りぶ・らぶ・あにまるずシンポジウム2007 「シカとイノシシの有効活用」

●実施日: 2007年7月8日(日)13:00~16:30
●実施場所: 神戸ポートピアホテル本館地下1階「和楽の間」
URL:http://www.portopia.co.jp/
(〒650-0046神戸市中央区港島中町6丁目10番地1)
●来場者数: 219名
●対象: 一般・飲食業関連事業者・地域振興関係者・農林業関係者・狩猟関係者
・研究者・学生他
●主催: 兵庫県森林動物研究センター / NPO法人 Knots
●共催: 株式会社 神戸ポートピアホテル
●助成: 財団法人 中内力コンベンション振興財団
●後援: 環境省 / 農林水産省 近畿農政局
■主催挨拶: 井戸敏三 兵庫県知事
■座長: 林 良博氏 / 兵庫県森林動物研究センター 所長
■スピーカー: ●話題提供
   1.「シカ肉の栄養学」
      岡本 匡代氏 / 釧路短期大学   
●研究報告
   2.「シカ肉の利用に必要な衛生対策について」 
     横山 真弓氏 / 兵庫県森林動物研究センター
   3.「これからの野生動物とのつきあい方」
     坂田 宏志氏 / 兵庫県森林動物研究センター
●事例報告
   4.「丹波の資源としてのシカ肉有効活用」
     柳川瀬 正夫氏 / (株)丹波姫もみじ
   5.「資源活用と地域振興 −おおち山くじらの取り組み−」 
     安田 亮氏 / 島根県美郷町産業振興課 


 

 2007年7月8日(日)、ポートピアホテル「和楽の間」にて、近年深刻化している野生動物による森林、農業被害の現状を踏まえ、有害鳥獣として捕獲された野生動物たちの「命」を無駄にしないために、安全にそして有効に活用する方策を考えることを目的に「兵庫県森林動物研究センターシンポジウム りぶ・らぶ・あにまるずシンポジウム2007 シカとイノシシの有効活用」が開催されました。

 

  まず冒頭に、Knots理事長冨永より、このシンポジウムについてご紹介させて頂き、シンポジウム開催にあたりご支援、ご協力下さった皆様へ御礼申し上げました。改めて厚く御礼申し上げます。本当に有難うございました。
  また、株式会社神戸ポートピアホテル様が共催の一環としてご用意下さった丹波鹿を使ったランチコースをご案内致しました。
 
 

 

 次に、主催者を代表して井戸兵庫県知事よりご挨拶がありました。 動物被害対策や奥山(森林)管理の適正化を進め、動物と人との生息空間管理の整備手法を確立する研究機関として今年の4月に兵庫県森林動物研究センターがオープンし、今後は調査・研究のみならず指導者育成にも務め、ワイルドライフマネージメントの拠点として活動を展開して頂きたいとビジョンを述べられました。県のトップ自らが来場され、力強く兵庫県における野生動物との共生へ向けての施策の方向性を示され、この問題が兵庫県においていかに重要な問題であるかを再認識し、参加者は大変心強く感じておられました。 また、会場に入られる前に、井戸知事も美味しく丹波鹿のランチコースを召し上がられ、会場の皆様にもお勧め下さいました。
 
 

 

 森林動物研究センター林所長のご挨拶では、ご自身が長年携わってこられたクジラの問題に照らし合わせながら、シカやイノシシについても共通の課題があることを説明され、有効活用は一過性のものでなく持続的に行うことの必要性や、その為に、とり過ぎることは問題であること、また共生にはバランスが大切であり、適正な個体数管理を行い野生動物の多様性を保全しながら行わなければならないことを強調されました。
 また、シカやイノシシを「ふるさと資源」の一部として活用しながら、過疎や高齢化の進む中山間地域の活性化に繋げる方策を探ることの重要性にも触れられ、森林動物研究センターが、野生動物の調査をするだけでなく、獣害を受けている全国の地域にも、野生動物資源の活用法を提言する為の重要な役割を担っていることを改めて感じさせて下さいました。 
 

 

 まず始めに岡本氏(釧路短期大学)による「シカ肉の栄養学」の研究発表が行なわれました。会場には、今後シカ肉を有効活用していくうえで、このテーマに非常に興味を持っておられる方も多くいらっしゃり、皆様熱心にご聴講されていました。岡本氏はエゾシカ肉の栄養分析を行った結果を、ご自身が北海道をバイクで一周旅行されたエピソードを交えながら北海道の観光場所や名産品などと合わせて発表して下さいました。分析の結果、エゾシカ肉は、ウシやブタ肉というよりはむしろニワトリのささ身に組成が似ており、季節により若干成分に差はあることを加味しても、高タンパク質で低脂肪であること。畜肉と比較すると鉄や銅、亜鉛の含量が多い上、必須脂肪酸が多く含まれ、抗発ガン性や脂質代謝改善作用などの機能があるとして注目される共役リノール酸(CLA)も含まれている為、食材としてとても優れていることや、さらに野生と飼育下のエゾシカでは、野生のエゾシカのほうが、必須脂肪酸であるリノレン酸に富むと差がでたこともお話下さいました。また、エゾシカ肉で食味官能検査を行い、と殺後は内蔵をすぐに取り出した方が、肉の味が良いとの結果がでたことをご報告頂きました。 
 

 

