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2016.01.27

【報告】奈良県うだ・アニマルパーク振興室の「いのちの教育」の現状

奈良県うだ・アニマルパーク振興室の「いのちの教育」の現状報告

 

2015年12月現在

 

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モデル校の学習風景の見学

 奈良県うだ・アニマルパークは、平成20年4月に開所し、平成24年からは、あらゆるいのちに共感し「いのち」を大切にする心を育む「いのちの教育プログラム」が展開されている。県下にある200校の小学校の内、初年度のモデル校は20校だったが、昨年26年度には45校の小学校がモデル校として登録されており、多くのリピート校が誕生している。また、本年度から小学生プログラムの展開版として、中高生プログラムの実施も始まっており、次のステップへと歩みを進めている。
これらの取り組みは、全国の動物行政に関わる職員や教育の専門家からも高い関心を集めており、毎年開催される研修会でのモデル校による学習風景の見学や、参加者を対象にした模擬授業には多くの関係者が参加している。また、国内のみならず、今年度の実施には海外からも参加要望の問い合わせがあるなど幅広い展開を見せており、今後の更なる可能性が期待されている。
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小学生プログラムの評価についての説明

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他府県の自治体での取り組みの発表をして 頂き、意見交換を行う

 
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参加者を対象にした模擬授業の風景

 


 

モデル校事業の概要

「いのちの教育プログラム」を学校教育の一環として体験していただき、継続的にその効果を相互に確認し合えるモデル校を募集しつつ実施を行っている。

 

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パークへの来場者数と「いのちの教育」実施数の推移

「中山間地域を多く抱える県東部の観光拠点施設としての機能」「動物愛護センターとしての機能」「動物たちとのふれあい体験を通し、いのちの大切さを学ぶ教育拠点施設」という3つの役割を持つ奈良県うだ・アニマルパークでは、公園の来場者数も年を追うごとに増加しており、遠足と組み合わせた教育拠点としての認知と相まって相乗効果を挙げている。

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中高生プログラムの企画開発

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中高生プログラムで使用するツールの一式

 これまでに実施してきた小学生プログラムに加えて、新たに中高生プログラムを以下の3つの骨組みで企画開発を行い、現在、実施を行っている。

 

「基本編」
人と動物の関わり、動物がよりよく生きるために必要なことを「5つの自由」(動物福祉の指針)から考える。

「応用編」
提示するトピックを題材にして自分たちの社会と動物との関わりを知り、それについて考え、自分たちがとるべき行動を考える。 「展開編」 動物愛護センターの取組を知り、実際に見学等を行った上で、社会をよりよくするために、社会の一員としてできることを考える。

 


 

「いのちの教育研究協議会」の設置  

奈良県では、「いのちの教育」を推進するため、奈良県「いのちの教育」研究協議会(会長:国立大学法人奈良女子大学・天ケ瀬正博先生/副会長:公益社団法人 Knots 理事長・冨永佳与子)を設置し、以下の協議を定期的に行っている。

 

【協議会の取組内容】

  1. 普及を図る方法の検討/プログラムの評価方法の検討
  2. 中学校・高等学校用プログラムの検討 プログラムの検討(評価方法も含む)/教育ツールの検討
  3. 研究内容の情報発信と情報収集 国際会議等での発表/研修会及び研究報告会等の開催/国内外における情報の収集

 


 

アンケートによるプログラムの評価

子どもたちの意識の変容を掴み、今後のプログラムの改善を行うため、本プログラムの事前・事後においてアンケートを行ってプログラムを評価・分析を行っている。

 

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自由記載された内容からキーワードを抜き出し、以下の4つの項目に分類して意識の変化を数値化する。 ①生活 ②こころ ③環境 ④その他

 


 

 

国際会議での発表

これらのプログラムの内容と評価の分析結果を国際的に発信するために、「第3回神戸アニマルケア国際会議 2014 —人と動物の未来の為に—」および「第4回神戸 全ての生き物のケアを考える国際会議2015ー阪神・淡路大震災 20年記念大会 One World, One Life ー」で発表を行い、いずれの大会でも会場が満席になるほど高
い関心を集めた。現在、「IAHAIO Conference, Paris」へのポスターセッションに参加応募中。

 

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第3回 神戸アニマルケア国際会議 2014 での発表の様子

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第4回 神戸 全ての生き物のケアを考える国際会議2015 の会場となった神戸大学・総合研究拠点