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2014.05.02

ICAC KOBE 2014 ポスターセッション 10

ICAC キャラクターロゴ 2014 名前無し

CDT-II 産生性大腸菌は人と動物の
共通感染症起因菌 Escherichia albertii である

安田 憲朋氏日根野谷 淳氏日比野 拓巳氏向澤 奈津子氏丹羽 裕子氏塚本 定三氏朝倉 昌博氏山崎 伸二氏(大阪府立大学・生命環境科学・獣医国際防疫学)安田憲朋

名木田 章氏(水島中央病院・小児科)

 

 

 

 

 

 

大腸菌が産生する細胞膨化致死毒素 (CDT) は CDT-I~CDT-V の 5 種類に分類される。我々は、CDT 産生性大腸菌(CTEC)と下痢症との関係、並びに感染源を明らかとすることを目的に、小児下痢症患者及び家畜から CTEC の分離を行い、分離菌について糖分解試験を含む生化学的性状試験および MLS 解析等の遺伝学的解析を行なった。その結果、小児下痢症患者由来 13 株とブタ由来 1 株の CDT-II 産生性大腸菌 (CTEC-II)全てが、大腸菌ではなく新興下痢症起因菌のEscherichiia albertii であることを見いだした。また、各株の病原因子について調べたところ、全ての株が定着因子(インチミン)をコードする eaeA 遺伝子を有していたが、その配列は多様であり様々なサブタイプに分類された。一方、cdt 遺伝子は各株間で高い相同性を有して、よく保存されていた。

近年、E. albertii が大量死した野鳥や、国内での集団食中毒患者より単離されたとの報告があり、新たな人獣共通感染症起因菌として注目され始めている。しかし、E. albertii が eaeA 遺伝子を保有し、細菌学的性状が大腸菌に酷似し、これまで腸管病原性大腸菌と誤同定されていた可能性が考えられる。今後、E. albertii の cdt 遺伝子が本菌の疫学マーカーとして有用かどうかを検討し、本菌の簡便迅速検査法の開発や E. albertii 感染症の実体解明につなげて行きたい。