【IAHAIOについて】 IAHAIOとは、International Association of Human-Animal
Interaction Organizations を意味し、人と動物の相互作用に関する研究と理解を促進させる為に、米国の「デルタ協会(Delta
Society)」、英国の「スキャス(SCAS/The Society for Companion Animals Studies)」、フランスの「アフィラック(AFIRAC/Association
Francaise d‘Information et de Recherche sur l ’Animal de Compagnie)などが中心になって1980年に設立されました。
1980年の第1回ロンドン大会以来3年ごとに、各国の「人と動物との絆(HAB/ヒューマン・アニマル・ボンド)」に関する研究発表の場、国際的ディスカッションの場として開催されています。
また、興味を引いた発表は'Pets in Cities Seminar'でした。ヨーロッパの各国のドッグランやドッグトイレの設置状況等の説明がありました。人と動物の共生する社会のモデルの一つとしてベルギーのSchaerbeek という町が紹介されました。この町では、ドッグトイレを設置した際にオープニングパーティを開催しました。このトイレを使用するのに飼い主は75ユーロの税金を払い、そして、愛犬にはネームの入ったメダルが渡されます。また、猫の餌やりは許可制で、許可証が発行されます。鳩については2005年には公園などに鳩小屋を設置し、そこで産んだ卵を偽者の卵と取り替えることで、羽数調整を図るそうです。沢山のユニークな取り組みは大変勉強になりました。フランスでは90%の市にドッグトイレがあり、60%の市にドッグラン(Play
ground )があるとのことでした。日本では考えられない普及率です。
「Pets
in Cities Seminar」
Knotsは、9日にDocahrt Roomで開催されたWSPAのワークショップ'Attitudes and Activities Relating
to Animal Welfare in Asian cultures.'にて、「日本における行政による動物愛護事業の取組みと現状」というテーマで発表を致しました。
このワークショップには、日本の他に中国の大学生の動物福祉に対する意識調査の報告や、インドネシアにおける子ども達への動物愛護の啓発普及や狂犬病予防注射、避妊去勢手術の支援活動について、そして、犬を食べることについての韓国の方々の意識調査について、次々と報告されました。そして、最後に山ア恵子氏、山口千津子氏((社)日本動物福祉協会)、Knotsによる上記発表を代表して冨永が行いました。日本では、阪神・淡路大震災の際に人の救援と共に動物達の救援も行われました。この救援が日本の動物愛護の気運を大きく前進させることになり、その後、兵庫県動物愛護センターも誕生し、各地に少しずつ愛護センターの建設が始まりました。動物愛護法が改正された2000年には、今回ご紹介した長野県動物愛護センター(ハローアニマル)も誕生しました。日本では、動物愛護精神の啓発事業、適正飼養の普及指導、動物の保護と管理等の様々な事業が市民やNPO等団体の協力の下行政によって行われています。特に震災以降は大きく進展しました。このように行政が主体となって動物愛護事業が行われていることは欧米ではなかなか見られないことであり、その点では日本は先進事例国と言っても過言ではないでしょう。このことは、今まで日本からあまり情報発信はなされていなかったこともあり、発表をお聞きになった多くの方々は、大変驚いておられました。勿論、現状としては解決すべき問題も多々ありますし、民間団体のパワーの格差は歴然としています。しかし、問題の多くは世界的に共通する部分が多く、情報交換等を通して各国の努力により、今後何らかの解決策が見出される可能性は高いと考えられます。また、今回のワークショップを通して、アジア独特の動物愛護の文化を理解、尊重しながら、動物福祉の向上を図っていくといった動きについても日本にはある種の役割があるのではないかと感じました。それは、グローバルな中での日本が置かれている状況と動物の世界も同様であるように思いました。