第4回 神戸 すべての生き物のケアを考える国際会議2015 —ICAC KOBE 2015 ご挨拶

 

ご挨拶

 井戸 敏三氏(兵庫県知事)

 

 

「第4回神戸すべての生き物のケアを考える国際会議2015」が開催されます。心からお喜びしますとともに、内外からお越しいただいた皆様を歓迎します。

 

今年の1月17日で、阪神・淡路大震災から20年が経過しました。震災では、多くの動物も被災したほか、避難所でのペットの扱いでトラブルになるなど、被災動物対策が課題となりました。

発災4日後には、獣医師会や動物愛護団体が動物救援本部を立ち上げ、多くのボランティアとともに、被災動物の救護活動を展開されました。保護された犬や猫の大部分は、所有者や里親に引き取られ、心の支えとなってくれました。

こうした経験を生かし、東日本大震災では、動物愛護専門職員を派遣し、警戒区域内の被災ペットの救護活動を支援しました。また、今年2月には、ペットとの同行避難を考えるシンポジウムを開催するなど、次なる災害への備えにも取り組んでいます。

 

震災を通じて、動物が単なるペットではなく、家族の一員として、私たちの生活に欠かせない大切なパートナーとして、かけがえのない存在であることを改めて認識しました。一方、未だ動物虐待や飼育放棄などが後を絶たず、また、農村部では、野生動物による農作物の被害が問題となっています。

兵庫県は、動物愛護センターと県内5カ所の支所を拠点に、しつけ方教室の開催や新たな飼い主探し、動物とのふれあい事業などの啓発事業を展開しています。また、命の大切さを学ぶ環境体験授業、コウノトリの野生復帰の取り組み、野生動物と人を棲み分ける緩衝地帯づくりなどにも力を注いでいます。

 

それだけに、本会議において、動物のよりよいケアや生息環境の保全をめざして議論が行われることは、本当に心強いことです。ここ兵庫から、人と動物が調和し、共生する社会をめざす人々の輪が広がっていくことを願っています。

会議のご成功と、ご参集の皆様のご健勝での今後ますますのご活躍を心からお祈りします。

井戸知事2015写真No107-311

  

  

 久元 喜造氏(神戸市長)

 

第4回神戸全ての生き物のケアを考える国際会議2015が、ここ神戸の地で再び開催されますことを心よりお祝い申しあげますとともに、世界各地からお集まりの皆様を歓迎いたします。

 

この度の国際会議は、「阪神・淡路大震災の経験を、人と動物の幸せな未来へ」をテーマとして、人と動物の共生を推進していくため、様々なシンポジウムにより、人が果たしうる責任を考え、その情報を広く情報発信していく大変意義深い会議であり、参加者の皆様の活発な議論を期待しております。

 

さて、あの阪神・淡路大震災当時、震災による家屋の倒壊等により、市民が飼育していた犬猫等にも被害がおよび飼い主の手を離れるなどの状況が生じました。獣医師会や動物愛護団体が中心となった「兵庫県南部地震動物救援本部」が「動物救護センター」を拠点に救護活動を展開し、また、全国からのボランティアの方々の並々ならぬ献身的なご協力や多くの方々からの暖かいご支援によって、多くの動物たちが救われ、多くの被災者が励まされました。これらの救護活動が、災害時に被災動物の救護対策を講じていく端緒となったものと考えております。

 

あれから20年という月日が経過しましたが、今を生きる私たちの責務は、あの震災を風化させることなく、鎮魂の気持ちをいつまでも持ち続けるとともに、震災が起こったときの対応や、その後の街の再生のために取り組んだ経験や知識、そして何よりも想いを継承していくことではないかと、あらためて強く感じております。

 

最後に、本会議の開催にご尽力されました関係者の方々に深く敬意を表しますとともに、本会議が大きな成功を収められますよう祈念いたしまして、巻頭のあいさつとさせていただきます。

久元市長 顔写真

  

  

河野 寛昭氏(兵庫県動物愛護センター所長)

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ICAC KOBEの開催も4回目の開催となりますが、今年は阪神・淡路大震災後20年という節目の年でもあります。震災当時、ペット動物を飼育されている被災者の方への緊急支援、被災飼育動物の緊急保護等を目的として、(社)兵庫県獣医師会(現「一般社団法人」)、(社)神戸市獣医師会(現「公益社団法人」)及び(社)日本動物福祉協会阪神支部(現「公益社団法人」)を構成団体とする「兵庫県南部地震動物救援本部」が震災発生4日後の平成7年1月21日に発足し兵庫県、神戸市はこれを支援しました。1年4ヶ月に及ぶ活動期間中に、全国より2万1千人余りのボランティアの協力を得て、また、2億6千万円余りの寄付金が寄せられ、犬、猫等1,556頭を保護等しました。

