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2014.05.02

ICAC KOBE 2014 ポスターセッション 13

ICAC キャラクターロゴ 2014 名前無し

スリランカにおける人間と象の対立:激化する異種間の争い

ディーパー二・ジャヤンサ氏Deepani-Jayantha
スリランカ・コロンボ大学大学院

 

 

 

 

 

 

共に高度な進化を遂げてきた動物、人間と象は、それぞれ広大な縄張りを必要とする。両者の土地利用の仕方は頻繁に交錯し、スリランカ国内で異種間の競合を生んでいる。人間と象の対立はこの種の極端な形である。直接的には、穀物や土地や建物などへのダメージ、幼い象を孤児にする問題、この対立を防止するための余分な農家の支出、そして最も深刻なのは命が犠牲になること、などの悪影響がある。現在のデータから、この対立は激化しており、年間のおおよそ60人の人間と250頭もの象がその犠牲になっていることがわかる。この対立は他にも問題を抱えている。支配力のより強い種である人間は、野生の若い象を違法に捕獲して檻に入れ密輸することによって、象を大変不幸な状態にしている。

 

この対立を緩和する試みは、関係各所様々なレベルで行われている。学術者や行政により研究調査や政策企画は十分なものの、マイナスの政治介入、制政策の実施の失敗、法律の施行の崩壊に伴い、成果は最小限なものになっている。象の移送、移住、リハビリなど、問題になっている動物の管理戦略は成功しないことが証明されたわけである。市民団体は、象問題を抱えるコミュニティーと、対立の接点を減らし異種動物の共存を目指して働いている。彼らの方法は、電子鉄線のフェンスを設ける、この問題解決に向けての農業経済の強化、地域社会教育、そして最も重要な、子どもにも大人にも保護教育プログラムを実施することである。地域社会を巻き込むことは、いつもより良い成果をもたらす。

 

スリランカの国家や地方レベルでの政治介入は、人間と象の対立問題の解決には最大のチャレンジである。しかしながら、共存問題に悩むコミュニティーが力を合わせることは、効果的であるようだ。そして、競合の力関係や、例えばネーチャーツーリズム(自然観光)など、地域に生息する象から利益を得る可能性を理解する必要性がある。