)
8.     『小学生を対象とした動物愛護教室「わうくらす」について』
       渡邊喬 様(和歌山市保健所)
9.     『諏訪中央病院における人と動物のふれあい活動の取り組み』
       左藤野恵 様(岡谷動物病院 獣医師)
10. 『家族の愛犬からみんなの愛犬へ ~共にボランティア活動に参加する喜び~』
       吉増江梨子 様(CAPPボランティア 和歌山チーム)
11. 『大学の地域連携活動としての動物介在活動の構築』
       堀井隆行 様(ヤマザキ学園大学動物看護部動物看護学科 助教)

アドバイザー:
棚瀬佳見 先生(あいち小児保健医療総合センター 保育士)
濱野佐代子 先生(帝京科学大学 こども学部 児童教育学科 准教授)

③ JAHAアワード授与式、歴代会長紹介
④ 人と動物の相互作用に関する国際会議(IAHAIO)シカゴ大会の報告     柴内裕子 先生(赤坂動物病院 院長)

-参加報告-

 とても気持ちの良い秋晴れの日、公益社団法人日本動物病院福祉協会(JAHA)様主催の「人と動物のふれあい活動(CAPP)報告会」に参加させていただきました。

 CAPP(Companion Animal Partnership Program)活動とは、JAHAが動物病院を中心として推進するアニマルセラピー(AAA、AAT、AAE)を総称した呼び名で、高齢者施設、病院、学校などを訪問し、動物の持つ温もりや優しさにふれて頂くボランティア活動です。ボランティアに参加するのは各家庭で家族として幸せに暮らしている動物たちです。

CAPP活動がスタートした1986年5月から2013年3月までの活動実績は、次の通りです。(数字はすべて述べ数です)
・訪問回数: 14,626回
・参加獣医師数: 22,882人
・参加ボランティア数: 115,654人  
・参加動物: 犬=85,631頭、猫=19,441頭、その他=6,712頭 
(JAHAウェブサイト「CAPP活動とは」より)

CIMG2609

新井先生、質疑応答の様子

 報告会は、心療科の医師である新井康祥先生(あいち小児保健医療総合センター)の基調講演から始まりました。『虐待を受けた子どもたちの治療』というテーマで、発達心理学の視点から被虐待児の愛着の問題やPTSDについてお話していただき、病院ではどのようにCAPP活動を取り入れた支援を行っているのかをお話していただきました。動物(ここでは犬)には閉じた子どもの心を開く効果があり、職員も笑顔になることから子どもも安心できるというお話でした。

 続いてCAPPの活動発表では、獣医師、看護師、保育士、コーディネーター、ボランティア等の様々な立場の方から11件もの報告がありました。CAPP活動の導入段階では皆様かなり苦労をされたようです。「噛んだらどうするの?」「アレルギーの子は?」等の問題を一つひとつ解決しながら導入へと繋げていったそうです。

 報告発表の合間には、3名の先生方へのJAHAアワード授与式が行われました。

○JAHAアワード(特別功労賞)受賞  
JAHA元会長 水谷渉(みずたに わたる)先生
水谷先生は、JAHA創設期から現在までCAPP活動や学術講演会等に積極的に参加し、長きに亘りJAHAの発展に多大な貢献をされました。

○ブラスマーアワード(学術功労賞)受賞 
日本大学名誉教授 酒井健夫(さかい たけお)先生
酒井先生は、大学教員として、また日本大学第12代総長として、獣医学教育に携わられ、日本の獣医学の近代化と発展に多大な貢献をされました。

○ビューステッドアワード(福祉功労賞)受賞 
社会福祉法人 信愛報恩会 理事長 桑名斉(くわな ひとし)先生
桑名先生は、医療現場において動物介在活動、動物介在療法を導入されるとともに、CAPP活動報告会で多くの症例報告を行い、CAPP活動の普及啓発をされました。

授賞式の様子:右から、水谷先生、酒井先生、桑名先生

授賞式の様子:右から、水谷先生、酒井先生、桑名先生

 歴代の会長紹介では、5名の先生方が真っ赤なジャケットを着用して登場されました!
 皆様とてもよくお似合いですね!
 ・初代、第2代、10代、11代会長 加藤元(かとう げん)先生
 ・第4代会長 柴内裕子(しばない ひろこ)先生
 ・第5代会長 鶴野整傳(つるの せいでん)先生
 ・第9代会長 是枝哲世(これえだ てつよ)先生
 ・第14代、15代会長 水谷渉(みずたに わたる)先生
 

歴代会長紹介からの一言:右から、柴内先生、鶴野先生、加藤先生、是枝先生、水谷先生

歴代会長紹介からの一言:右から、柴内先生、鶴野先生、加藤先生、是枝先生、水谷先生

 会の最後には、柴内先生からIAHAIO 2013のシカゴ大会のご報告がありました。シカゴ宣言では「動物、人、環境の健康およびウェルネス(健全な状態)は密接に関係しているという“One Health”の概念」が支持されています。
「ヒューマン・アニマル・ボンドのすでに実証済みの健康および社会的効果や、介助・補助動物の役割、人とコンパニオンアニマルの自然発生的疾患の病因や治療に関する情報交換を通じて、コンパニオンアニマルはOne Healthに重要な役割を果たします。同様に、コンパニオンアニマルと人の相互作用は、人と動物の健康に良い影響を与えます。(IAHAIO 2013 シカゴ宣言の一部)」
(CAPP活動報告会資料より)

今回のCAPP報告会は今後のさらなる活動の発展を願って開催されました。27年間にわたり1万5千回近い活動をされてきたこと、またこれまで一度も事故がおきることなく活動を継続されてきたことはとても素晴らしいことだと思います。現会長の細井戸先生のお言葉に「獣医師だけでなく、ボランティアや現場の人とも繋がっていかなければいけない」とあったように、今後も様々な分野の専門家と連携しながら活動を展開し、ぜひ今回のような報告会を継続していっていただきたいです。とても興味深い発表ばかりでした、発表者の皆様、JAHAの関係者の皆様、ありがとうございました。

 

関係者の皆様

関係者の皆様

Knots会員 田沼