〜「船長と海」〜(「老人と海」をもじってみたんだけど・・・・くだらなさすぎる・・・)
オイラ達の乗った小型船が出発してすぐ、ピーポット船長は、「忘れ物があるから、家にとりに行く」と、船を途中の桟橋に止め、すぐ脇にある自宅へ。何を忘れたのかと、皆が待っていると、船長の手には、手作りのドクロのアップリケが付いている、海賊旗が・・・・。「俺は海賊って呼ばれているんだよ」と皆からの笑いをとり(これも作戦か?)、旗を船にくくり付け、ようやく出発。「皆がクジラを期待してるのは、よくわかるし、自分も努力するが、相手は野生動物だから、あんまりプレッシャーは掛けないでくれ。でも見られるよう期待しよう」と確かにもっともだ、と納得できることを言っていた。
船が入り江から外洋に出て、ひたすらクジラを探す。が、おいおい船長、インタビューばっかり受けてて、あんたクジラ探してる?客は必死なのにさー。無線で何か言ってるんだけど、聞いてる?えっ、無線音小さくしちゃうのかい?クジラ情報入ってくるんじゃないの、そこからさー。最初に言っていた努力という言葉はどこへ行ったんだー!?船のエンジン音に負けないよう、でかい声で、しかもフランス語でフィリップ氏と話している船長。なかなかクジラらしきものも見つからず、ちょっと焦り気味の客。しかしピーポット船長は動じない。おいおい、これで見られるのか〜?不安な、幕開けであった。
ようやくインタビューが一段落ついたのか、船のエンジンを切って、グレーホエール(コククジラ)について、少し説明しだす船長。一同ほっとしたように、説明を聞く。 「毎年春から、夏にかけてトフィノ沿岸を、メキシコの方から、アラスカまで23000頭ほどのグレーホエールが通過する。中にはこの辺りに留まるのもいる。彼らはヒゲクジラ科のクジラで、プランクトンを主食としている。体長は約14Mほどで、時々は群れになるが、食事をする時は、個々に別れて餌を探す、なぜなら1頭が1日に必要なプランクトンは1トンで、群れで集まっても、それだけの量の餌が各自見つけづらくなる。しかし、それだけの数のクジラが各自1トンもの餌を毎日食べていていても、この海のプランクトンが無くならないなんて、驚きだろう?」かつては捕鯨漁のせいで、2000頭まで減ったことがあったそうだ、保護の甲斐があって、それが現在では、約23000頭まで回復したそうだ。
「ここがオフィスのようなもので、実はこれが、本職みたいなものだけど(ゴミ拾いのこと)。」と波間に浮かぶ、ペットボトルを拾い上げて、「クジラや、アザラシ、亀など海の生物にとっては、プラスティックは迷惑なもので、ここの海には、海流に乗って、アジアからからのゴミも多く流れ着く。アジアで使われる、定置網の切れ端や、ウキ、ペットボトル。このペットボトルは、中国みたいだけど、日本や韓国からのも多い。あっ、お前達がそんなに落ち込まなくてもいいよ。もちろんコカ・コーラ(北アメリカ)のだってあるし、今回はたまたま中国のだっただけのこと。太平洋の海流について知ってるかい?太平洋には、海流が留まるところがあるんだ。そこに流れ着いたゴミは、海に溜まり続け、ゴミだめのようになる。しかし、それを間違って食べたり、多くの海洋生物が被害をうけているんだ。・・・・」と。自分達が、海にゴミなど捨てたことがなくても、やはり耳の痛い話だった。
この地点でのクジラ探しは諦め、次はシー・ライオンと呼ばれる、トドがいる岩場へ船を移動。途中の小さな岩場では、「この地域は、海鳥の保護地になっていて、ここはパシフィック・リム・ナショナルパークが指定される前に、保護地として指定されたんだよ。」・・・ようやくガイドらしくなってきたよ、船長。トドがいる岩場では「トドのオスは牛より重いんだよ。1頭のオスに対して、メスが何頭もいるから、羨ましい限りだね」確かに、トドのオスはかなりの迫力で、岩の上に陣取っていた。他の岩場では、タテゴトアザラシがいるのを見つけ、「あれはよくいるアザラシで、危惧種ではないけど、かわいいよ。さて、温泉に向かいながら、またクジラ探ししようか」と、ある程度写真を撮り終えた客を、確認し、次のポイントへ移動し始めた。
「(クジラが)塩が吹いたの見たかい!」船長のでかい声が響いた。「えっ?どこどこ?」一同、一様に興奮状態。さすが、その道のプロ、見つけるのは上手かった。(見直したぜ、船長!)すぐにクジラが進みそうな進路に船を進め、エンジンを切る。船で近づいてよいクジラまでの距離は、決められているのであろう。次の潮吹きを待つ。いた!潮を吹いた後、背が、海から盛り上がってくる。自分の背中も、ゾクゾクしてくる。そんなに近くない距離なのに、なんて迫力だろう。1頭のクジラは数回、浅くもぐっては、潮を吹きを繰り返し、一度かなり大きく背を海上に出し、尾まで見せた後、深く潜っていったのだろう、船長は「もうしばらくは、出てこないし、温泉に行く時間も必要だから、移動しようか」と船を進ませたのであった。