その後も東日本大震災等全国で大規模な災害が発生しており、その都度各地で必要に応じ動物救援活動が行われています。兵庫県では、阪神・淡路大震災における動物救援活動の教訓を踏まえ、大規模災害時に動物救援活動の拠点ともなり得るよう、兵庫県動物愛護センター及びその支所を県下5箇所に平成10年度より順次整備してきました。また、東日本大震災の折には、「福島県動物救護本部」活動を支援するため90日間、41名の職員を派遣しました。今年の2月15日には「同行避難」をテーマとしたシンポジウム等を開催しました。

兵庫県動物愛護センターでは、大規模災害に備え、今後も県民の方々に「同行避難」等について啓発することは重要と考えています。そのような中、産学官民協働でこの大会が開催でき、大規模災害時における動物救援等を考える機会を得たことは非常に喜ばしく、これに参加される方々が多方面から意見を述べられ、意見交換等が行われることを期待しております。

  

  

笹井 和美氏(公立大学法人 大阪府立大学 獣医学類長 教授)

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「第4回 神戸 全ての生き物のケアを考える国際会議 2015」が2015年7月19日と20日に、阪神・淡路大震災の大惨事の20年後の神戸で開催されます。本会議は、神戸アニマルケア国際会議として過去に3回開催され、人と動物の共生について、国内外の市民、専門家など動物を愛する多くの人が一堂に会して着実に成果を積み重ねて参りました。

 人と動物を取り巻く環境は複雑であり、動物を愛する方、関心のない方、嫌悪感を抱かれる方、アレルギーなどの疾患で動物と接する事を控えられている方など、立場の違いにより様々な考え方があり、人と家庭で飼育されている動物、産業動物、野生動物などこれまた多岐にわたる多くの動物が地球を居場所として好むと好まざるとに関わらず生活しております。阪神・淡路や東北などで発生した大災害では、人と動物が共に寄り添いお互いの尊厳を守りながら暮らしていくことが重要であり、しかし、非常に難しいことであることが浮き彫りとなりました。

 阪神・淡路大震災の発生した神戸にて20年目の節目の年に、様々な角度から議論が尽くされ、人と動物との共生が当たり前で、自然な事として広く社会に認知される起点となる会議になり、多くの市民が熱い議論に包まれる2日間となることを心から祈念しております。

笹井和美先生

  

 

 細井戸 大成氏(公益社団法人 日本動物病院協会 会長)

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 阪神・淡路大震災の後、複数の大規模地震を経験してきました。日本は火山国、地震国であり、常に災害の危険と隣り合わせで生活しています。それは、人間と共に暮らすペットにも同じことが言えます。私たちは、もともと動物にやさしい特性や民族性をもち、先日、口永良部島新岳の爆発的噴火により避難した島の人たちが、一緒に暮らすペットと当たり前に避難する様子を見ても、全く違和感なく受け入れられました。

 震災から20年が経過し、その間に人々のペットに対する思いや、ペットに対する社会の意識、家庭動物医療の現場は刻々と変化しています。

 2003年には犬の室内飼育頭数が屋外飼育頭数よりも多くなり、「番犬といった使役犬」「単なる愛玩目的の犬」から「家族の一員」「生活の伴侶」へと変化していきました。また2009年には、犬・猫用のペットフードに対する安全基準を明確にする目的で「ペットフード安全法」が制定されました。このことは、飼育者以外の国民も含め、ペット(特に犬と猫)を「社会の一員」と認識する契機となったと考えています。

 家庭動物医療の現場では、高度化・多様化する要望に応えるため、獣医師と動物看護師等が連携し、疾病治療、予防、共通感染症対策、定期健診による慢性疾患の早期発見と管理、必要に応じて専門治療・高度治療への紹介を行っています。さらにペットが社会の一員として地域社会に溶け込み、人も動物も幸せに暮らせるようするために、しつけやマナーを守ることの大切さの普及啓発等、共生社会実現のための支援をする役割も担うようになってきました。

 反面、近年の高齢化社会、単身世帯の増加に伴い、共に生活し世話をすることが比較的容易な猫の飼育数はやや増加傾向にあるものの、手をかけることが必要な犬の飼育頭数が減少傾向にあります。様々な社会問題も、共に暮らすペットに影響を及ぼしていることがわかります。

