「エンリッチド・肥育牛」 千葉孝氏・二宮茂氏 (東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センター・東北大学大学院農学研究科家畜福祉学(イシイ)寄附講座)佐藤 衆介氏(東北大学大学院 農学研究科)
東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センター(以下、フィールドセンター)では、肉用種として黒毛和種と日本短角種、約200頭を飼育しており、これらの繁殖・育成・肥育を一貫して行っている。特に日本短角種は放牧、粗飼料多給に適した品種であり、フィールドセンターでは夏山冬里方式における肥育を行っている。具体的には、5月から10月の間はフィールドセンター内の600haを超える広大な山地放牧草地(標高600m)にウシを上げて飼育し、そして、冬季はウシを畜舎に下ろし、フィールドセンター産デントコーンサイレージと国内産の飼料米ホールクロップサイレージとフスマを組み合わせ、ウシに給与している。ウシの飼育管理に関しては、「日本短角種肥育牛の出生から出荷までの飼育管理に関する行動規範」を作成し、この行動規範に沿って、実施している。また、夏は放牧、冬は畜舎内の飼育ペンのエンリッチメントを行い、ウシのウェルフェアに配慮した飼育管理方法を実践している。本講演では、フィールドセンターにおける日本短角種肥育牛の生産、肥育の飼育システム・飼育管理に関する行動規範の紹介を行うとともに、その飼育方法とウシのウェルフェアとの関連性を科学的に紹介する予定である。