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2015.06.01

第4回 神戸 全ての生き物のケアを考える国際会議 2015 —ICAC KOBE 2015 ポスターセッション 12

ポスターセッション《発表要旨》

Chisa katou ichikawa加藤 智彩1/井澤 武史1/佐々井 浩志2/桑村 充1/山手 丈至1
1大阪府立大学大学院 獣医病理学研究室/2 北須磨動物病院

「ミニチュアダックスフンド犬の舌における多発性組織球性泡沫細胞結節」

 

 

 

ミニチュアダックスフンド(MD)犬は日本の人気犬種であり、縫合糸肉芽腫、脂肪織炎および直腸ポリープなどの肉芽腫性疾患を発症する傾向がある。今回我々は7例のMD犬における舌の多発性結節について報告する。7例のうち、ほとんどの症例は臨床兆候を示さず、オーナーや獣医師によって偶然発見された。肉眼的に、結節は大小様々なサイズで、主に舌の腹側および側面に分布していた。結節は外科的に切除され、3例は4年以内の再発を認めた。どの症例においても転移は認められなかった。組織学的に結節は、細胞質に空胞を有する腫大した泡沫細胞によって構成されていた。これらの細胞はCD204およびMHC class IIといったマクロファージマーカーに陽性を示し、oil red O、PASおよびalcian blueには陰性を示した。泡沫細胞に異形成は無く、分裂活性は低かった。以上の所見より、本疾患は腫瘍ではなく、反応性の病変であり、免疫異常の関与が疑われた。よってMD犬の舌における組織球性泡沫細胞結節と診断した。今回の報告が、他のMD犬の肉芽腫性疾患の発症機序解明の一助となれば幸いである。