 横山氏(兵庫県森林動物研究センター)は「シカ肉の利用に必要な衛生対策について」発表して下さいました。 2003年に兵庫県でシカ肉の生食が原因でE型肝炎が発症した時、県が行った調査として、ニホンジカ140頭において、E型肝炎ウイルスの保有調査を行った結果をご報告頂きました。結果、全ての検体において陰性(E型肝炎に感染していない)であったこと。さらにシカが感染しても、非常に低い感染率であり、感染歴があるシカについても、頭数的に兵庫県が特に発生頻度が高いという訳でなく、他県との差異は認められなかったこと。むしろブタにおいて高い感染率が認められており、一般的にブタ肉は加熱して食するという意識が浸透しているのと同じように、シカ肉についても十分な加熱調理することにより、熱に弱いE型肝炎ウイルスは死滅するので、安心して食べることができるとシカ肉の安全性について話されました。かつてシカ肉は危険だという風評被害もありましたが、研究者である横山氏のこの発表は、シカ肉の安全宣言と受け取ってよいものと思われました。また処理を行う上での衛生管理の徹底といった、むしろ食肉衛生の重要性を強調されました。家庭で肉を調理する場合でも、シカに限らずウシブタなど全ての食肉において、肉を切った後の包丁やまな板はしっかり洗うことや、食中毒を避ける為には、加熱処理が必要という基本的なことが大切なことを、改めて感じました。
  
 

 

 続いての坂田氏(兵庫県森林動物研究センター)には「これからの野生動物とのつきあい方」と題し、昔から日本人は野生動物の肉や毛皮、骨、角などを利用してきたことや、野生動物と人とのかかわりの変化によって生じた、現在問題になっているイノシシとシカによる農業被害や林業被害の実態を、スライド写真を交えてお話して頂きました。シカの食害にあった備長炭に使用されるウバメガシの写真や、シカが侵入してくる前と後の森の比較写真など、明らかに緑が無くなり、林業被害だけでなく、むき出しの山の地肌が二次災害を引き起こすことは容易に想像できました。また、野生動物の個体数管理や生息地管理、農林業被害の対策の必要性を説明され、「自然の恩恵は、いらなくなっても遠慮できないものもあり、足りなくても、上限以上得ることはできない」と話されました。 
 

 

 休憩後、「丹波の資源としてのシカ肉有効活用」について、柳川瀬氏(株式会社丹波姫もみじ)が事例報告して下さいました。柳川瀬氏は、丹波市職員の時代からシカとの関わりがあり、職員として駆除されたシカを、埋めたり焼いて処分するという仕事も行われたそうです。そして昨年、株式会社丹波姫もみじを設立され、日本でもまだ数が少ないシカ肉の加工場をつくり、シカの有効活用に取り組まれています。この事業を始めるうえで施設整備や、シカ肉の確保、品質管理など様々な課題に取り組まれてきたことをご講演して頂きました。柳川瀬氏は「安心安全でおいしい食材」を提供することに尽力されており、真摯に取り組んでおられることが会場にも伝わってきました。また、柳川瀬氏は「多くの方にご協力頂きました。まだまだ勉強している最中ですが、シカ肉の品質には自信を持っております。丹波鹿はまったく臭みやクセが無く、高たんぱく低脂肪で、鉄分も豊富なおいしい健康食材として皆様に食べて頂きたい」と語られました。 
 

 

 安田氏(島根県美郷町役場)の「資源活用と地域振興−おおち山くじらの取り組み−」では、島根県美郷町で取り組まれているイノシシの有効活用について事例報告をして頂きました。 イノシシの鳥獣害対策の問題点を、美郷町では全く新しい独自の方針で改革し、地域住民参画型のイノシシの資源化を進めている話はとても興味深いものでした。駆除班の再編成をし、組合を作ることや、女性や高齢者、地元飲食店などが参加することで地域活性を促すこと。特産物としてイノシシを活用することで、害獣としてのイノシシではなく、資源としてのイノシシという意識をもたらすというサイクルの説明は、ご来場された他県の行政関係の方も大変ご参考になられたのではないでしょうか。一番苦労されたことは、駆除班の再編成だったようですが、現在ある被害対策の問題を解決するだけでなく、もっと将来的な広いビジョンを持ち計画を進められたことによって、成功された一例だと思います。安田氏の発表が終わると大きな拍手が会場から起こりました。
 
 最後に兵庫県森林動物研究センター林所長が、各スピーカーについての感想を述べられ、会場からスピーカーの皆様に惜しみない拍手が贈られました。林所長は「今回のシンポジウムのテーマは大変興味深く、また日本全国で問題となっている解決していかなくてはならない重要な課題の一つです。また次回もこのような場を是非設けたいと思います。」と話され、センターとして有効活用への積極的な取り組みを行っていく方針を示されました。 
  

 

 

 
 「有効活用」と一言でいっても、その言葉の中には、動物を介してヒトと自然との関わり、地域経済への貢献、地域振興、生きがいの創出、地域コミュニティの活性など、様々な課題解決へと繋がる複合的な取り組みが必要となってきます。そしてその「有効活用」が理想的に行なわれていく方策を探る上で、大変貴重なシンポジウムとなったのではないでしょうか。また当日会場には、兵庫県猟友会会長をはじめ、様々な地域の猟友会の皆様にご参加して頂くことができました。兵庫県では有効活用は生産者となる猟友会の皆様のご活躍がキーとなっており、これまでも大変なご尽力を頂いておりますが、今後ともより一層のご支援を賜りながら、協力体制を整えていくことが必要なのだと改めて感じました。その地域の方々による、その地域に根ざした有効活用への取り組みが日本全国に拡がっていくことを願います。

 有効活用コーナー

 ワンちゃん用お菓子
ワンちゃん用シカ肉
ワンちゃん達のごはんにお勧め!!

丹波ニホンジカ(冷凍シカ肉)
ひょうご二ホンジカ(シカのおやつ)
播州宍粟ジカ(シカのおやつ)
おおち山くじら(イノシシのおやつ)

 食用シカ肉

美容と健康に最高の食材丹波鹿
美味しく食べて有効活用に協力しよう!

野生丹波鹿