まず、東灘区保健福祉部健康福祉課長 佐久間
一氏のご挨拶の後「集合住宅におけるペット飼育アンケート調査結果について」NPO法人Knotsが報告を致しました。
この調査は、「平成15年度東灘区 区の個性をのばすまちづくり事業」として東灘区内のペット飼育可能分譲集合住宅について飼育状況等を調査することで、現状の把握と今後の施策検討の基礎資料とする為、Knots が神戸市東灘区より委託されたものです。
調査実施対象者は、東灘区内にペット飼育可能集合住宅を管理しておられる管理会社としました。
調査結果については、こちら→ 集合住宅におけるペット飼育アンケート調査結果
ペットに関するトラブルの多くは、専門的な情報や技術等があれば解決出来るものも少なくありませんので、情報を必要としている人のところへ必要な情報が届くシステムの重要性を感じました。特に行政への要望として多かったのは、困った時に相談出来、必要であれば問題に即した専門家を紹介してくれるといった、相談窓口としての役割を求められているようです。
また、住宅内でペットの問題等を話し合えるコミュニティの確立やペットに関する規約、細則等の明文化もトラブルを最小限に抑え、動物の好きな人、嫌いな人が同じ住空間で快適に暮らしていく為には、大切なことであると思われます。
次に「管理組合におけるペットの適正飼養の取り組み」ということで、ポートアイランド住宅管理組合 顧問の西中氏より、お話を伺いました。
西中氏のお住まいの住宅は、総戸数が941戸という比較的大規模な集合集宅ですが、入居当初はペット飼育禁止だったにもかかわらず、ペットを飼育する人が徐々に増え、それに伴う苦情も出始めた為、西中氏を始め多くの住民のご努力で規約を改正し、ペット飼育を認める規約を確立されました。規約を作ることで、一定の条件の下、マナーやルールを守って住民がペット飼育を行えるようになりました。このペット飼育可能に至るまでの様々な取り組みや経緯等について、貴重なお話を伺うことが出来ました。中にはペット飼育に賛成でない住民もおられるようですが、色々な方のご意見にきちんと向き合われ、一つずつ問題に取り組まれているようです。
最後に、「集合住宅におけるペット飼育に求められること」というテーマで横浜市井本動物病院の井本史夫氏よりお話を伺いました。
井本氏はご自分がお住まいになっている集合住宅の曖昧規約(どちらでも読める規約・他人に危害を及ぼす動物の飼育禁止)の
解釈を、住民のご協力のもと「ペットが引き起こした問題における飼い主責任の明確化の上に、飼育可」というように、管理組合の総会で満場一致で可決されたというご経験をお話になられました。この規約の解釈について総会で採決する前にまず、井本氏の住宅内ではペットクラブを作り、飼い主同士で情報の共有化やマナー向上に尽力されました。その結果、当初は年間10件ほどあったペットに関する苦情がペットクラブが発足して1年後には、年間2件に、そしてペット飼育可能になってからは、苦情がゼロになったとのことです。井本氏は住民間のコミュニティの確立がいかに大切なことかを強調されました。ペットクラブが作られたことで、苦情処理の公開性や即時性が増し、また、住民間で必要な知識を共有出来、早期の問題解決につながりました。このようなコミュニティの成立には、個人の努力とちょっとした工夫(住民が楽しく参加できるような場所作り等)が必要とのことです。井本氏がお住まいの住宅は大変うまくコミュニティが確立された例でありますが、残念ながら現在、集合住宅を作る際にこのようなコミュニティを立ち上げる仕組みはないのが現状のようです。この部分については、住宅を供給する側、行政等のサポートが必要であると思われます。ただ、越えられない問題はないと井本氏は最後に話されました。現状を把握し目標を定め、どのように解決していくか、伴侶動物との幸せな暮らしのために住民一人一人が考え行動していくことの重要性を改めて感じました。
お話の後、質疑応答が行われましたが、実際ペット飼育可能な集合住宅にお住まいの方やこれから、ペット飼育可能に向けて規約改正を考えておられる方などから熱心な質問が寄せられました。