主催:
特別協賛:
実施日時:
実施場所: |
兵庫県動物愛護センター/NPO法人Knots
ネスレピュリナペットケア株式会社
2006年9月9日(土)13:00〜16:00
兵庫県動物愛護センター 多目的ホール |
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9月10日に開催された第6回りぶ・らぶ・あにまるず国際シンポジウム2006『日本におけるシェルター・マネジメントの今後〜行政との協働を考える〜』(NPO法人Knots主催)のメイン・スピーカーとしてご来日されたハワイ州カウアイ島のカウアイヒューメインソサエティー エグゼクティブディレクター レベッカ・ローアデス氏(愛称 ドクター・ベッキー)が特別に講師としてお越し下さり、お話をして頂きました。
まず、兵庫県動物愛護センター事業課長の河野氏よりベッキーさんのご紹介及びご挨拶がありました。 |
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続いて一本のビデオが上映されました。タイトルは『POWER of COMPASSION』思いやりの力です。
カウアイヒューメインソサエティーでは、ボランティアの希望者にボランティア・オリエンテーションが行われています。オリエンテーションでは、動物の扱い方、注意事項、その他施設を見学をしながら仕事内容について説明が行われます。
このビデオは、このオリエンテーションの中で上映されているものです。ビデオの内容をご紹介します。まず長い歴史の中で人の手によって色々な目的のために改良されてきた『コンパニオンアニマル』について紹介され、彼らは生活の大部分(えさ、手術、ケア)を人に頼って生きている存在であるのだと伝えています。
しかし、愛情を注ぎ最期まで責任を持って世話をするべき飼い主によって、しつけられない、咬む、こんなに大きくなると思わなかった、引越しで・・など様々な理由で持ち込まれ、多くの動物がシェルターに保護されています。また、虐待やネグレクトなども・・。
シェルターでは出来る限り新しい飼い主を探そうと努力していますが、不治の病に侵されていたり、ひどい怪我、老齢による苦しみがある場合は安楽死という選択もし、訓練された技術のある専門家が人道的に思いやりをもって安楽死をされています。
また、シェルターでは何ヶ月か保護をしていますが、元の飼い主も新しい飼い主も見つからなかった場合には安楽死を選択しています。
何故ならシェルターは現在数多くの動物が保護され収容しきれないのが現状だからです。
でも、この選択が決して「増えすぎ問題の解決」にはならないことも認識しています。
安楽死を実施している人たちは、判断に悩み、苦しみ、とてもつらい役割を担っているのをご存知でしょうか。 その人に対して怒れるでしょうか・・。
冒頭でも紹介があったとおり、私達人間が彼らをコンパニオンアニマルにした以上は私達が責任を持って最後まで面倒をみなくてはならない事を強く訴えかけられています。
そして少しでも動物達を苦しめたり保護されたりしないためには、これらの問題をどう解決していくのか、そして自分達に何が出来るのかを一人一人が考えてほしいということ、そして動物にとっても人にとってもより良い社会にするための力(パワー)を選択してほしいと伝えています。それがこの題名「思いやりの力」と訳しましたが、そういった熱意を集めて力にするという意味なのです。
20分ほどのビデオですが、安楽死の場面やネグレクトの様子などもあり、聴講者の皆様はそれぞれの胸の中で感じるものがあったと思います。
カウアイ・ヒューメイン・ソサエティでは、このオリエンテーションを受講してから希望者のみボランティア登録の手続きに入るため、ソサエティの目的や仕事内容を理解した上で仕事にかかれることはとても良いシステムだと思いました。
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ビデオを観た後、ドクター・ベッキーによりカウアイヒューメインソサエティーでのコミュニティーアニマル マネージメント サービスについてお話を頂きました。
カウアイヒューメインソサエティーは行政から動物管理業務サービスの委託をうけている民間の非営利団体で、1952年に設立した歴史ある施設です。
野良動物や迷子の動物達の保護や譲渡、近所の獣医師の協力を得て低所得者に対する避妊去勢手術のディスカウントクーポンの提供、譲渡対象の動物には避妊去勢手術、青少年への人道教育、フィールドサービスなどされており、市民にとって利益となる施設として存在をアピールされています。シェルターも完備されており、保護された動物は勿論のこと、一般の方からのお預かりも受け入れておられ、どちらにも最高のケアが提供されています。
何故なら、施設が立派でも内容がなければ駄目ですし、何よりコミュニティの方々に信頼と安心感を持っていただけるからです。このコミュニティにおける信頼と安心感はシェルターをマネージメントする上でとても大切な事だと強調されておられました。
また、引き取られる理由が何であれ、彼らを保護出来る場所を作っておくことはとても重要なことだそうです。
現在1日約犬150頭、ネコ200頭ほどの動物を12人のスタッフと沢山のボランティアでお世話されています。 |
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お話の中で一番印象に残ったことが2点ありました。
1つは、シェルター運営には5つ大切なことがあるということです。
1. |
透明性を持つこと。包み隠さずオープンにして自分たちのやっていることを知って頂くこと。 |
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スタッフ・ボランティアと立場は違っても分け隔てなく信頼しあって仕事をすること。 |
3. |
最高の質と心のこもったコミュニティサービスを提供すること。 |
4. |
目標をしっかりと持ち、それに向かって努力すること。 |
5. |
工夫をして資金集めのために努力すること。 |
これは決して利益のためではなく目的を達成するために集めるという事です。
簡単に出来そうで出来ないこの5点を実行する事で、スタッフは自分の仕事に誇りを持つ事ができ、高いケア、プログラムが提供できるということです。
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2つめは、現在のシェルターは、1992年にカウアイ島で起きたハリケーン・イニキの災害をきっかけに建設され、様々な災害にも強い緊急避難シェルター(地下)付きの施設に生まれ変わったという点です。このシェルターは動物だけではなく人も一緒に避難できます。
私達も10年前に阪神・淡路大震災を経験しました。その時、避難所に犬を連れて入ることが出来ず、仕方なく動物を家に残してきた方や、動物と共に家に残った方など多くの方々と出会いました。災害時に飼い主と動物が離れ離れにならなくて済むことは、一飼い主として大変良いシステムだと感激しました。 |
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今回のセミナー参加者は、行政職員の方々やシェルター活動を既に開始されている方、またその活動を応援していきたい方々など全国から約50名集まりました。
質疑応答もより具体的な内容が多く、限られた時間ではございましたが、ドクター・ベッキーから沢山のヒントを頂けた有意義な時間となりました。
今後の日本でのシェルターマネージメントにおいて、本日のお話がご参考になれば幸いです。
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Dr.Becky Mahalo & Aloha !! |
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