りぶ・らぶ・あにまるず国際シンポジウム『子ども達と動物達を救うために〜犬と歩む更生の道』(NPО法人Knots主催)にメインスピーカーとして来日されました米国プロジェクト・プーチ社代表ジョアン・K・ドルトン氏を講師にお招きし、プロジェクト・プーチの活動の紹介と成果をお話して頂きました。
お話に入る前に、まず兵庫県動物愛護センターの立田所長よりドルトン氏のご紹介とご挨拶を頂きました。
次にドルトン氏より、プロジェクト・プーチ社(非行の問題性や問題を抱えた青少年に対してどのようなプログラムが最も効果的かを伝える会社)が行っているプログラムをご紹介頂きました。ドルトン氏は米国オレゴン州ウッドバーンにあるマクラーレン少年院にてプロジェクト・プーチを進められています。プーチとは犬たちと共に、前進・そして変身という意味です。
少年院の全ての青年たちがこのプロジェクトに参加しているわけではありません。予め希望者を募り、面接を実施後、プロジェクトの条件(今までに動物虐待をしたことがないなど。)をクリアしている少年のみが参加可能となり、現在は11名が取り組んでいます。
ペアになる犬たちは、(ビデオを通して)地元の保護施設等から自分たちの目で選ぶことができます。そして彼らは担当の犬の日常の世話や服従訓練を行い、その後地域社会を通して犬を里親のもとへと送り出す仕事をしています。
彼らはこのプログラムを通じて責任感が養われます。そして自分が必要とされていることを再認識し、忍耐と思いやりを培うなかで、行動面・感情面にもよい影響が得られるそうです。
また、動物の職業に関する技術もここで取得できるので、卒業後ペットショップ等に勤められる卒業生もおられるようです。
このプロジェクトのスタート時は2名から始められ、その卒業生達は今でもプロジェクト・プーチを時折訪れ、後輩の良き相談相手になっています。
講演の中でとても印象に残ったお話がありました。
ある少年は、両親が行方不明で面会にも来てもらえず、お手紙を貰ったことがなかったそうです。
そんな彼の手元に、ペットケア・アニマル・テクニシャン取得(プロジェクト・プーチにて技術取得)通知の手紙が届いたのです。彼は自分に手紙が届くはずがないとびっくりしていましたが、手元に届いたときの感動はとても大きかったそうです。
通常、手紙等は少年院の方へ届くそうなのですが、実はドルトン氏のお計らいでその少年へ直接届くようにしてもらったのです。この様な何気ない気配りも、彼らの更生にはとても大切なことだと思います。
卒業後の再犯率0という輝かしい実績は、彼らを支える職員のみならず、保護施設からやってきた犬たち、綿密に計画をされたプログラム、そしてドルトン氏のお人柄が彼らをよい方向へ導き出しているのではないかと、お話を伺いながら感じていました。
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