 この大会を契機に、人と動物の関係について改めて議論を深めていきたいと思います。

細井戸大成先生

  

   

山下 眞一郎氏(公益社団法人 日本動物福祉協会 理事長)

 

阪神淡路大震災から早20年。その間、いくつもの大きな地震や噴火災害、豪雨等に見舞われてきました。そして、2011年には「東日本大震災」という未曾有の災害が起こり、多くの人命と動物の命も失われました。自然災害に人災が加わったために、何重もの苦難に直面し、やっと復興に向かって歩み始めたところです。阪神淡路大震災では、国、自治体、民間が一丸となり、必死に命を守るために活動しました。「ボランティア元年」と呼ばれたのもその表れです。活動の対象は人だけではありません。人と共に暮らすコンパニオン・アニマルから人が命をいただいている産業動物をはじめとして人の社会に組み込まれている動物に対しても多くの手が差し伸べられました。

 人とコンパニオン・アニマルはしっかりと心の絆で結ばれていますので、人を救うには共に暮らす動物を切り離して考えることはできません。動物の福祉が確保されることによって、人の心身の福祉が推進されるのです。また、人がいろいろな形で利用するために飼養している動物は、その生死・心身の健康もすべて人に委ねられており、道義的責任は人にあります。彼らが本来必要としているもの(ニーズ)を満たし、健康・衛生・環境をしっかり管理して多大なストレスなく心身の健康を保つことは、動物たちの福祉を守るだけでなく、彼らから恩恵を受けている私たち人間にも影響があります。人は豊かさを求めて国土を開発し、生活が豊かになるにつれ、動物を本来いるべき野生環境から全く異なる環境に移動させて来ました。これらのことが、野生の生態系を破壊し、人との軋轢を生み、今、国としての対応を迫られるところまで来ています。

 人も動物も同じ地球上の住人です。「人か動物か」ではなく、現状把握・データの収集分析・研究に基づき、人の英知を終結して「人も動物も共に幸せに生きる地球―One World, One Life」を目指すことが、我々人間に課された使命だと思います。この国際会議がその第一歩になることを期待しています。

山下理事長

  

  

 横倉 義武氏(公益社団法人 日本医師会)

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 「第4回神戸 全ての生き物のケアを考える国際会議2015」の開催に当たり、日本医師会を代表して一言ご挨拶を申し上げます。

 はじめに、本大会実行委員会構成団体をはじめ多くの関係各位のご尽力のもと、本会議が盛大に開催されますこと、心よりお慶び申し上げます。 本会議は、阪神・淡路大震災の経験から神戸が学んだ「命に対する責任」を、世界に向けて発信するため、2009年に第1回目が開催されました。そして、阪神・淡路大震災から20年を迎える今回の会議では、「One World, One Life」というスローガンのもと、二日間にわたる濃密なご議論が行われると聞いております。

 世界のボーダレス化が進展する現代社会において、我が国は世界各地での考え方や取り組みからより多くを学び、また、我が国の考え方や取り組みを世界に向けて発信していくことが求められております。取り組むべき課題に対して、全世界が問題意識を共有し、その緊密なる連携のなかで問題解決に向けた取り組みを進めて行くという視点は非常に重要であり、世界をリードするこのような国際会議が我が国で開催される意義は、誠に大きいものと存じます。本会議での真摯な議論を通じて、我が国から世界に向けて力強いメッセージを発信していくことで、人を含む世界中の動物の福祉を向上させ、幸福な人と動物との共生をさらに前進させることが実現されるよう、大きな期待を寄せているところです。

 かの第16代アメリカ合衆国大統領、エイブラハム・リンカーンは、「私は、人間の権利と同様に、動物の権利も支持している。そしてそれこそは、すべての人類が進むべき道である」との名言を残されました。こうした理念を世界各国が共有していくためにも、本会議が将来にわたり発展的に開催されますことをお祈り申し上げます。

 日本医師会といたしましては、一昨年に策定した「綱領」の前文に、「人間の尊厳が大切にされる社会の実現を目指すこと」を掲げ、国民の生命と健康を守るための取り組みに邁進しております。この理念は、すべての生あるものに通ずるものと考えておりますので、より一層の努力をしてまいりたいと思います。

 結びに、本会議が実り多きものとなるよう祈念いたしますとともに、ご参集の皆様方のご健勝と今後ますますのご発展を衷心よりお祈り申し上げます。

 

