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鈴木 哲哉氏「アフリカゾウのエンリッチメントの実際」
 鈴木 哲哉氏(名古屋市緑政土木局 東山総合公園)

 野生でのアフリカゾウは1日のうち約70%の時間を採食のために費やすといわれる。動物園で暮らすアフリカゾウにおいては、体重管理のため制限された量のえさしか与えることができない。しかし制限された量のえさでは、すぐに食べ終えてしまい時間を持て余したアフリカゾウは同じところをまわる、首を上下に振る、体を揺らすなどの常同行動が長時間にわたってみられるようになる。

 東山動物園では、飼育しているアフリカゾウのケニー(メス 36歳)の動物園での生活を豊かにするために、採食時間を延長することと、採食のために探索する行動を引き出すことを目的とした環境エンリッチメントに取り組んでいる。
方法として給餌回数を3回から8回に増やした。また採食のために探索する行動を引き出すために各回の給餌の際にえさを隠す、えさを袋に入れる、えさを土の中に埋めるなどの給餌方法を工夫した。これらの方法はその他に約30種類の給餌方法がある。
 ケニーへの効果を長期的に持続させるために約30種類の給餌方法の中から数種を選定して週間エンリッチメントメニューを作成し、毎日変化を持たせたエンリッチメントを行っている。
 その効果を評価するために1年間の放飼場においての行動調査を行った。その結果、約70%の時間を採食および採食のための探索する行動に費やすことがわかり、常同行動はほとんどみられなかった。このことからこれらのエンリッチメントは動物園で暮らすアフリカゾウの生活を豊かにすることが証明された。
 現在、採食に関わるエンリッチメントのほかに、新たに味覚、聴覚、触覚、嗅覚に対するエンリッチメントも取り入れてアフリカゾウのケニーの福祉の向上に努めている。

 

 
 
 
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