  

  

佐伯 潤氏(近畿地区連合獣医師会 会長)

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 阪神淡路大震災から20年となる今年、ICAC KOBEが「神戸アニマルケア国際会議」からさらに発展し、「第4回 神戸全ての生き物のケアを考える国際会議 2015 — 阪神淡路大震災20年記念大会 One World, One Life — 」として盛大に開催されますことを心からお慶び申し上げます。

 阪神淡路大震災以後も日本は様々な災害に見舞われ、東日本大震災では、地震、津波、原子力発電所の事故が重なり、大きな被害をもたらしました。阪神淡路大震災の経験と教訓は、これらの災害に活かされ、人の避難と同時に動物達の避難・救護対策も実施されるようになってきていますが、未だ多くの課題が存在するのが現状かと思います。

 近畿地区連合獣医師会は、三重県、兵庫県、大阪府、京都府、滋賀県、和歌山県、大阪市、神戸市、京都市の獣医師会からなる連合体であり、獣医療をとおして社会福祉の増進に貢献するべく事業を推進しております。災害発生時の獣医師の役割を考えますと、動物達の救護のみではなく、被災地での人と動物の共通感染症対策や衛生環境の維持など多岐に渡ると思われ、日頃から動物に関わる様々な方々と意見を交換しておくことは重要と考えております。

 人と動物が共生できるより良い社会をめざして、災害時の問題も含めた様々な課題に取り組むには、市民の方々も含めて、広範な関係者が連携し協同しなければならないことは申し上げるまでもありません。

 本会議がそのような場となり、活発な議論と情報交換の場となり、多くの方々にとって実り多きものとなりますよう祈念しております。

佐伯潤先生

   

  

中山 裕之氏(公益社団法人 日本獣医学会 理事長/東京大学 大学院農学生命科学研究科 獣医病理学研究室 教授)

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 「第4回神戸すべての生き物のケアを考える国際会議2015」の開催を公益社団法人日本獣学会を代表して心よりお祝い申し上げます。

 獣医師が社会に貢献している分野は非常に広く、犬や猫の臨床医学ばかりでなく、牛・豚・鶏など産業動物の医療・繁殖、人獣共通感染症への対応、食品衛生を含む公衆衛生、野生動物の保全など、通常はあまり目立たない分野の業務をも担っています。獣医学とは、まさしく、この国際会議のキーワードである「One World, One Life」、すなわち人、動物、環境のすべての幸福を目指した学問の分野であると言えるのです。日本獣医学会のミッションは、こうした獣医学の研究と教育を支援していくことです。阪神・淡路大震災そして東日本大震災からの復興を契機に「One World, One Life」を目指した活動をさらに推進していきたいと思います。

中山裕之

  

 

冨永 佳与子氏(ICAC KOBE 阪神・淡路大震災20年記念大会実行委員会 事務局/公益社団法人 Knots 理事長)

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謝辞 — One World, One Life −

 ICAC KOBEが、「神戸アニマルケア国際会議」から進化し、「第4回 神戸全ての生き物のケアを考える国際会議 2015 — 阪神淡路大震災20年記念大会 One World, One Life — 」として無事に開催を迎えることとなりました。本当に多くの皆様より、ご支援・ご協力及びご尽力を賜っております。ここに改めて、心より御礼申し上げます。

 本年は、原爆投下・終戦から70年、御巣鷹山の日航機墜落事故から30年、阪神・淡路大震災20年、JR福知山線脱線事故から10年と節目の年が重なっており、私達が改めて様々な未来に向き合う年とも言えるのではないでしょうか。

 「ヒトは生き物である」。当たり前のことですが、であればこそ、「幸せに生きる」には、生き物としての必要な要素がある筈です。災害、老いや疾病、事故や戦争、貧困と様々な危機への対応は勿論、日常を形造る社会制度に於いても、この視点を設けることで、人はもっと幸せになれるように思います。ヒトは単独で存在するのではなく、ヒト以外の動物や自然環境との調和があり、初めて幸福な存在となり得ます。

 ICAC KOBE のキーワードは、「お互いの存在に感謝し、生きている限りは幸せであることが、いのちに対する責任である」としています。本会議が、様々ないのちの幸せな在り方について議論を深める場となり、神戸から「ひとつひとつの命の幸せが、ひとつの豊かな地球を構築する — One World, One Life — 」の趣旨が発信され、全ての生き物達の喜びや幸せが、ひとつでも多く地球に拡がっていくことを願っております。

冨永理事長